2022-09-01 18:00

AKB48ら変わりゆくセンターの価値…60thシングルでは千葉恵里が初センターに抜擢

10月19日に60thシングル「久しぶりのリップグロス」をリリースするAKB48
10月19日に60thシングル「久しぶりのリップグロス」をリリースするAKB48
ⒸAKB48

かつて最新シングル発表前後になると、メンバー、ファン、関係者など誰もが気にしたセンターポジション。今、その場所に執拗にこだわるものがいなくなった印象がある。今回は、センターの価値の変質、そして、SKE48から近く卒業を迎える2人にフォーカスを当てた。

個の突出よりも一枚岩に

AKB48にとって60枚目のシングル『久しぶりのリップグロス』の新センターが千葉恵里(ちば えりい)と発表された。

これは8月6日に新曲のMV撮影現場から行われたYouTube生配信で発表されたもので、この配信で選抜メンバー16人も明らかになった。

千葉恵里は2015年に開催された「第2回AKB48グループドラフト会議」でチーム4から指名を受けたメンバーで、10月には19歳になる。初選抜は昨年の『根も葉もRumor』で、前作『元カレです』に続いて3作目の選抜入りにして早くもセンターに立った。活動歴は7年以上あるものの、抜擢といっていいだろう。

彼女の魅力はルックスもさることながら、その素直さにある。2018年、日韓合同オーディション番組『PRODUCE48』に出演した際、課題曲のダンスが難しかったため、「もう無理です」と発言し、話題になったことがある。最近のレギュラー番組でも周囲に忖度しない発言をところどころでしてきた。ツイッターのフォロワー数は9.2万人、インスタグラムは14.3万人。山内瑞葵、大盛真歩あたりと比べても多い。そのあたりが総合的に評価されたのだろう。

ちなみに、日向坂46の影山優佳とはドラフト会議を通じて親交があり、センター就任を祝う長文メッセージが届いたという。

どんな曲なのか、原稿執筆時点では不明だが、千葉のセンター姿がどれだけ似合うのか、あるいはAKB48がどんな方向性を楽曲によって示そうとしてくるのかを確認したい。

今回のシングルでは千葉がセンターに立ったが、ここ数年のAKB48のシングルのセンターを振り返ってみると、こうなる。

『サステナブル』矢作萌夏
『失恋、ありがとう』山内瑞葵
『根も葉もRumor』岡田奈々
『元カレです』本田仁美
『久しぶりのリップグロス』千葉恵里

今はこのメンバーを売り出したいという、運営の考えが反映されているのがよくわかる。その考えはまったく間違っていないし、それぞれのセンターにまったく異論はない。その時点で旬の商品を最前列に並べるのは経営者として至極当然のことだ。

最近、AKB48のメンバーを取材していて感じることは、センターになりたいと強くアピールする人が少なくなったということだ。

選抜に入りたいという感情は、よほど諦めていない限り誰にでもある。初選抜は3列目でも、次は2列目で踊りたいと願う。2列目が続けば、フロントで目立ちたいと考えるようになる。しかし、どうしてもセンターに立ちたいと考えているメンバーはほとんどいない。

理由はいくつかある。

一つは、自分だけにかかる重荷を背負いたくないというもの。自分がセンターに立った場合、売り上げやランキングを気にすることになるから、その責任を回避したいと考えるのだ。若くして、いきなりその負担を受け止めきれるものではない。

二つめは、目下のAKB48はそういうターンではないということ。激しいポジション争いをすることにあまり関心がなく、それよりも集団で何を見せるかのほうを重視している。自分は選抜を形成するパーツに徹するという考え方が浸透しているように感じる。

そして、選抜総選挙が開催されなくなったことも大きい。もちろん選抜、チームの公演、あるいはコンサートでの立ち位置は各メンバーにとって通知表的な意味を持つものの、順位を強烈に意識させられるイベントが激減したために、何かを争って獲得するという考え自体がメンバーの頭から徐々に薄れていったのだ。これはAKB48だけではなく、48グループ全体から感じ取れる空気感だ。

NMB48は今年、NAMBATTLE2で個人戦(=グループ内総選挙)を開催したが、「序列」という単語を他のグループよりもはるかに多く発し、負けず嫌いを決して隠そうとしないメンバーを抱える同グループらしいイベントだった。

次のシングルがどんな曲なのか、まだ判然としないが、『根も葉もRumor』と『元カレです』は、メンバーが一枚岩になり、1か月以上の練習期間を費やしダンスに没頭し、その成果を世に問うた。それが一定の成果を上げ、少なくとも2~3年前以上の評判を手にした。いかにヤバい作品を完成させるか。その方針は同時代的であり、AKB48のイメージを塗り替えようという心意気を感じさせてくれた。

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文/犬飼華

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