2026-05-02 11:00

『証言TIF~アイドル戦国時代とはなんだったのか~』第1回:元アイドリング!!!・遠藤舞×森田涼花「ももクロを初めて見て、アイドリング!!!は無理だな、勝てないなって」

写真左から遠藤舞、森田涼花
(提供写真)

2010年、品川ステラボールで第1回が開催され、今ではアイドルシーンに欠かせない一大興行にまで成長した『TOKYO IDOL FESTIVAL』(通称TIF)。そのムーブメントの渦中にいたアイドルたちの証言をもとに、TIFがアイドルシーンに与えた影響について迫っていこうと思う。初回に登場するのは、元アイドリング!!!の遠藤舞と森田涼花。TIFが開催されるきっかけにもなった彼女たちが、激動だった第1回目とそこからのアイドル戦国時代の到来について語った『BUBKA8月号』のインタビューを、一部抜粋してお届けする。

初ももクロの衝撃

――TOKYO IDOL FESTIVAL15周年でアイドリング!!!が復活ステージに立たれるということで、おふたりにはその意気込みと、品川ステラボールで行なわれた第1回目のTIFのことや当時のアイドルシーンの熱量みたいなものがうかがえればと思っています。

森田涼花:今日のために思い返したんだけど、あまり覚えてなくて。うち、乗っ取られてるんじゃないかってくらい一部の記憶がないんですよ。あのときは自分じゃない人がお仕事してくれてました。

遠藤舞:すーちゃんがかなり忙しかった頃だよね。記憶違いだったら申し訳ないんだけど、すーちゃんは撮影かなんかがあって、夜中にリハーサルしたんじゃなかったっけ。

森田涼花:それなら覚えてる。普段はほかのアイドルの方と交流が全然ないので、すごく新鮮だったんですよ。ももクロさんは初めて生で見て。覚えてます?

遠藤舞:覚えてるよ。車で来てて、駐車場にいて。

森田涼花:いやそれは知らない(笑)。

遠藤舞:当時のももクロはみんなで車乗ってたんだよ。有名な話があるじゃないですか。

――ファンの間ではおなじみの移動車があったんですよね。

遠藤舞:それをたまたま見かけて、本当にあの車で来てるんだって思いました。

森田涼花:うちが覚えてるのはパフォーマンス。ライブをステージ裏から見たら、もうすごくて。衝撃を受けました。こういうアイドルがいるならアイドリング!!!は無理だな、勝てねーって。そのときにアイドルグループとしての終わりを感じました(笑)。

遠藤舞:ポテンシャルの違いをまざまざと見せつけられて凹むみたいな?

森田涼花:しかもさ、裏にいるうちに向かって「いえーい!」みたいにファンサまでしてくれるんだよ。

遠藤舞:特に誰が記憶に残ってる?

森田涼花:あーりん……みたいな方かな?

遠藤舞:あーりんはあーりんしかいないね(笑)。

森田涼花:仕上がってました。ぷる姉は1回目のときのことは覚えてます?

遠藤舞:すごい覚えてる。とにかく大変だった記憶しかなかったかも。3日間だっけ?

――前夜祭を合わせると3日間でした。

遠藤舞:記憶がおぼろげですけど、前夜祭のステージが全部終わったあとの夜中に、次の日のリハーサルを品川でやったんですよ。夜中しかやる時間がなくて、ご飯を食べる暇もないくらいだったんです。近くにマクドナルドがあったんですけど、あそこしかないねってことで何人かで買いに行って、「やばい! リハ始まる!」って走りながらベーコンレタスバーガーを食べたのは覚えてます(笑)。走りながらご飯食べたのは後にも先にもそのときだけです。

――そんな過密スケジュールだったんですね。

遠藤舞:当時はまだ手探りだったし、手作り感があったんですよ。スケジュールがタイトすぎて、初めて泣き言言いましたもん。なんでこのタイミングで『HEY!HEY!HEY!』の打ち合わせ入れるんですか、みたいな。それを言ったら、MCで入る予定だったTIFのステージをひとつ減らしてもらいました(笑)。

――遠藤さんはリーダーでしたし、やることも多そうですね。

遠藤舞:私と河村(唯)あたりがすごく多かった気がします。お台場に移ってからはだんだん環境整備がされていって、動線だったり、ゲストをお招きしてどういうふうに対応するかというのも決まっていった感じですけど、1年目はもうとにかくカオスでしたね。

森田涼花:そんなことは露知らず、めちゃ楽しんでた。

遠藤舞:すーちゃんはそうだったんだ。楽しいのが一番だよ。

――以前、河村唯さんに当時の話を聞いたことがあるのですが、昼公演と夜公演の間に宅配便を受け取るために家に帰ったと言っていて。

森田涼花:そんなことできるの(笑)。

――だからそこまで忙しかったというのが驚きです。

遠藤舞:でも私も、コンタクトが破れちゃって一度家に帰りましたよ(笑)。

森田涼花:えー! すごいなぁ。

遠藤舞:あと覚えてるのが、バニラビーンズが電車で来たのかな。もう言ってもいいと思うんですけど、あのカツラと衣装でそのまま来たというのを聞いて、それも衝撃で。ほかのアイドルさんとの文化の違いみたいなのを目の当たりにして、こういう子たちもいるんだな、おもろいなって感じてました。

森田涼花:みんなめちゃくちゃかわいかった。うちは自分のことは覚えてないけど、ほかのアイドルさんのことはすごく覚えてて。風男塾さんはそのときがはじめましてくらいで、この人たち、どっち? みたいな感じで。

――男性なのか、男装をした女性なのかがわからなかった。

遠藤舞:まじでわからなかった。

森田涼花:かっこいいと思ってみてたら女の人たちで、気さくにいっぱい話しかけてくださって。そこからグループとして仲良くなれました。

遠藤舞:TIFで仲良くなって、いまだに連絡取る子たちもいるくらいなので、おもしろい交流の場でしたね。

――TIF以前は交流の機会がなかったのでしょうか?

遠藤舞:全然なかったです。

森田涼花:閉じ込められた空間。

遠藤舞:鎖国だったよね。フジテレビ鎖国。

森田涼花:東京と言えばフジテレビしか知らないくらい……というのは大袈裟だけど。

遠藤舞:たしかに私たちはテレビにしかいなかったから、つねにお台場って感じだった。しかも、すーちゃんは上京組だし。

森田涼花:りんかい線にだけやけに詳しくなる、みたいな感じでした。ほかのアイドルはAKBさんしか知らなかったな。

遠藤舞:AKBアイドリング!!!があったもんね。

森田涼花:当時は結構バチバチでしたね(笑)。緊張感ありました。

遠藤舞:あはは! たしかにピリッとしてたね。

森田涼花:アイドルグループとしてちゃんとお仕事します、みたいな。

遠藤舞:プライドを持って仕事してて、決して馴れ合いはしませんよっていうのがあったかもね。別に敵対視してるとかそういうわけではなくて、ほどよい距離感と緊張感を持ってらっしゃる感じはありました。TIFで出会った人たちはそういう感じとはまた違いましたね。風男塾、バニビ、THE ポッシボー、YGA……。

森田涼花:懐かしい! YGAさんとはそのあたりからずっと品川で一緒にライブしてました(2010年4月スタートの「品はちライブ」)。

――演者側として、そのあたりから女性アイドルのブームが起きていく流れは感じていたのでしょうか?

森田涼花:当時はどのアイドルさんもアイドリング!!!と同じで閉鎖的な状況だったと思うんですよ。だからTIFという場を作られたことがめちゃくちゃおもしろいなと思いました。これがずっと続けばいいなと思ったのは覚えてます。

遠藤舞:アイドルを基盤とした大きいコミュニティができあがっていって、おそらくはファン同士の交流もできたんじゃないかなと思います。どこどこのオタクという垣根を越えていったり、そのなかで揉め事もあったり(笑)。そういうことも今となっては思い出になってますね。

森田涼花:うちらもずっと同じ環境だと気持ちが馴れてきちゃって新鮮味がなくなっていくんですけど、TIFではこんなアイドルさんがいるんだと驚いたり、こういうコンセプトがあるんだと思ったり、出立ちを見るだけでも刺激をもらってました。世界が広がった感じはありましたよ。

遠藤舞:私が在籍していた頃、アイドリング!!!は一応ホストと言っていただいていたぶん、MCで参加したりとか、結構いろいろなステージに出させてもらっていて。楽しいけどとにかく大変という思い出があるんですよね。それが1年目、2年目とやっていくなかで徐々に手離れしていく感じで、少しずつ楽になっていったんですよ。

――TIFが整備されていくとともにシーンも成熟していって。

遠藤舞:いまは自分の生徒さんたちが出たりしているんですけど、特に駆け出しの子たちにとってはTIFが憧れのステージになってるんですよね。目標を聞いたらTIFに出ることって答えてくれる子は本当に多いですし、出るために頑張りたいと言ってくれるのを聞くと、そういうイベントになったんだな、感慨深いなってすごく感じてます。初期から参加している者としては嬉しいですよね。

――いわゆるアイドル戦国時代を経て、いまなお続いているという。

遠藤舞:ただ、戦国時代って言いますけど、まわりが言ってただけで、当の本人たちはライバル感があまりなかったんですよね。しのぎを削って人気を獲得するというより一緒に盛り上げていこうという感じなので、決して戦いではなかった。認識としては仲間でした。

――メディア含め、まわりがそう見立てていた部分はありますよね。

遠藤舞:どんどんグループやアイドルの人数が増えていったときでもあるから、そういう言い方をするようになったんだとは思います。

森田涼花:うちは正直、なかよしこよしというよりも誰にも負けてないというつもりでやってました。いつでも自分がやってるのが最強だって思いたいし、そういうつもりでアイドリング!!!にいたんです。でも、ももクロさんを見て、負けてないと思ってたのが全然負けてると気づいた。じゃあどうやったら勝てるかと考えたけど、勝てる部分がないなって。だって、うちらはライブパフォーマンスで戦ってきてなかったから。

遠藤舞:それはそうだね。

森田涼花:時代の流れは南波さんが仰っていたようにライブメインに変わってきてる感じもあったので、その面ではアイドリング!!!では無理なのかもしれないと思ったくらいです。

遠藤舞:すーちゃんは卒業のタイミングが早かったと思うけど、その気づきがそうさせたところもあったのかな?

森田涼花:それはあります。無理だと思っている心ではここにはいられないと思っちゃったから。だからいま思い返すと、その時代というのは自分には刺激が強すぎたんだなって。

遠藤舞:TIFでももクロを見たことがその後のすーちゃんの人生を変えたんだ。

森田涼花:もちろんいろんな理由があるけれど、そのうちのひとつとして確実に入ってますね。

取材・文/南波一海

遠藤舞プロフィール

えんどう・まい 1988年7月31日生まれ、東京都出身。2006年10月、「アイドリング!!!」オーディションに合格し、3号としてアイドル活動を開始。「まいぷる」の愛称で人気を集め、グループのリーダーを務めた。2014年アイドリング!!!卒業、2017年には芸能生活を引退している。現在はボイストレーナーとして活動中。

森田涼花プロフィール

もりた・すずか 9月7日生まれ、京都府出身。2008年4月、「アイドリング!!!」に2期生として加入し、11号として活動を開始。2009年、スーパー戦隊シリーズ『侍戦隊シンケンジャー』のシンケンイエロー役に抜擢。2012年「アイドリング!!!」卒業後は、俳優・声優として活躍の場を広げる。

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