2025-02-25 18:00

SKE48末永桜花、ライバルは全員!“負けず嫌い”のアイドル人生に終止符

卒業公演を行ったSKE48末永桜花
卒業公演を行ったSKE48末永桜花
ⒸByakuya Shobo Co.,Ltd 2025

2月24日、名古屋市内のSKE48劇場にて、末永桜花が卒業公演を行った。

MCにおいて、末永と同期の7期生・浅井裕華がこんなことを話していた。

「研究生の時に2人でインタビューしてもらったことがあって、私が『今のライバルは末永桜花ちゃんです!』って言って、おーちゃんは『私はいないです』って答えて、さすがだなと思った」

そのやり取りは私の目の前で行われた。2016年10月上旬のことだった。

その前年に7期生として加入した2人だったが、壁を破れないままでいた。先に昇格した同期の後塵を拝していて、まだ研究生だった。浅井を取材すれば、「ポジションが……」と、立ち位置に納得がいかず、泣きだすこともあった。末永は“選ばれない”側の人間だった。公演で『前のめり』を踊った時、2人は最後列の両端にいた。

ある日、7期生参加の「制服の芽」公演のテストがあった。先輩の公演に出られるかどうか、実力が試された。踊れていないメンバーは順に脱落していくという仕組みだったのだが、まず落とされたのは浅井で、次に落とされたのは末永だった。3月のお披露目は、2人とも前列にいたのに、いつの間にか逆転されていた。7期生で抜け出したのは後藤楽々と小畑優奈だった。

末永も浅井もこのままでは埋もれるだけだった。同期ではアンダーデビューも遅かった。しかし、それぞれがそれぞれのやり方で貪欲にナイフを研ぎ澄ましていった。2人ともレッスン場が住処だった。仲良く一緒に、ではない。それぞれが悔しいから、そうしていただけだった。浅井はひたすら踊った。末永は、「私も踊れるんで見てください」と大人たちのいる部屋へ押し入り、力技でアンダーを勝ち取った。浅井は7公演、末永は6公演を覚えた。

そんな2人が2016年の8月、「美浜海遊祭」でWセンターに立って踊った曲があった。『花火は終わらない』だ。双眼鏡で覗く2人は花火ではなく、隣のポジションで火花を散らしていた。

この曲、一見するとWセンターに見えるが、細かく言えば違う。どちらかが0番に立ち、どちらかが2番に立つパートがある。番手に違いがあるわけだ。「美浜」では末永が0番で、浅井は2番……という、ややいびつなWセンターだった。

浅井はこのことを忘れていなかった。だから、「負けたくない相手は?」と質問した時に、「私はおーちゃんです!」と大声で答えたのだ。それも、力強く右手を挙げて。

その瞬間、末永はビクンとした。そして、浅井を一瞥したのを見逃さなかった。浅井より先に末永は「私は全員かもしれないです」と答えていた。浅井にこんな宣言をされるとは思っていなかったのだろう。このライバル宣言は当時中3の末永のよほど心に残ったようだった。その証拠に、その6年後、浅井の生誕祭で末永は、この時の取材の様子を手紙に記している。

あれから時が過ぎ、2人とも選抜に欠かせないメンバーに成長した。末永は『好きになっちゃった』と『愛のホログラム』で連続センターに立った。あの時の「(ライバルは)全員」という言葉の通り、他のメンバーを抜き去った。負けず嫌いを自称する末永にとって、それはアイドル人生のゴールと感じられたのかもしれない。

一方、浅井はセンターに立ったことはない。近年の取材によれば、まだセンターに立ちたいと思える自信がついていないようだ。「フロントに立ちたい」というのが目下の願いだ。

この2人の関係を見ていると、グループアイドルにおいてはやはりライバルは存在した方がいいと思う。スタートダッシュに出遅れた末永が巻き返せたのは、浅井を横目に見つつも「全員」をライバル視したからだ。浅井も末永を約10年間見ていて、思うところはあるはずだ。

かつてのライバルは旅行する間柄になった。何でも話せる関係だ。風呂にも一緒に入る。だが、末永は卒業のことだけは話さなかった。打ち明けたのは発表する数分前。しかも、曲中だった。それはなぜだったのだろう。そんな想像をするのがグループアイドルの醍醐味(だいごみ)だ。

この2人のような関係を今後のSKE48でも見ることができるのだろうか?

取材・文=犬飼華

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