2022-02-15 17:00

船木誠勝「ガチンコでやれば八百長って言われなくなる 単純にそう思ってましたね」【UWF】

真剣勝負は5年待て

――その辺から、前田さんと気持ちの距離ができたわけですか。

船木 たぶん、違う方向を向いてたんでしょうね。自分は「UWFは真剣勝負だ」と言うなら、言ってることとやってることを合わせたい。でも、前田さんは、「それをやったら大変なことになる」という認識があって、「だから、いまはこのスタイルなんだ」っていうことを、自分に教えようとしてましたね。それで、何度も電話をもらって、話しましたよ。

――そのなかで、「真剣勝負にするのは5年待て」って言われたわけですか?

船木 そうですね。「5年か……その5年間、何をすればいいんだろう」って、気が遠くなった記憶がありますね。

――その「5年待て」っていうのは、前田さんは自分の引退後、次の世代が完全な格闘技としてのUWFをやればいいってことだったんですかね?

船木 たぶん、そういうことだと思います。「早く引退したい」というようなことも言ってましたから。

――当時、世間的には「UWF=前田日明」でしたから、自分の人気で軌道に乗せて、引退後に本格的な格闘技にするという。

船木 でも、その年の12月にUWFは解散してしまったんで、それもできずに終わりましたけどね。

――それから3年後。藤原組を経て、93年9月のパンクラス旗揚げ戦で、ついに全試合格闘技でやるというUWFの言行一致を実現することになるわけですよね。

船木 はい。あれはUWFの最終形をやりました。だからパンクラス旗揚げ戦の前は、不安と期待が半分半分ですね。やっと、堂々と胸を張れる試合ができるっていう喜びと、一体どうなるんだろうという恐怖感。あと、一番怖かったのが、これをファンが受け入れてくれるかでしたね。だから旗揚げ記者会見でも、悲壮感があったと思うんですよ。「自分たちはここまできてしまいました。これしかないんです。いつ死ぬかわからないけど、応援してください」というような感じで。そんなひたむきさ、真剣味がファンに伝わったんじゃないですかね。

――パンクラスは、旗揚げから大きな支持を受けましたもんね。UWFの最後の扉を開けたとき、どんな気持ちでしたか?

船木 旗揚げ戦の試合が終わって、控え室に戻ってきたとき、ホッとしてひとりで便所にこもって泣きました。そのあと、「ようやくできて、よかったね」って、選手みんなに言った記憶があります。ただ、これが到達点ではなく、スタートだったんですけどね。

取材・文=堀江ガンツ

船木誠勝=ふなき・まさかつ|1969年3月13日生まれ、青森県出身。中学卒業と同時に新日本プロレスに入門。15歳でデビューし、20歳で第二次UWFに移籍。93年にはパンクラスを設立し自身も活躍。00年にヒクソングレイシーに敗れ一時引退するも、復帰した。現在は「Hybrid Fitness」でインストラクターとしても活動中。

過去に発売された「BUBKA」より、注目の記事を紹介する<BUBKAアーカイブ>。今回は、2018年8月号より船木誠勝をピックアップしました。(※記事の情報は発売当時のもので最新のものではありません)

コロシアム2000 船木誠勝VSヒクソン・グレイシー
▼Amazonで購入

証言UWF 最終章 3派分裂後の真実
▼Amazonで購入

Twitterでシェア

MAGAZINE&BOOKS

BUBKA2025年5月号

BUBKA 2025年5月号

BUBKA RANKING17:30更新

  1. 「努力の天才」日向坂46松田好花、26歳の現在地━━今や年間テレビ出演回数100本超え、聴取率首位キープの“売れっ子”の8年間の軌跡
  2. クリープハイプ尾崎世界観、「生きづらさ」ゆえに感じる「生きやすさ」…吉田豪による新連載スタート
  3. 吉田豪新連載「what’s 豪ing on」Vol.2 向井秀徳
  4. 【吉田豪インタビュー】渡辺俊美、頑張らないこそ築けたキャリア
  5. 吉田豪「what’s 豪ing on」Vol.3 マヒトゥ・ザ・ピーポー
  6. 【吉田豪インタビュー】中村弘二、気合いがあったから今がある
  7. 吉田豪「what’s 豪ing on」Vol.5 崎山蒼志、愛情で磨かれた屈折率ゼロの才能
  8. 【吉田豪インタビュー】井上富雄、過去のものはそんなに引っ張らないでいきたい
  9. R-指定&KennyDoesが語る、それぞれのRIP SLYME「感」
  10. 吉田豪「what’s 豪ing on」Vol.4 澤部渡、「呪い」をどう楽しむかと思ってた
  1. 乃木坂46梅澤美波2nd写真集発売記念YouTube生配信決定「初日からほろ酔いになっちゃいました(笑)」予約特典公開に
  2. 日向坂46からは2人・櫻坂46からは4人…ハタチのアイドルを追ったグラビア誌 発売決定
  3. 乃木坂46新アーティスト写真公開!アルバム収録特典映像の内容も発表
  4. 「乃木坂46で一番 幸せなLovers」卒業直前の矢久保美緒がひたむきに愛を伝え続けた同期・遠藤さくらと念願の相思相愛!?
  5. AKB48 19期研究生・伊藤百花や花田藍衣ら5人全員が正規メンバーに昇格!21期生5人もお披露目に
  6. 乃木坂46 井上和が『乃木坂46ANN』パーソナリティデビュー! アニメの話題で豹変する「ゴッドタン」井上を佐久間宣行が「こんな早口だったっけ!?」と驚愕&激賞!
  7. 乃木坂46岩本蓮加「幸せな撮影期間」、冨里奈央「終わってしまうのが本当に寂しい」、ドラマ『ふたりエスケープ』クランクアップ
  8. AKB48 21期研究生・渡邉葵心「倉野尾さんのような意志の強いアイドルになりたい」
  9. 「日向坂のメンバーとしてやり残したことはない」松田好花が自らの成長の先に辿り着いたグループの未来のための「行動力」と、残り3ヶ月にかける思い
  10. 岡崎紗絵、20代最後のメモリアルな写真集「思いも一緒に詰まった120点」仕上がりに自信

関連記事