2026-04-17 23:18

「It’s a piece of cake !」「俺の敵は、だいたい俺です」完結間近の漫画『宇宙兄弟』は名セリフ&迷擬音の宝庫だ!

6月11日発売の『モーニング第28号』(講談社)で最終話を迎えることが発表された大人気漫画『宇宙兄弟』。6月4日発売号から2週連続で表紙を飾り、約19年の連載に幕を下ろすことになる。単行本勢だった筆者も続きが気になるあまり雑誌と単行本の二刀流に。11日が待ち遠しく思いつつも、遂に終わってしまうのか……と寂しい気持ちもある。

子供のころにUFOと遭遇したことで、宇宙飛行士の夢を持った主人公の兄・南波六太(ムッタ)と弟・日々人(ヒビト)。六太は一度、その夢を諦めてしまうのだが、先に宇宙飛行士になった日々人の影響で再び宇宙を目指し、紆余曲折を経て、兄弟は月面上で再会する━━といったストーリーの本作には、多くの魅力的で個性豊かなキャラクターが登場する。彼らは二人の人生に大きな影響を与える“言葉”を授けており、『宇宙兄弟 心のノート「メモしたくなる言葉たち」』という作品の名言を集めた書籍が刊行されるほどだ。今回は、筆者の「心のノート」に刻み込まれては離れない、そんな言葉を紹介していく。

まずは「心のノート」というフレーズについて触れておく。発言者は、NASAの主任教官パイロットの通称ヤンじいで、訓練用ジェット機の操縦方法を南波兄弟に教えたヤンじいは、機体のチェック方法を確認する際に「お前の“頭のノート”にはチェック箇所の~」と発言する中、時々「今のは“心のノート”にメモっとけ」「メモる場所を間違えるなよ、ムッタ」と意図的に使い分けていた。頭で知識的に覚えることと、絶対に忘れてほしくない、心に留めておいてほしいことを区別する時に、ヤンじいは「心のノート」を用いていた。

ヤンじいが六太の「心のノート」にメモらせた言葉のひとつに、「“止まる”も“進む”もコントロールするのはお前だ」がある。この言葉も『宇宙兄弟』を語るうえで重要なフレーズだ。ヤンじいにアクロバット飛行をされてグロッキーな六太に対し、ヤンじいがもう一度乗るかどうか尋ねた時に出た言葉で、過去に弟の日々人が「もう一度乗せてほしい」と嬉しそうにリクエストしてきたことを引き合いに兄弟間のライバル意識を煽りつつ、自分自身が人生のコントロールを握っていることを伝えていた。ヤンじいの問いかけに、六太は「It’s a piece of cake !」と答えていた。

この「It’s a piece of cake」も、『宇宙兄弟』の読者なら一度は言ってみたい、使ったことがあるフレーズだろう。直訳すると「一切れ分のケーキ」は、六太が子どものとき、知り合いの天文学者・金子シャロン博士に、「自分は駄目な人間だ」を英語で何というか尋ねた時に教えてもらった言葉だ。

子どもの頃の六太は、「It’s a piece of cake」を「僕はケーキ一切れ分の価値しかないあっけないダメ人間です」という否定的な意味で捉えていた。元々六太が自分のことをネガティブに考えるタイプなことから、そんな六太が後ろ向きになったタイミングで遠回しに背中を押すべく、金子シャロン博士は「It’s a piece of cake」という言葉を授け、「楽勝」という意味があることをあえて教えなかった。大人になり「楽勝だよ」という意味を知った六太は、金子シャロン博士がALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病にかかり、夢だった月面望遠鏡の計画を六太に託すことをメールで伝えた際、「It’s a piece of cake」と返信。子どもの頃の思い出とともに、今度は六太が金子シャロン博士の背中を押すシーンは、作中でも人気の場面だ。

他にも、日々人の「もし諦めきれるんなら、そんなもん夢じゃねえ」という真っすぐなセリフもあれば、六太の「俺の敵は、だいたい俺です」と、何かと言い訳を考えてしまう自分自身こそが最大の敵であることを示した言葉など、「心のノート」にメモしておきたい言葉が『宇宙兄弟』にはたくさんある。また、名セリフだけでなく、『宇宙兄弟』で密かに人気を集める独特な擬音表現も注目してほしい。例えば、牛乳を飲むときの効果音が「ギュニュッ、ギュニュッ」だったり、占い師の呪文が「ナダユーイ ナダユーイ カタツヤイダクシュ ヨレイハロフ ナダユーイ ナダユーイ ヨケガミーハ ヨナクヒゼカ」と、一見すると意味のないように思えるが、それぞれを反対から読むと「良い湯だな 良い湯だな 宿題やったか? 風呂入れよ! 歯磨けよ! 風邪ひくなよ!」という、どこかで聞いたことがあるフレーズになって読める。細かいところに遊びが詰まっているのも『宇宙兄弟』の魅力だ。

現在、45巻まで刊行されている『宇宙兄弟』。最終巻46巻は7月23日に発売予定で、最終話の6月11日までは約2カ月を切っている。漫画アプリやネットカフェ、これを機に単行本を購入して読んでほしいところだが、45巻は長すぎると思った方にはこの言葉を贈りたい。It’s a piece of cake!

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