2026-09-15 22:30

卒業発表の櫻坂46キャプテン・松田里奈にしか出来ない咲き方━━「伝説のネプリーグ事件」に「朝の顔」、満開の笑顔を届けた8年間

グループからの卒業を発表した、櫻坂46の松田里奈
ⒸByakuya Shobo Co.,Ltd 2026

10月14日に16thシングル『愛MUST BE』をリリースする櫻坂46。9月13日(日)放送の冠番組『そこ曲がったら、櫻坂?』ではこの曲のフォーメーションが発表され、三期生・谷口愛季が初めて表題曲のセンターを務めることが明らかとなった。グループに新センターが誕生する中、今シングルがおそらく最後のシングルとなるメンバーがいる。キャプテン・松田里奈は9月9日に公式ブログにて、2026年内の活動をもってグループを卒業することを発表していた。

二代目キャプテンとしてグループの中心で活躍する一方、彼女がステージの最前線、そのセンターに立つ機会はあまり多くなかった。しかし彼女は、櫻坂46というグループ名を広めるために、“松田里奈”にしか出来ない咲き方を示していた。

卒業発表の翌朝、松田は『THE TIME,』(TBS系)に生出演。「わたくしごとではありますが……」と切り出すと、自身の卒業を改めて生報告した。前日の9日22時の卒業発表後、23時には『THE TIME,』の放送内容の紹介文が「櫻坂46キャプテン松田里奈グループ卒業の心境・経緯を生報告」に変更されていた。卒業発表から時間を空けず、本人の思いを生の声で届けるという特別な機会を設け、さらには発表のタイミングに合わせて事前告知も行っている点に、長く番組を支える松田への愛が感じられた。

2021年の番組立ち上げ時から、木曜日レギュラーとして「朝の顔」を務めてきた松田。発足当初から継続して曜日レギュラーを務めているのは彼女だけであり、一時期は水・木の2曜日を担当することもあった。また、櫻坂46が全国ツアー中で番組に出られないこともあったが、一方で東京ドーム公演の初日の早朝にスケジュールの合間を縫って出演し、普段と変わらない笑顔を届けた時もあった。

そんな松田の『THE TIME,』出演は、グループに大きなアドバンテージをもたらしていた。象徴的なのは、2024年10月20日放送の『そこ曲がったら、櫻坂?』での、「朝の顔」としての彼女の知名度の高さが垣間見えた瞬間だった。最新シングルのPR企画として松田は後輩2人と「キャンペーンカード100枚を配る」というミッションに挑戦。ロケ地は巣鴨で、年配の方が多い地域は若者中心のファンを抱える櫻坂46にとって不利な状況だった。しかし、そんな環境を松田はもろともせず、苦戦する後輩2人に対し、松田は積極的に声をかける。彼女が話しかけると街の人は「朝の子だ!」と反応し、松田はこのチャンスを逃すまいと抜群のコミュニケーション力を発揮して、「櫻坂46」のグループ名と最新シングルをアピール。モデルとして雑誌やランウェイで目を引くことや、俳優として演技で注目を浴びるのとは異なる、身近な存在としての“親しみやすさ”を武器に、松田は櫻坂46のファン層を広げていた。

そんな松田を語る上で欠かせないのが、櫻坂46に改名する前の2019年7月、欅坂46への加入からわずか8カ月ほどで残した「松田のネプリーグ事件」だろう。「犬も歩けば〇〇〇〇〇〇」(ひらがなで回答)という問題で、前から5番目、正解の「ぼうにあたる」の“た”の枠だった松田は、他全員が正解する中「た→な」と誤答。これによりテレビ史に残る珍回答が誕生した。スタジオが騒然とする中、番組レギュラーのネプチューンや、この放送を見ていた『そこ曲がったら、櫻坂?』の番組MCであるハライチ・澤部佑や土田晃之はこぞって、彼女の奇跡の誤答を絶賛。決して狙ったわけではなかったことは強調しておきたいが、アイドルとしてあるまじき“ファインプレー”であったことは間違いない。事件が起きた瞬間こそ、松田曰く「いつも優しいマネージャーさんが見たことない顔をしていた」というほど、切羽詰まった状況だったが、後に彼女は「以前、とあるクイズ番組でやらかしてしまって……」と失敗を隠すのではなく、自らフリに使って笑いに変えていた。自虐を交えながら、自身の鉄板エピソードとして披露するところに、彼女の力強さ、器量の大きさがうかがえた。

その他にも『そこ曲がったら、櫻坂?』ではどんな企画でも全力で取り組む姿勢を貫き、誰よりも声を出し、そしてガヤも入れていた松田。これだけ見ると、松田はいわゆる“バラエティ担当”に見えるが、その実、櫻坂46にとって貴重な“歌唱メンバー”でもあったことをここでは紹介したい。櫻坂46にはデュエット曲として、『On my way』『One-way stairs』『縁起担ぎ』『ピッカーン!』(アニメ『ポケットモンスター』のEDテーマ)の4曲があり、この内『On my way』『縁起担ぎ』『ピッカーン!』の3曲に松田は参加。多人数のダンスパフォーマンスとは異なり、少人数だからこそ各メンバーの歌唱力も問われるデュエット曲に多く起用されている点は、彼女の歌唱力の高さを証明している。

「朝の顔」やバラエティを中心としたテレビでの活躍のみならず、パフォーマンスでは特に“歌唱”面でグループに貢献していた松田。そんな彼女が櫻坂46の二代目キャプテンとして、その重責を担ったのは2022年11月、初代キャプテン・菅井友香の卒業コンサートが行われた東京ドームからだった。松田がバトンを受け継いだ「2nd TOUR 2022 “As you know?”」のツアーファイナルの東京ドーム公演では、一部空席が目立った。グループ改名後、前身の欅坂46とは異なる、グループの方向性を模索する中で、厳しい現実が突きつけられた瞬間でもあった。

しかしそこからの櫻坂46は躍進を遂げる。2024年6月の東京ドーム2days公演ではステージ裏まで埋め尽くす満席でリベンジを果たすと、2025年7月には東京ドーム3days公演へと規模を拡大。2026年には坂道グループ初、そして女性アイドルグループ初となる新国立競技場(MUFGスタジアム)での単独ライブ開催を成し遂げた。そんな躍進の裏には、松田がキャプテンとしてグループを支え続けた功績が大きくあったことは言うまでもないだろう。

現在募集中の「青葉坂46」のCMでは、表題曲センター最多の二期生・森田ひかるが「櫻坂46がもがいて咲かせた、誇り高き道」というセリフを語っている。かつて目の当たりにした厳しい現実から再起を果たし、前身の欅坂46とは異なる咲き方を見せている櫻坂46。森田を筆頭に、10月リリースの『愛MUST BE』を含む全16枚のシングルで表題曲のセンターを務めたメンバーは9名いるが、その中に松田里奈の名前は入っていない。しかし、パフォーマンスでグループを支え、『THE TIME,』などのテレビやメディアへの出演を通して櫻坂46の名を広めた松田もまた、グループを象徴する存在であったのは紛れもない事実だ。彼女が貫き通した咲き方は、櫻坂46という大きな花を満開にするためになくてはならないものだった。

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