2022-07-02 06:15

SKE48 Team S「愛を君に、愛を僕に」公演初日までの激動の日々密着レポート

SKE48「愛を君に、愛を僕に」公演
SKE48「愛を君に、愛を僕に」公演
撮影/成田智広

あれから約何年経っただろう。すっかり忘れていた。新公演の初日を迎える前の、あの独特な緊張感を。オリジナル公演の幕が開く直前の、あの緊張と感傷を。2022年5月28日、12時数分前。「愛を君に、愛を僕に」公演、昼の部が始まる直前、幸運にも抽選に当たった観客、名古屋からあるいは東京から栄へと不思議な磁力で吸い寄せられてきた関係者、艱難辛苦(かんなんしんく)を乗り越えてきたスタッフはそれぞれの思いを抱えながら、これから開く幕をただただ見つめていた。

リーダー・松本慈子の影アナが始まった。「チームSメンバー全員19人、気合い入っています。とにかく今はもうめちゃくちゃ楽しみです。皆さん、今のチームSを目に焼きつける準備をしててください。覚悟しててください。たくさんの愛をお届けします!」

幕の向こうでメンバーが円陣を組んだ。間髪入れずに『overture』が流れる。弾けそうなほど膨らんだ思いがステージ上もうすぐ大爆発する。劇場がグラウンドゼロになる。その瞬間を見逃すまいとファンも前のめりになる。かくして本番は始まった――。

4日前に遡る。レッスン場で最終稽古が行われた。立ち会ったのは牧野アンナ先生。鬼軍曹として知られる振付師だ。この公演は全体曲11曲をアンナ先生が、ユニット曲5曲をCRE8BOY氏が担当していた。

メンバーの証言によると、この日のレッスンは約7時間に及んだ。SKE48公式YouTubeチャンネルに「Documentary『オリジナル公演ができるまで#3〜過去を乗り越える為に〜』」として上がっている動画はこの日の模様に密着したものだ。

1曲ずつ踊るメンバーたち。アンナ先生はチェックの目を光らせる。踊り終わると、ダメ出し。もう一度踊る。その繰り返しだった。映像にもあったように、考えすぎてどう踊ったらいいか分からなくなった赤堀君江は、アンナ先生とタイマンを張るはめになった。松本慈子は「目が死んでる」と指摘された。石黒友月は「今のまんまだったら無理だよ。出せない」とまで追い込まれた。叱られては泣いた。初日は迫っている。気持ちを整えている暇はなく、踊る以外の選択肢はなかった。

すると、メンバーはゾーンに入っていく。

赤堀君江「アンコール曲をやったら、先生が『すごい! 感動した!』と褒めてくださったんです。その時の私たちはもう疲れすぎてハイになっていました。自分たちで何をしているか分からなくなるくらいに」

荒野姫楓「私たちはゾーンに入っていたんだと思う。ただ踊るのではなく、歌詞をみんなで振り付けなしで踊ったり、それ以外にもいろんな練習をして、その結果、その日の最後にやっと褒めていただけました」

レッスン後、アンナ先生はツイートした。

「チームS、本日やり切りました。これでダメならもうアイドルの指導を引退してもいい。全員が1日で成長できる限界まで成長したと思います」

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