「木村政彦が柔道を教えてるんですよ」保永昇男が語るリング以前と、プロレスの扉を開いた山本小鉄の一言┃『玉袋筋太郎の闘魂伝承座談会2』トークイベント開催記念インタビュー

11月2日(月)高円寺パンディットで『玉袋筋太郎の闘魂伝承座談会2』発売記念トークイベントが、新日本プロレス、ジャパンプロレスで活躍したジュニアヘビー級の異能戦士、保永昇男をゲストに迎えて行われる。題して「保永昇男のブロンド・アウトロー人生」。
ここではそれに先駆けて、弊社既刊の『玉袋筋太郎のプロレスラーと飲ろうぜ』より、玉袋筋太郎と構成作家の椎名基樹、プロレス格闘技ライターの堀江ガンツ、そして保永昇男による“変態座談会”をお届けしよう。
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木村政彦と乱取り
堀江ガンツ(以下、ガンツ):玉さん! 今回はまさにアウトローな方に来ていただきました!
玉袋筋太郎(以下、玉袋):男はやっぱりブロンド・アウトローズだよ!
椎名基樹(以下、椎名):あのアウトローっぷりに憧れちゃいますよね(笑)。
ガンツ:というわけで、今回のゲストは保永昇男さんです!
保永昇男(以下、保永):どうもよろしく。玉袋さんとお会いするのは、初めてですかね?
玉袋:僕は今回、初めてですね。
保永:たけしプロレス軍団(TPG)が両国に来た時は、まだいなかったんですか?
玉袋:あの頃はまだ、軍団の付き人みたいな感じだったんですよ。
保永:あの時は、俺も現場にいたからさ、「ああ、これが本物のビートたけしか」って思ったりね。
玉袋:同じ足立区出身で地元近えし(笑)。
保永:他にもいろいろいましたよね。グレート義太夫さんとか。それでヒロ(斎藤)さんに「ほら、お兄さんが来てるよ!」とか言ってね(笑)。
玉袋:ガハハハハ! 当時、グレート義太夫=ヒロ斎藤の同一人物説があったからね(笑)。
椎名:確かに似てる!(笑)。義太夫さん、太ってましたもんね。
玉袋:糖尿病やる前だからな。いきなりたまんねえな~(笑)。保永さんは、足立区のどの辺出身なんですか?
保永:ど田舎ですよ。亀有のもうちょっと奥ぐらいで。こっちの川を越えれば埼玉で、こっちの川を越えれば千葉ってところだったから。
玉袋:学生時代はアウトローじゃなかったんですか?
保永:そりゃあね、勉強も好きじゃないし。それなりにはね(笑)。で、あの頃はボクシングがすごく盛んだったんですよ。それで中学時代にはボクサーになりたいと思って。
玉袋:保永さんが中学っていうと、誰の時代ですか?
保永:西城正三とか。
玉袋:あー、西城さん! あとは大場政夫とか。
保永:大場は悲劇のヒーローだよね。足立区の実家の近くに農産高校ってあるんですけど。そこに大場さんの弟さんが行ってて、ボクシングはカネになるって聞いてたから、俺もやりたいと思ってね。
ガンツ:拳ひとつでカネを稼ごう、と。
玉袋:場所柄、もう完全に『あしたのジョー』の世界だな。泪橋も近えし。
椎名:ボクサーに憧れてとかじゃなく、「稼ぐぞ」って感じだったんですか?
保永:お金にならなかったらやらないよ。で、たまたま中学の担任が体育教師で、進路相談のとき「ボクサーなんて稼げるのはほんのひと握りで、パンチドランカーになるのがオチだぞ。高校ぐらいは行ったほうがいい」って言われてね。
玉袋:当時からもう、ドランカーの話って出てたんだな~。
保永:それで、どうしようかと思ってるときに、同級生にプロレス好きがいてね。学校で『ゴング』とかプロレス雑誌を見せてもらっているうちに俺もハマッちゃって。ミル・マスカラスとかカッコ良かったし。ボクシングがダメなら、プロレスで稼ぐのもいいかな、と思い始めてね。
椎名:「稼ぐ」ってことが前提としてあったんですね。俺、中学時代そんなことまったく考えてなかったから、すごい大人だなと思って(笑)。
保永:当時はまだ日プロ時代で、NET(現・テレビ朝日)で『ヤングプロレス』っていう番組をやってたんですよ。若手の試合だけを流す番組で、そこに高千穂さんや永源(遙)さん、たまに星野(勘太郎)さん、(山本)小鉄さん、ミツ・ヒライさんの試合なんかが流れててね。それを観てたら、またどんどんハマっていっちゃって。
椎名:若手の試合を観てたら夢がありますもんね。「自分でもやれるんじゃないか」って。
玉袋:で、プロレスに傾倒しながらも高校に進学して。高校は何科だったんですか? たぶん、工業高校だったと思うけど(笑)。
保永:いや、千住に(私立)足立学園ってあるんですよ。偏差値もない学校ですね。
椎名:偏差値がないんですか(笑)。
保永:いまはいい学校になってるみたいだけど、僕らの頃は(偏差値が)なかった。クスリやってるのか、(手をふらふらさせながら)こんなのとかいて。「コイツらと同級生になるのか?」って、俺でさえ思ったから(笑)。
玉袋:いいね~、学園天国だな(笑)。
ガンツ:その学園でレスラーを目指したんですか?
保永:もともとレスリングをやりたくて行ったんですよ。どういうわけか、八田一朗が学園の理事長で。
玉袋:出た! 八田イズム!
保永:なまじ中学の担任が体育教師だったから、「足立学園は、今年から八田一朗先生がレスリングに力を入れるから」って言われて、それで決めちゃったんですよ。ところが入ってみたら、同好会しかできてなくて(笑)。
椎名:「八田はどうしたんだ? 八田は?」と(笑)。
保永:それで友達と日体大や、大久保にあるスポーツ会館まで練習に行ったりして。で、「来年は部活に昇格するから」って言われたんだけど、それまで自主練だけじゃ身体がなまっちゃうから、とりあえず柔道部に籍を置いたんですよ。それでまた面白いのが、あの木村政彦が柔道を教えてるんですよ。
椎名:え~っ、木村政彦に習ったことがあるんですか?
保永:こんなゴッツイ身体をしてましたよ。背中がこのテーブルくらいの大きさで。
玉袋:ゴリラだよ、ゴリラ(笑)。
保永:で、学園は入ると強制的に剣道か柔道をやらなきゃいけないんで、みんな木村政彦先生に習ってたんですよ。
玉袋:更生施設だよ、それ(笑)。木村先生の指導法ってどんな感じだったんですか?
保永:先輩から「中学のときに柔道部だったって知られるといじめられるから、白帯をしていけ」って言われて。
ガンツ:経験者だとわかると、ものすごくキツくやられるわけですね(笑)。
保永:だから白帯をつけて素人を装って(笑)。でも、やってたかどうかはひと目でわかるみたいで、「おい、あんちゃん。乱取りやるぞ」って呼ばれて。乱取りっていうから、投げられたりするのかと思ったら、立ち絞めされてタップさせられた(笑)。
玉袋:いきなり首を絞めるって、それは指導じゃねえじゃん(笑)。
椎名:立っての絞め技なんて、リングス・ロシアでしか観たことないよ(笑)。
玉袋:でも、木村先生に立ち絞めやられてるって、保永さんすげえなあ。
保永:組み合ったときのオーラっていうんですかね。背は低いんですけど、身体がすごいデカく見えて。玉袋さんが言われたようにホントにゴリラのような感じで。
玉袋:ゴリラと柔道をやるって最高だな(笑)。で、それをやりながらプロレスは追いかけてたんですよね?
保永:そうですね。柔道もレスリングも、プロレスやるためだったんで。
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