2026-05-05 15:00

『証言TIF~アイドル戦国時代とはなんだったのか~』第2回【完全版】:元ぱすぽ☆・根岸愛×奥仲麻琴「……じつは、話はあったんですよ」復活宣言の約10カ月前に語っていた、再フライトの兆し

再結成を発表したPASSPO☆。写真左から根岸愛と奥仲麻琴
(提供写真)

5月4日、2018年に解散したPASSPO☆(改名前はぱすぽ☆)が、8月7日に東京・Zepp Shinjukuで復活ライブを行うことを発表した。メジャーデビュー記念日に届いたこの夏限りの復活の知らせに、パッセンジャー(PASSPO☆ファンの愛称)の歓喜の声がSNSを中心に広がっている。

今回は復活を記念して、『BUBKA9月号』(2025年7月末発売)掲載の「証言TIF~アイドル戦国時代とはなんだったのか~」連載の第2回より、根岸愛と奥仲麻琴の対談インタビューを全文公開! 「一夜限りの再結成という話があったらどう思いますか?」「……じつは、話はあったんですよ」このインタビューで根岸愛は復活について語っていた⁉ 必読のインタビューを余すことなくお届けします!

財布も体力も限界

──震災があって大手はリリースを控え、ぱすぽ☆はイベントを積み重ねた結果、ウィークリーチャートで首位を獲得しました。

根岸愛:嬉しいし、すごいことだけど、そのすごさをちゃんと実感できてはいなかったんですよね。オリコン1位をとってからいろんなテレビとかに出させてもらったりして、それは今考えるとすごいことなんですけど、当時は次々といろんなことが起こるのでちゃんと受け止め切れてなかったんじゃないかなと思います。

奥仲麻琴:ただ、やっと好きなことできるかも、とは思いました。ひとつ実績ができるじゃないですか。代表作があるとないとじゃ違うと思うんです。いま思えば安易すぎるんですけど、これで私もいっぱい学校休めるかもと思ったんですよね。

──どれだけ学校を休みたかったんですか(笑)。

奥仲麻琴:家から学校が遠かったので(笑)。1位という肩書きがもらえたような感じがして嬉しかったですね。いまでこそSNSで自分から発信できますけど、当時はテレビとか雑誌のメディアに露出するというのは大きくて、ようやくそこに出始められるのかなという希望がすごくありました。実際、1位をとってからはマネージャーさんがすごく動いてくれたんです。テレビのバラエティのお仕事を取りに行くとか。

根岸愛:状況が変わっていきましたね。

──しかし1位をとってしまったことで、次はどうするんだということになっていくんですよね。

奥仲麻琴:『ViVi夏』か。そっちの記憶のほうが強いです。

根岸愛:メジャーデビューよりそのリリイベのほうが大変でした。一度登り切っちゃったわけだから、次は維持するか下がるしかないというところで。ちょうど夏で、とにかくリリイベだらけになってました。結局、たしか4位くらいだったのかな。

──汐留AXで毎日のようにイベントをして。

根岸愛:懐かしい! あとはお台場のMEGA WEB。ずっとリリイベでした(笑)。パッセンジャーの人も『少女飛行』で頑張ってくれたのに、そのすぐあとに『ViVi夏』がきて。もちろんお金にだって限界があるじゃないですか。

──1位をとるためにそれなりの無理をした直後だから、もう少し待ってくれという(笑)。

奥仲麻琴:しかも売り方がすごいというか、メジャーデビューしてからはメンバーそれぞれの個人ジャケットだったんですよね。

──そうでした。全メンバー分のジャケットがありましたね。

奥仲麻琴:それでオタクのみんなが気にしてたのは、個別にどれだけ売れてるかということだったと思うんです。私たちはそんなに気にしてなかったんですけど、申し訳ない気持ちはありました。ほんとうに時間とお金をかけてくださって。

根岸愛:当時は郵送とかもやってなくて、自分で持ち帰らないといけないから、すんごい荷物になってたよね。

奥仲麻琴:スーツケース持参してる人もいたよね(笑)。私は握手会が苦手だったんですよ。当時のパッセンからいまだに言われるんですけど、私に並んだあとはみんな疲れて帰っていくって。

根岸愛:何それ!?

奥仲麻琴:あいぽんと握手したあとはみんなホクホクになって満足度MAXだけど、私は話術がなさすぎて「ありがとう」しか言えなかったから。向こうはずっと列に並びながら何を話そうか考えてるのに、いざ対面すると「ありがとう」だけしか言われなかった……ってなるんですよ。逆にあいぽんはホスピタリティが素晴らしくて。

根岸愛:たしかに私は握手会が好きでした。得意だったかもしれない。

──しかしそれもコロナ以降、一気になくなりました。

根岸愛:そうですよね! 自分が人とずっと握手してたというのがいまでは考えられないです。

奥仲麻琴:たしかに。本当に触れてたんだよねって思うくらい不思議。

根岸愛:特典会も売り方も昔と今じゃ全然違うなと思います。TikTokとかもないし、アクスタとかもなかったから。いまのアイドルの子はかわいいグッズいっぱいあるなって思ってます。

──おふたりは地道な人力で大きな数字を叩き出していたんですよね。2010年代の特殊な文化だったと思います。

奥仲麻琴:思い出したけど、ランダム写メとかやってたよね? ちょっとお得なんですけど、ボックスからくじを引くので誰が当たるかわからないから、みんなゲーム感覚でやっていて。

──手を変え品を替えですね(笑)。マイレージ制度もありました。

根岸愛:パスポートにかけてマイレージもやってましたね。アナログのスタンプカードみたいなやつで。

──どんな特典があったんですか?

奥仲麻琴:インディーズの時、石丸電気のリリースイベントに全通した人はジョナサンでご飯を一緒に食べれますっていうのがありました。事務所でレッスンしていて、推しメンのオタクさんが来ると呼ばれるんですよ。それで、マネージャーと一緒にジョナサンに行くんです。

──ああ、事務所のすぐ側のジョナサンがありましたよね。

奥仲麻琴:そうです。貸切とかじゃなく、普通の席の一角で食べてました(笑)。おもしろかったのが、ファンの人は何を注文してもよかったんですよ。それでファンの人がいっぱい注文して……予算が危なくなったんですよね。

──CDをたくさん積んだから、少しでも回収しないと(笑)。

根岸愛:そう思うと特典会にもいろいろあったね。『キス=スキ』を出したときは名刺くらいのカードにチュッとして、その場で渡すというのがありました。

奥仲麻琴:あったあった。私それ、イヤすぎて大泣きしました(笑)。なんてことをさせるんだろうと思いましたよ。社長の思いつくことがすごいんです。とにかくたくさん思いついては実行するから、本当にビジネス向きの人で。

根岸愛:唇荒れ荒れだったな……。いまだったら考えられないですよね。すぐ引用ツイートされて燃えちゃいますよ(笑)。

──そういうことも含めて狂騒的な時代だったなと思います。

奥仲麻琴:ライブの記憶もたくさんあって、とにかく激しかったんですよ。

根岸愛:激しいし、ワンマンは1公演で20曲はやっていて。しかもそのたびに特典会をしていたんですよね。ツアーになると、1日2公演を土日でやるので、80曲プラス特典会。しかも毎回セトリを変えてた。

奥仲麻琴:ツアーは同じセトリでやらなかったよね。もうアスリートでした。それだけ動くから、靴が大事なんですよ。

根岸愛:スニーカーじゃないとできなかったです。だから撮影とかMV用のとライブ用とでは靴が違ったんです。

奥仲麻琴:合わないスニーカーだと痛くなるから、そこはかなり重要だった。

根岸愛:脚もムキムキでしたもん。これじゃ一生細くならねーって(笑)。活動中は筋肉がまったく落ちなかったです。

──ももクロに続くのは誰だと多くの人が注目していて、その筆頭がぱすぽ☆だったと思うのですが、ライバル意識などはありましたか?

根岸愛:ももクロちゃんにはなかったです。もう当時から抜けていたので、すごいな、いいなって。

奥仲麻琴:どちらかと言えばスパガさんだと思います。

根岸愛:比べられるとしたらそこだよね。コンセプトは違うけど、同じくらいにメジャーデビューしたというのもあって、ライバル同士みたいな企画もあったりしました。ただ、TIFのメインステージに立ってる人たちはみんな同じくらいのライバルみたいな印象もありました。

──仲の良いグループはいましたか?

根岸愛:個人個人ではそれぞれあったと思うんですけど、挙げるとしたらやっぱりよくご一緒にした風男塾さんかな。ずっとアイドルを続けていくと戦友みたいになってくるんですよね。この間、久々に浦えりかさんと長野せりなちゃんのやっている配信番組に出させてもらったんですけど、TIFの話で盛り上がりました。あの時代を生きた人たちはいまだに親近感があります。同じ苦労を背負っているから、仲間意識が芽生えてますよね。

根岸愛プロフィール

ねぎし・あい 1992年9月27日生まれ、埼玉県出身。2009年に「ぱすぽ☆」(のちに「PASSPO☆」に改名)の初期メンバーとして活動を開始。「あいぽん」の愛称で親しまれ、グループではキャプテンを務めた。2018年グループ解散後は声優、ストリーマーとして活躍の場を広げている。

奥仲麻琴プロフィール

おくなか・まこと 1993年11月18日生まれ、埼玉県出身。2009年に「ぱすぽ☆」として活動を開始。アイドル活動以外にも、2012年に『仮面ライダーウィザード』(テレビ朝日系)でヒロイン役を務めた。2014年にグループを卒業。現在はYouTubeやSNSなどをメインに、タレント活動を続けている。

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