2025-06-21 11:00

掟ポルシェ×丸山紘平(箕輪家)×渡辺樹庵(渡なべ)が語るクサウマ豚骨論! 箕輪家も悩まされた発酵豚骨の難しさと奥深さ「とんこつラーメンは低気圧の日が美味しい」

写真左から、掟ポルシェ、丸山紘平(箕輪家店主)、渡辺樹庵(渡なべ、ラーメンコンサルタント)
写真左から、掟ポルシェ、丸山紘平(箕輪家店主)、渡辺樹庵(渡なべ、ラーメンコンサルタント)
撮影/編集部
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編集者・実業家として知られる箕輪厚介氏のプロデュースで2022年に誕生した、東京・中野の「箕輪家」。家系ラーメンをベースにした独自の味わいで注目を集めてきたが、2025年、発酵豚骨の導入による臭気問題に直面。対策としてダクト工事を行い、その過程をYouTubeで公開するなどして、話題を呼んだ。今回、店主・丸山紘平氏をはじめ、BUBKAでお馴染みのラーメン通・掟ポルシェ氏、そしてラーメンコンサルタント・渡辺樹庵氏を迎え、ラーメンの難しさや奥深さを語り合ってもらった。

匂い問題に終止符

掟ポルシェ(以下、掟) 箕輪家さんは、ある時から豚骨の発酵した魅力的なニオイが出るようになりましたよね。

丸山紘平(以下、丸山) 去年の10月くらいから熟成した豚骨を出すようになったんですよ。元々は「でぶちゃん」っていう高田馬場のラーメン屋の甲斐さんという方に豚骨を習っていて、それを取り入れたメニューを限定で出したりしてて。そこから今池袋にある「むかん」さんのアドバイスもあって、通常メニューでもやり始めたって感じですね。

 ニオイを出すために、「でぶちゃん」から発酵スープの種をもらったんですか?

丸山 それはよく言われるんですけど、違うんですよ。家系ラーメンはガラを炊いたらすぐ捨てるんですけど、ガラを捨てずに骨まで火を入れるようにしたんですよ。それで一気に匂いが出始めたんですね。で、豚の頭と背脂を入れ始めて、気が付けばこんな匂いに。

 で、樹庵さんがそのニオイに気づいて。

渡辺樹庵(以下、渡辺) 中野を歩いてて、あれ、この匂いは? と思って探したら箕輪家に辿り着いたんですよ。それでYouTubeとXで取り上げさせてもらって。

熟成塩豚骨(「箕輪家」東京・中野)
箕輪家公式Xより

 自分も渡辺樹庵さんの投稿を見て、「箕輪家」にニオイが出たんだ、ヤバい! 行かないと! と思ってたんですよ。で、今年3月に初めて来た時に、とんでもなくいいニオイが店の半径10mぐらいビッシビシに漂っていて。立地条件で言うと、中野ブロードウェイの裏手でスーパーの西友の入口があって結構な繁華街なのに、こんな盛大に発酵豚骨臭を出していて、ご近所的には大丈夫なのかな? って正直思いました。で、大丈夫じゃなかったという(笑)。

丸山 最初は樹庵さんがYouTubeで取り上げてくださったのもあってチャンスだと思っちゃったんですよ。で、ガンガンやったれと思って、スタッフにも「この匂いや、これが正義だから、気にすんな」って言ってたんですよ。と思ってたら、歩く人が店の前で「クサっ!」って言ってたり、Xとかでもどんどん悪い口コミとか付くようになって。でも、樹庵さんみたいに匂いで気づいて来てくれる人もいるから、どうしようかなって思ってたんです。ただ、さすがに近隣のクレームが止まらなくなって。近隣から「殺す」ぐらいの勢いのクレームが入ったり、商店街とか保健所とか、とにかく一斉に連絡が来て。それでダクト工事をする決意に至って。

 豚骨臭を愛する者からすると寂しくなるくらいニオイは減りましたね。

丸山 店の空気も前よりも換気するようになって。ちょっと前までは店の前に空気を出さないために、入り口のところの換気扇もつけてなかった時期があったくらいなんで。で、サラリーマンの人にめちゃくちゃ嫌がられる、みたいな。

 ラーメン屋さんのダクトの排気って、その味が好きじゃなかったらただの悪臭なんですよね。同じ中野でも南口に家系ラーメンの人気店がありますけど、あそこはダクトが店の前の方に全力で吹き出しててすっごい臭い。あの店で食べない自分にとっては、なんでこれ苦情来ないんだろうと思ってて。でも繁盛してるしトラブルの話もない。好きな人にとってはあのニオイが脳内で美味しさに直結してるんでしょうね。

丸山 うちも深夜営業をずっとやってるんで、中野でお酒を飲んだお客さんが匂いにつられて入ってきてくれたりとか、結構あったんですよ。そういう「ビジネス匂い」というか、クサいのも残せればいいんですけどね。

 やっぱり運とか立地条件もあると思っていて。関東近辺でクサウマ系と言われてる豚骨ラーメン屋さんだと、新横浜ラーメン博物館の「博多一双」さんにしろ、お台場ラーメン国技館の「三代目博多だるま」さんにしろ、都心から離れた大型施設の中に入ってるから苦情が来ないのかなと。

渡辺 高円寺の「ラーメン健太」さんって苦情来てないのかな? あそこも商店街じゃないですか。

 自分、「ラーメン健太」の常連なので、それについて店主の健太さんに聞いたことがあるんですよ。で、1回だけダクトが向いている店の裏手のマンションから苦情が来たと。それで、「すみません、どうにもならないんですよ」って言ったらそれっきり来てないとか。

丸山 羨ましい。すごいっすね。

 あと、健太さんは何がすごいって、コミュニケーション能力が化け物的なんですよ。隣のイタリア料理屋なんて店作りから手伝って、一緒に酒飲んで友達になっちゃったらしいし。それでクレームも来ない。だからこの際、箕輪家さんもご近所さん全員と友達になるってどうですかね?

丸山 僕もそれはずっと考えてて、それこそオープン前とかは全員挨拶しに行ったんですよね。そのおかげもあって工事してからは感謝の声もめっちゃ届いたんですよ。

 ダクト工事だけでなんとかなってよかったですよね。立地にもよると思いますけど、やっぱり東京だとニオイの出る豚骨は厳しいのかな。ハードコアな豚骨臭が素晴らしかった武蔵境「きら星」さんとか、5年間移転先が決まらず結局閉店してしまったじゃないですか。

渡辺 あそこは名前が売れちゃったんでね。普通は物件を借りるときラーメン屋ですって言うだけなんで、大丈夫だと思うんですよ。「クサいラーメン屋です」とは言わないですから。でもさっき言ってましたけど、クレームが来るかどうかってどんな人が周りにいるか次第なので、やっぱり実際やってみないとわからないですよ。

 樹庵さんが新しく開店した「札幌 六坊」は初日だけクレームが来たらしいですね。

渡辺 行列が原因で警察が来ましたね。

 店主の想像を何倍も上回るお客さんが押し寄せたことで。さっきも行ってきたんですけど、2時過ぎで10人ぐらい並んでました。大繁盛店ですね!

札幌ブラック(「札幌 六坊」東京・高田馬場)
撮影/編集部

掟ポルシェプロフィール

おきて・ぽるしぇ|1968年、北海道生まれ。1997年、漢気啓蒙ニューウェイブバンド、ロマンポルシェ。のボーカル&説教担当としてデビュー。その他俳優、声優、DJなど活動は多岐にわたる。著書に『男の!ヤバすぎバイト列伝』(2018年)、『豪傑っぽいの好き』(2019年)など。

丸山紘平プロフィール

まるやま・こうへい|1994年、大阪府生まれ。大学卒業後、自衛隊に勤務。脱隊後は箕輪厚介氏のカバン持ちを務め、トゥクトゥクで日本一周をするなどの活動で話題に。現在は「箕輪家」店主を務め、中野を中心にラーメンのイベント等の主催も行っている。

渡辺樹庵プロフィール

わたなべ・じゅあん|1975年、東京生まれ。ラーメンコンサルタント・有限会社渡なべスタイル代表。今までに食べ歩いたラーメンは10,000杯以上。高田馬場「渡なべ」、神保町「神保町 可以」、池袋「六坊担担面」、高田馬場「札幌 六坊」を経営する他、プロデュースも多数手掛ける。

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