2026-06-19 22:55

17thSGひなた坂46はなぜ熱かったのか? “ひらがなけやき”の宿命を継いだ13人の存在証明

「17th Single ひなた坂46 LIVE」より
「17th Single ひなた坂46 LIVE」より
ⒸSeed & FlowerLLC
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6月17日・18日、TOYOTA ARENA TOKYOにて、「17th Single ひなた坂46 LIVE」が開催された。表題曲を歌う選抜メンバー以外で構成される“ひなた坂46”。彼女たちにとって「ひなた坂46LIVE」は大きな意味を持ってきた。

第1回(11thSG)では現キャプテンの髙橋未来虹を座長に据えて、大きな一歩を踏み出した。第2回(12thSG)は四期生・宮地すみれを中心に、横浜アリーナ2daysという大舞台へと飛躍を遂げた。第3回(13thSG)は二期生・富田鈴花が『あの娘にグイグイ』で盛り上げ、その熱気は「ひな誕祭」をはじめとするグループ全体ライブにまで及び、新たなキラーチューンとなった。そして、3作ぶりに行われた第4回(16thSG)では三期生・上村ひなのを座長に、全曲全員参加という試みに挑戦した。

今回で5回目となる「ひなた坂46 LIVE」。四期生・平岡海月が先頭に立った「17thSGひなた坂46」の始まりは、ポジティブな感情だけではなかった。むしろ、ネガティブの方が大きかったように思える。様々な思いが入り混じりながら「7回目のひな誕祭」のステージを見つめた日に始まり、ひとつの答えを見出した「17th Singleひなた坂46LIVE」。20日・21日にリピート配信が行われる前に、筆者が気になった点を振り返る。

ライブについて語る前に、その始まりを簡単にまとめておきたい。座長の平岡はインタビューで、「『ひな誕祭』で表題曲メンバーが『Kind of love』をパフォーマンスしている間、ひらがなのメンバーはステージ上にはいませんでした。ステージ裏のモニターでパフォーマンスを食い入るように見ている子もいれば、泣いている子や、泣いている子を慰めている子もいて。いろんな感情が入り乱れているその瞬間を見て、『ひらがなも始まったな』と思ったんです」(ダ・ヴィンチwebより)と語っていた。

4月5日に横浜スタジアムで行われた「7回目のひな誕祭」の2日目。ライブ本編が終わり、アンコールを終えた後、サプライズで17thSG『Kind of love』のフォーメーション発表と生パフォーマンスが行われた。フォーメーションの3列目から順に、一人ずつスクリーンに映し出される選抜メンバー。推しメンの名前が呼ばれるたびに、おひさま(日向坂46のファンネーム)が歓声を上げ、異様な盛り上がりを見せたあの瞬間、そのステージに立つことが叶わなかったメンバーたちがいた。平岡が語るように、同じグループのメンバーが輝く姿を直視できないメンバーもいた。素直に喜べないメンバーもいただろう。自分のファンがすぐ目の前にいる中で行われた選抜発表によって、改めて突きつけられた現実。17thSGひなた坂46のスタートは、あまりにも過酷だった。

「17th Single ひなた坂46 LIVE」より
「17th Single ひなた坂46 LIVE」より
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それから約2カ月。彼女たちは「17th Single ひなた坂46 LIVE」のステージに立った。彼女たちが自分たちの晴れ舞台に何を示したのか。その一つとして筆者が注目したのは、前身グループであるけやき坂46の楽曲を披露したことだ。

これまでも「ひなた坂46LIVE」では、けやき坂46の楽曲は披露されていた。あえて注目したのは、17thSGひなた坂46メンバーの中に、けやき坂46時代を知るメンバーがいなかったからだ。全員が日向坂46になってから加入したメンバーだった。

けやき坂46は言わば、欅坂46(現在の櫻坂46)のアンダーグループとして活動しており、今のひなた坂46と境遇が似ている。当時の楽曲を振り返ると、今の日向坂46が持つキラキラとした雰囲気よりも、現状への不満、そして打破しようとする力強さを感じさせる曲が多い。今回のライブでは、日向坂46がかつて背負っていた宿命を、ひなた坂46が今一度見つめ直し、取り込んだように思えた。『半分の記憶』『未熟な怒り』『こんな整列を誰がさせるのか?』などの楽曲だけではない。ハーネス衣装と呼ばれる、けやき坂46時代の衣装を着ていたことも、当時を知るファンにとっては懐かしさを感じさせるとともに、ひなた坂46がその歴史を背負う覚悟を示していたように見えた。

「17th Single ひなた坂46 LIVE」より
「17th Single ひなた坂46 LIVE」より
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パフォーマンスにもひなた坂46メンバーの覚悟がこもっていた。「7回目のひな誕祭」の最終日、熱狂に包まれた2日間の最後の瞬間に立てなかったメンバーが立った、ある種の存在証明とも言えるステージでは、全員がそれぞれの輝き方を手に入れていた。

まずは五期生から。彼女たちは培ってきた経験やスキルを武器にしていた。加入から約1年とは思えない成長スピードに、多くのおひさまは驚かされてきたと思うが、それは「ひなた坂46」のメンバーであっても一緒だった。

下田衣珠季は歌声を武器にした。センターを務めた『未熟な怒り』もさることながら、他の曲でも随所に彼女の力強い歌声が聞こえてきた。ダンスに活路を見出すメンバーもいた。蔵盛妃那乃は日本舞踊の経験を活かし、小さな体を大きくしなやかに見せ、その様子はセンターを務めた『こんなに好きになっちゃっていいの?』以外の曲でも、何度も見られた。大田美月は他を寄せ付けないダイナミックなパフォーマンスで会場を沸かした。彼女のソロダンスから始まった『君は0から1になれ』。高身長を活かした動きは、メロディーやビートを食らいつくすかのようであった。決して粗削りなわけではなく、しなやかさも兼ね備えた、ダンスにこだわりを持つ彼女だからこそ作り出せる瞬間があった。

「17th Single ひなた坂46 LIVE」より
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楽曲の世界観を、自分の表現に昇華してみせたメンバーもいた。鶴崎仁香は『ガラス窓が汚れてる』で大人の雰囲気と葛藤を演じてみせた。佐藤優羽は『恋した魚は空を飛ぶ』で虚ろな視線から、曲が進むにつれて瞳の奥から感情を燃やし、狂気へと変貌させた。最年少・坂井新奈は『My fans』で静かにキレる、という新たな姿が誕生し、にぃたん反抗期」という感想がSNSをにぎわせた。

「17th Single ひなた坂46 LIVE」より
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四期生も負けていなかった。もともと持っていた勢いで突っ走るスタイルに、各々がその先の見せ方を確立していたように思える。

ライブの開幕2曲目『半分の記憶』でセンターに立った小西夏菜実は、視線一つで空気を変えるようなその表現力で、会場のボルテージを一気に高めた。五期生曲『ジャーマンアイリス』では竹内希来里が、大野愛実が立つセンターポジションを務めた。大野は竹内を推しメンと公言しており、その関係性も相まってドラマティックな一幕となった。平尾は『You’re in my way』で持ち前の落ち着きや穏やかさを捨て去り、力強い一面を打ち出しているように思えた。石塚瑶季は『アディショナルタイム』で持ち前の笑顔と明るさを貫き通した。新たな武器を見つけるメンバーもいる中で、彼女は既に自身が持つ武器を磨き上げた。また、ライブのMCコーナーで「リハ中に怪我をしてしまったが、全力で頑張りたい」と語っていた通り、石塚の手にはテーピングが巻かれていた。満身創痍の中、彼女は笑顔を届け続けた。

「17th Single ひなた坂46 LIVE」より
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そして、前作『クリフハンガー』で選抜メンバーとして活動した四期生・山下葉留花と五期生・高井俐香は、選抜の経験を「ひなた坂46」に活かした。前シングル『クリフハンガー』のセンターに立った山下は、選抜として踊る中で見てきた、同曲が持つ疾走感を彼女なりに表現。オリジナルセンターの大野とはまた違った、山下らしい笑顔多めな『クリフハンガー』は印象的だった。高井は『月と星が踊るMidnight』でセンターを務め、ソロ歌唱では低音ボイスを震わせ、メロディーや会場の熱気を自身に乗せると、ラスサビ前にはソロダンスをゆったりとしなやかに披露。オールマイティなセンスを見せつけた。

「17th Single ひなた坂46 LIVE」より
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最後に、座長を務めた平岡について。ライブの幕開けは、「みっちゃん依存症」と語るほど平岡を愛していた一期生・加藤史帆のソロ曲『嘆きのDelete』を、平岡のソロ歌唱が飾った。そして、ライブ本編の締めくくりは、彼女の初センター曲となった17thSGひなた坂46楽曲『Empty』であり、最初と最後の大役を務めあげた。そんな彼女が座長として求められたことは、同期や後輩を率いて先頭に立つこと、そのメンバーたちを引き立たせること、そして「ひなた坂46」の存在意義を示すことだったように思える。

選抜制が導入され「ひなた坂46」が誕生したのは、平岡ら四期生が本格的にシングル活動に参加したタイミングと重なる。それまで全員選抜制を貫いていた日向坂46において、向き合わなければいけない“人数”という壁。平岡もライブのスピーチで「『いいことばかりじゃない』と、このシステムにいろんな感情があると思います」と打ち明けていた。

「17th Single ひなた坂46 LIVE」より
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14th・15thと一時的に全員選抜に戻った時期もあったが、平岡をはじめとして何人かは選抜メンバーとして活動した経験がなく、「ひなた坂46」で輝き方を探してきた。そんな彼女だからこそ、響く言葉があった。「私たちは時に選抜に憧れながら、そして選抜をも超えてやるっていう思いでライブを作っています」。彼女が選抜にぶつけた挑戦状であり、ひなた坂46の存在意義を定めた、心からの言葉。「ひなた坂46」は選抜に選ばれなかったメンバーが調整を行う場所ではない。選抜を超える覚悟を持ったメンバーが魂を燃やして立つ場所である━━平岡は5回目の「ひなた坂46LIVE」で高らかに掲げていた。

「17th Single ひなた坂46 LIVE」より
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全国ツアーや周年ライブの「ひな誕祭」など、日向坂46が行うライブシリーズの中に名を連ねるようになった「ひなた坂46LIVE」。日向坂46が持つ熱狂の根源は、ここにあった━━そう思わせてくれるステージを作り上げた、17thSGひなた坂46メンバーたち。彼女たちは決して二軍ではない。平岡が宣言していたように、選抜メンバーを超える実力を持っているのではないだろうか。メンバー同士が切磋琢磨し合える環境が出来上がっているのが、日向坂46の強みのひとつだ。

「17th Single ひなた坂46 LIVE」より
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