2022-09-02 18:10

石破茂氏『異論正論』理解して、説明する、その努力だけはしていかなきゃいけない

憲法改正主張の真意

――そういった弾力性に富んだ伝え方のできる石破さんが、『異論正論』では、“そもそも論”を後回しにするのは、もうやめようとストレートに訴えている。石破さんは、1996年の時点で、このままでは「国(日本)は滅びる」と喝破しています。

石破茂 むしろ、後退してないかしらね。真っ当な議論が行われていない。日本人は、問題を先送りにするのが大好きすぎやしませんかね。昭和の時代は、人口が増えて、経済も伸びた。なんとなく予定調和的に問題を先送りにしていたところがありましたが、平成以降は、人口は減る、経済も伸びない、安全保障環境も変わってしまった。となると、先送りすれば、当然、先送りされたことでツケが回ってくる若い世代が、何倍もの負担を背負うことになる。人口増加、経済発展、安全保障の安定という三つが成り立っていたから先送りができていただけの話。成立しなくなった今、いつまで先送りにするの?そういう問題意識なんですね。

――中でも、緊急事態条項(ならびに私権の制限)と、自衛隊法の見直し……憲法改正に関しては、石破さんが繰り返し主張してきたことです。しかし、この点も先送りされている感が否めません。

石破茂 私は、憲法の議論は、安全保障の議論の土台だと思っているんですね。土台がきちんとしていない場所に、立派な家を建ててもすぐに倒壊してしまう。砂上の楼閣のようなもの。我々自民党は、民主党政権時代、3年3か月の間、野党でした。その間は本当に真っ当によく議論した。私は、あのとき下野したのは、政策が否定されたわけではなく、自民党の立ち振る舞いが否定された結果だったと思っていました。だからこそ、与党としての仕事から離れて、深い反省のもとに自民党とは何か、安全保障とは何か、財政政策いかにあるべきか――、今度こそきちんとした憲法改正草案を作ろうという雰囲気が、あのときは渦巻いていた。谷垣(禎一)さんが総裁で、私は憲法9条の担当だった。憲法9条は、“日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない。国の交戦権は、これを認めない”とある。そもそもこれって何だろう?と。国権の発動たる戦争って何ですか? 交戦権って何ですか?とかね。一応、私も法律学科出身ですけど、憲法学の時間にきちんと習った覚えがない。憲法ゼミの人は習ったかもしれないけど、私は民法ゼミだったからね。そういったそもそも論を、野党のときに徹底的に議論した。それが、平成24年自民党の憲法改正草案になった。

――ですが、その後、意見の相違から故・安倍晋三元首相と袂をわかつことになります。

石破茂 日本には、約50の基本法案があるんですよね。がん対策基本法、水産基本法、教育基本法という具合に。ところが、安全保障の基本法はない。それだけでも驚くべきこと。憲法改正は、衆参総議員の3分の2の賛成を得れば、国民投票にかけることができる。そして、国民投票の結果、過半数を得れば改正することができる。私はそれほどハードルが高いとは思っていないんです。だが、安倍さんは集団的自衛権の行使を憲法上限定的に考えられた。一方私は、憲法上で行使に制限を設けるのではなく、安全保障基本法の中で行使に制限を設けるべきと主張した。

――まだまだ続くインタビューの続きは発売中の「BUBKA10月号」で!

取材・文=我妻弘崇

石破茂=いしば・しげる|1957年生まれ、鳥取県出身。慶應義塾大学法学部卒。1986年衆議院議員に全国最年少で初当選。防衛大臣、農林水産大臣、地方創生・国家戦略特別区域担当大臣などを歴任。著書に『国防』『国難』『日本人のための「集団的自衛権」入門』『日本列島創生論』など。

石破茂 異論正論
Amazonで購入

BUBKA(ブブカ) コラムパック 2022年10月号 [雑誌] Kindle版
Amazonで購入

「BUBKA10月号」コラムパック
「BUBKA10月号」コラムパック

Amazon Kindle

楽天Kobo

Apple Books

紀伊國屋Kinoppy

BOOK☆WALKER

honto

セブンネットショッピング

DMM

ebookjapan

ブックパス

Reader Store

COCORO BOOKS

コミックシーモア

ブックライブ

dブック

ヨドバシ.com

その他、電子書籍サイトにて配信!

Twitterでシェア

MAGAZINE&BOOKS

BUBKA2025年5月号

BUBKA 2025年5月号

BUBKA RANKING5:30更新

  1. 宮戸優光「前田さんとの関係が、第三者の焚きつけのようなかたちで壊されてしまったのは、悲しいことですよ」【UWF】
  2. 坂元誉梨の『初心者バイク女子の奮闘日記』#35「帰省1日目」
  3. 【BUBKA2月号】栗栖正伸、イス大王が語る遅咲きヒールとしての苦節50年
  4. =LOVE初の両A面シングル「とくべチュ、して」「恋人以上、好き未満」甘々MVをみんなに観てほしい
  5. RHYMESTER宇多丸のマブ論「ドリームチーム」が生んだ新たなハロプロ・クラシック!
  6. 【吉田豪インタビュー】井上富雄、過去のものはそんなに引っ張らないでいきたい
  7. サウンドクリエイター・大林亮三氏が明かすイチオシの提供曲
  8. 柴田聡子×安部博明、アイドルグループ「RYUTist」の楽曲『オーロラ』について語る
  9. “裏センター”の可憐なパフォーマンスにくぎづけ…完璧なゴールとアシストを決めた乃木坂46・池田瑛紗さん
  10. 日向坂46・四期生が誰よりも高く跳んだ日━━武道館3Daysで見せつけた実力と一体感、そしてハッピーオーラ!
  1. 乃木坂46池田瑛紗、満面の笑みと“沼らせる”イケメン表情のギャップに「これは人を狂わせる……」「メロい!」と反響続々
  2. 日向坂46河田陽菜、ピクニック中に大きなシナモンロールをぱくっ!2nd写真集より新先行カット到着
  3. 乃木坂46岩本蓮加&冨里奈央W主演ドラマより新ビジュアル解禁
  4. 乃木坂46久保史緒里がグループ卒業を発表「乃木坂46は、私の人生でした」大の楽天イーグルス好き、舞台やドラマなど演技面でも活躍
  5. 櫻坂46山﨑天の“ひねりの利いた”一言にメンバー大笑い
  6. 日向坂46金村美玖、笑顔と夏の青空が映える印象的な表紙カット公開
  7. 日向坂46小坂菜緒&金村美玖、“なおみく”Wセンターがヒットキャンペーンに懸ける思い
  8. 乃木坂46弓木奈於が「東京タワー」で連想する漢字に一同爆笑
  9. 乃木坂46池田瑛紗、色白素肌が際立つステージ衣装に「透明感がやばい」「白くて美しくて非の打ち所がないです……」の声
  10. 乃木坂46 “聖地”神宮での10回目の夏━━梅澤美波が確信した“乃木坂らしさ”と、遠藤さくらのグループを守る決意

関連記事