2022-11-03 11:05

【追悼】藤原喜明が語るアントニオ猪木

アントニオ猪木追悼インタビュー
アントニオ猪木追悼インタビュー
写真提供=平工幸雄

プロレス界のレジェンド、アントニオ猪木が10月1日に逝去した。数多くの関係者が追悼の意を表明するなか、組長・藤原喜明は多くを語ることはなかった。藤原は創設年の1972年に新日本に入門して以来、スパーリングパートナーに抜てきされ、海外遠征にも同行するなど、猪木と密接な関係にあったことは確かだ。今まで沈黙を貫いてきた組長に、今の心境、そして敬愛する師匠との思い出を語っていただいた。

心の準備

藤原喜明 今日は猪木さんの話だろ? あんまりしゃべりたくないんだよ、ホントはね。

――藤原さんは、10月10日に後楽園ホールで行われた「日本プロレス殿堂会」の大会でもノーコメントでしたよね。

藤原喜明 俺は試合をしに行ってるわけだから、わざとらしく猪木さんのことをしゃべりたくねえよ。しゃべってた人もいるけど、俺は心で思っていれば、別に人に言うことじゃねえって考えだから。

――でも、猪木さんが亡くなられたあと、みなさんSNS含めていろんなかたちで追悼コメントを出している中、藤原さんのコメントはなかなか出てこなかったので、相当落ち込んでるんじゃないかと心配ではあったんですよ。

藤原喜明 ショックは受けていたけど、「マスコミに向けてコメント出さなきゃ」なんて考えないもんな。猪木さんが亡くなったのは土曜日だったから、週が明けたあと事務所の人間に言われて、「残念です。たくさんの良い思い出をありがとうございました」って、ホームページで載せたんだけどね。あんまりペラペラ喋りたくねえし。

――言葉に出すと軽くなってしまうというか。

藤原喜明 いや、別にそんなことは考えないけど。こっちも事実を受け止めるだけでいっぱいいっぱいだよ。

――訃報はどのような形で知られたんですか?

藤原喜明 亡くなったのが7時だっけ?

――7時20分と発表されてましたね。

藤原喜明 8時ちょっとすぎに電話をもらってね。「亡くなりました」って。あー、来るべきものが来たなと思って。

――猪木さんは闘病生活を公開していたこともあって、心の準備みたいなものはある程度できていたと思うんですけど。それでもショックですよね。

藤原喜明 うん。心の準備みたいなものができてはいたけど、いざその日を迎えるとな。うーん……でも、考えようによっちゃあ、楽になったというかな。

――病床でかなりつらそうでしたもんね。

藤原喜明 そういう姿も知っていたから、この1~2年、電話がチリンチリンって鳴るたびにドキッとはしてたけどね。

――その報せじゃないか、と。

藤原喜明 (病に冒されてる箇所が)心臓だからね。今から3年ぐらい前かな。猪木さんから「俺はアミロイドーシスっていう難病なんだよ」って聞かされて。これは人に言っちゃまずいんだろうなって思って黙ってたら、自分で言ってたんだよね?

――比較的早い段階で公表してましたね。

藤原喜明 じゃあ、言ってもいいのかと。当時、猪木さんは77歳だったんだけど、「身内で77歳以上生きたのはひとりもいねえんだよ」って言われて。でも、猪木さんは79歳まで生きたから、長生きだったのかな。病気も遺伝性のあれがあるのかね?

――どうなんですかね。

藤原喜明 「難病だから(身内は)みんな(自分がアミロイドーシスに罹っていると)気づかないうちに逝ってたのかなあ?」みたいなことを言ってたけど。

――結局、死因は「アミロイドーシス」ではなく、どこかの臓器不全になるわけですもんね。

藤原喜明 俺もアミロイドーシスってなんだろうと思って調べたら、タンパク質がいろんな臓器に付いて機能障害を起こす病気で、猪木さんは心臓に付いてたんだよね。

――それが他の臓器だったら他の臓器の不全ということですもんね。

藤原喜明 そういうことだよね。

――藤原さんは以前、酔っ払ってる時に猪木さんに電話して、涙ながらに「俺より先に死なないでください」って言ったことがあるんですよね?

藤原喜明 あれは、もう7~8年も前だけどね。1人でちびりちびりやってたらさ、なんか急に悲しくなってな。涙がポロポロこぼれて、電話したんだよ。「絶対に俺より先に死なないでください」って。そしたら「なんだお前、泣いてんのか? ハハハハ! わかったわかった。死なないから」って。ちゃんと慰めてくれたんだよな。「ハハハハハハ!」って笑ってさ。

―― 酔っぱらった弟子からの電話にもちゃんと応対してくれて(笑)。

藤原喜明 だけど、ああ言ってたのにあの人は先に逝ってしまったけどね。

―― ……。でも、そうやって電話したりできる師弟関係だったわけですね。

藤原喜明 それは歳を取ってからだけどな。おととしの3月ごろだったかな。猪木さんから「おい、来いよ」って言われて、伊豆下田の観音温泉に2泊3日で行ったんだよ。でっかい旅館なんだけど、隣にちいちゃめの一軒家があってさ。猪木さんは、旅館の女将さんに「もうあそこは使ってないから、自由に使っていいですよ」って言われたらしくて、「あの離れの建物を合宿所にするから、お前ここに引っ越して管理人やれよ」って言うんだよ。

――なぜだ(笑)。

藤原喜明 「たまにレスラーを集めて合宿やろう」とか言うから、「嫌ですよ。こんな山の中に引っ越すなんて」って言ったら、「おまえ、盆栽やるんだったら、裏には温室もあるからいいぞ」とか言いながら「アハハハ!」って笑ってたけどね。

―― 猪木さんはまたレスラー集めて合宿やりたいと思ってたんですね。

藤原喜明 「藤原は料理もうまいんだから、管理人やってちゃんこも作れ」だからね(笑)。

取材・文=堀江ガンツ

――まだまだ続くインタビューは発売中の「BUBKA12月号」で!

藤原喜明=ふじわら・よしあき|1949年4月27日生まれ、岩手県出身。1972年に新日本プロレスに入門、藤波辰巳戦でデビュー。カール・ゴッチに師事してレスリング技術を学ぶ。1984年にUWFに移籍。新日本復帰、第2次UWF参加を経て、1991年3月にプロフェッショナルレスリング藤原組を旗揚げ。その実力ぶりから「関節技の鬼」として知られる。現在は俳優業やイラストレーターとしても活動。

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