2021-12-04 06:00

【BUBKA1月号】「好きなやつだけ来りゃあいい」落合記念館という地平線

1993年11月、落合記念館がオープンした。巨人への移籍が決まる直前のことだった。いつか行かなくてはなるまいと思いながら時が過ぎていった。当時の落合は中日の監督を務めていたものの、こういうものはいつ閉館になってもおかしくはない。意を決して、一路和歌山へと向かったのであった。

朝6時に東京を出て、名古屋で特急に乗り換える。東京-名古屋より名古屋-太地(最寄り駅)の時間の方が長かったことには呆れたが、それも我慢しなくてはなるまい。この長旅は落合への愛が試されているのだ。

「好きなやつだけ来りゃあいい」

長時間の乗車で臀部にやや痛みを感じてきた頃、そんな声が聞こえてきた。和歌山に記念館を建立したのは、落合がファンを試しているに違いなかった。

木々が生い茂る単線を抜けると、ようやく太地駅が見えてきた。車内であらかじめ注文しておき、途中の駅で受け取るシステムの駅弁は、その頃にはすっかり平らげていた。

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