中西アルノが見た“歌い続ける意味” 黒沢薫と語る松崎しげるの圧倒的歌声

ゴスペラーズの黒沢 薫と乃木坂46の中西アルノがMCを務める音楽番組『Spicy Sessions(スパイシーセッションズ)』。CS放送「TBSチャンネル1最新ドラマ・音楽・映画」にて、7月25日(土)夜11時30分からは『Spicy Sessions with 松崎しげる』が放送される。今回収録を終えた黒沢と中西にインタビューを実施。そのオフィシャルインタビューが到着した。
――収録、お疲れさまでした。松崎しげるさんとのセッションはいかがでしたか?
黒沢薫:番組が始まった頃から、ずっとお呼びしたかった歌手の一人だったので、うれしかったです。
――「愛のメモリー」の迫力、すごかったですよね?
中西アルノ:もう、横で聴いていて“やばいこれ!”って。
――本当にやばかったんだろうなというのが伝わってきます。
中西アルノ:はい(笑)。とにかくパワーがすごくて、今日この後セッションするのに「愛のメモリー」を超えられるはずがないって思っちゃいました。もちろん松崎しげるさんの歌力、すごさを分かっていたつもりだったんですけど、近くで聴いたら「こりゃかなわない」って思いました。でも、本番中も言ったんですけど、歌い続けていたらここまでやれるようになるんだと思って。そしたら『Spicy Sessions』で歌い続ける意味って、すごくあるなと。まだまだたくさん、いろいろな意味が見つかりそうだなと思ったんです。

――黒沢さんはどうでした?
黒沢薫:いやもう……神々しかったですよ。照明じゃなくて、光って見えました。松崎さんが白いスーツを着てたからかもしれないけど(一同笑)。「愛のメモリー」って、もうみんな知った気になってるし、実際聴いてるし。松崎しげるさんご自身が結構いろんなバージョンを歌ってたり、自分でギャグにもしてる。で、実際に目の前で歌われると「あ、すみませんでした、今までって。こういう曲だったんですね」って。説得力というか、重みが違う。本当に神々しいって言い方が一番合ってるかもしれない。

――確かに。ハイトーンの権化、降臨って感じでしたよね?
黒沢薫:本当にね。で、ほら、松崎さんくらい歌い続けていると、こちらが思い出で補完して聴いてるみたいなことって、起きてくるじゃないですか。
――分かります。どうしても当時の声と違ってくるから、聴き手が思い出で補完してるってことですよね?
黒沢薫:そうそう。でも松崎さんの歌は、それが起きないんですよね。今が一番良い部分がちゃんとある。若々しく歌っていた時ももちろん良いんだけど、いや、これ今が一番良いんじゃないかなって思わされるというのがすごかった。
――圧倒感、そこにありますよね。歴史を越える圧倒感というか。
黒沢薫:そうそう、歴史を積み重ねた上でさらにっていうすごさ。本当に出演いただいて良かった。
――「Georgia On My Mind」について。黒沢さんが松崎さんとやりとりをしていた時、中西さんに「僕を見るんだ。こんな感じでやる時もあるんだ」と冗談混じりにおっしゃっていましたけど、こんな感じとは?
黒沢薫:松崎さんに、まぁまぁ奔走させられましてね。本当に決まらないまま歌ったので。「こんな感じだけど、どう?」みたいな。MCとしてはアルノさんとは対等だし、むしろコメント力ではアルノさんの方が上だと思うこともあるんですよ。でも歌い手としては先輩なので、こういう場合は、こういうふうに歌うんですよってところを見せなきゃいけないと思ったんです。だから出た言葉。でも本当に分からなかったから。しげるさんが「一緒に歌う」って言っているのは、ユニゾンではないんですよ。だから、本当に歌いながら探って、その場でやっていました。後で収録音源を聴いたら、ちょっとヒョロってしてるところもあると思うんだけど、でもそれがリアル。これこそセッションだと思う。不安もあったけど。

――歌唱前の歌割りで、松崎さんがどういう感じでくるかは、予想できたんですか?
黒沢薫:レイ・チャールズの音源通りにはいかないだろうなとは思いました。で、やっぱりいかなかったんですけど、そうなった時にどうするかっていうのは『Spicy Sessions』ですごく鍛えられたと思う。歌い散らかすだけじゃなく、相手を受けて、ちゃんと歌、曲として成立させられるようになったのは、この番組のおかげかなと思います。

――「見上げてごらん夜の星を」について伺います。中西さん、後半にサビをリピートする箇所があったじゃないですか。あそこは、本番で打ち合わせをした通りに松崎さんは歌われました?
中西アルノ:いや、一切(笑)。(黒沢に)ですよね?
黒沢薫:もう全然(笑)。
中西アルノ:同じだったかどうかすら、もはや考えないようにしていたというか。絶対自由に歌われる方だろうなと思っていましたし、「Georgia On My Mind」で翻弄されている黒沢さんを見ていましたし。私の番が来るぞっていう(笑)。特にラストのハモリのところは寄り添いつつ、どう崩していっても私もついていけるようにっていう心構えをしつつ、歌いました。
黒沢薫:いいね。歌心の膝を柔らかくする。いつでもどの動きでもダッシュできるように。そうそうそう、最高ですね、アルノさん。

――ステージングまでやったのは初めてっておっしゃっていましたね?
黒沢薫:僕も正面から見てないから。楽しみですね。映像を見るのが。
――黒沢さんが本番中におっしゃったように、ちゃんとデュエット曲になってましたよね。
黒沢薫:そうなんです。ちゃんとデュエットになってた。すごく良かったです。

――「Georgia On My Mind」も「見上げてごらん夜の星を」も、ある意味、スタンダードナンバーじゃないですか。それぞれの解釈で、原曲にも寄り過ぎず、ちゃんとゲストとの共通点を見つけて。そういうセッションのすごさが、スタンダードナンバーだからこそ、はっきり分かりました。
黒沢薫:みんなが知っている曲だからこそ、違いがよく分かるっていうのはあると思う。結局、本番で完成させるしかない。でも完成形はどうなるか、最後まで分からない。そこが面白いわけで。そこを改めて提示できたのが、今回の『Spicy Sessions』だったのではないか、と。
――「マイ・ラブ(I Gave You My Love)」はいかがでしたか?
黒沢薫:この曲は、ゴスペラーズのツアー中、なんとなく朝テレビをつけてたら『噂の刑事トミーとマツ』の再放送がやっていて。好きなドラマだったから、そのまま観ていて、最後にエンディングの曲を聴いた時に「めちゃくちゃいい曲じゃん、何この曲?」って思ったんですよ。好きで観てたのに、しばらく忘れてたんだよね。でもこの曲を歌う機会って、やっぱりないんですよね。いい曲なのに。最近は、あまり歌われていないようないい曲を「これいい曲でしょ?」ってプレゼンするのも、『Spicy Sessions』の役割としてあると思っていて。いろんな世代に、名曲があるじゃないですか。例えば僕らの世代のリスナーは、アルノさんが過去に歌ったさユりさんを知らない人も多いと思うんですよ。でもこの番組で知って、さユりさんを聴く人もきっといるし。majikoさんもそう。アルノさんがああやって絶賛していなかったら知らなかった。でもいい曲いっぱいあるじゃん。今回は、その逆バージョンというか。昔の曲でも、こんなにいい曲ありますよって紹介することは、番組として意味があるかなって。



――意味のある曲にするには……セレクトも重要ですよね?
黒沢薫:そうなんです! ちゃんといい曲でなきゃいけないし、いい曲として歌わなきゃいけない。今回、それはできたかな。
――2人で歌ったマイケル・ジャクソンの「I Just Can’t Stop Loving You」も、同じ文脈になりますね。もちろん、それだけじゃないと思いますが?
黒沢薫:そうですね。これはもう映画に乗っかったところもあるんだけど。

――中西さんはマイケル・ジャクソンを歌われたのは初めてでしたよね? マイケル・ジャクソンを知ったのは?
中西アルノ:おばあちゃんがマイケル・ジャクソン大好きで。
黒沢薫:おばあちゃんかっこいいな。アルノさんのおばあちゃんは、話を聞いてるとずっとかっこいい。
中西アルノ:エルヴィス・プレスリーとか、洋楽が大好きなおばあちゃんで。おばあちゃんの部屋に行くと、いつもマイケル・ジャクソンが流れていて、その中にこの曲もあったんです。
黒沢薫:あ、じゃあ聴いてたんだね。
中西アルノ:はい。今日、おばあちゃん、観覧に来ていて……。
黒沢薫:そうなの? おばあちゃんに後で感想聞いて。
中西アルノ:はい、わかりました! 超満足してると思います。

――黒沢さん、「I Just Can’t Stop Loving You」は、マイケル・ジャクソンの歌い方に結構寄せてるなと思ったんです。その理由は?
黒沢薫:セッションやカバーって二つあると思っていて。一つは、完全に自分の解釈に寄せるパターン。俺はこの歌をこういうふうに歌いたいっていう。もう一つは、原曲のテイクがすごく良いから、このテイクの良さを表現したいっていうパターン。「I Just Can’t Stop Loving You」の場合、アルバム『BAD』のバージョンは、そんなに寄せたいと思わないけど、今回はドキュメンタリー映画『THIS IS IT』(2009年公開)の中で、本当にリハーサルの初回で、マイケルが「はい、こういうことやるんですよ、デュエットの女の子にこうだよこうだよ」って煽ってる感じがすごく好きなのと、なんていうのかな……これって僕とアルノさんの関係性の相似形なのかなとも思って。ちゃんと歌っていてキャリアもあるけど、でも今回このセッション初めてですよっていう人に対して、俺はこうだよこうだよってやってる感じが、面白く伝わるかもなと思ったんです。

――つまり、映画のワンシーンと『Spicy Sessions』のMC2人の関係性が重なったわけですね?
黒沢薫:そうそうそう。で、まさに翻弄(ほんろう)されているアルノさんっていう図があるわけですから。ちょっと戸惑いつつ、それに乗っかっていって、最後のアドリブのところも、自分から積極的にいくんじゃなくて、なんか黒沢がやってるから私もやろうかな、くらいの。
中西アルノ:引っ張り出されてる感じ、ですよね。
黒沢薫:そうそうそうそうそう。おまえもやれよって言われて「え? 私やんの?」みたいな感じ。あの温度感が欲しかったの。
――黒沢さんと歌っていて「師匠、私になんか投げるでしょ?」みたいな気持ちはあるんですか?
中西アルノ:その感じはありつつも、こういうアドリブの、完全に丸投げっていうのは「Bring It On Home to Me」(2024年7月放送/第7回目)の時とか。
黒沢薫:あれはワンフレーズだけだからね。
中西アルノ:そうですね。今回は結構ラリーがありましたよね。きた、うけた、まだもう1回、もう1回来る! みたいな。だから内心ではちょっともう限界と思いつつやってたんですけど(一同笑)。でも確かに、さっき黒沢さんがおっしゃった映画のシーンを観た時に、すごく重なったというか。マイケル・ジャクソンが「ほら戸惑ってないで、やってみて」っていうのと、この戸惑いつつ、私も乗っかりつつっていうのが重なって。これが黒沢さんのやりたかったことなんだっていうのは理解して歌えました。
――中西さんは、黒沢 薫のすごい理解者ですね。
黒沢薫:ほんとありがたいですよね。僕がアルノさんに求めていることって、ある意味、めちゃくちゃじゃないですか(一同爆笑)。
――こうして言葉にするとね。でも歌は最高でしたよ。
黒沢薫:だからあれが最適解だったんですよ。で、アルノさんはもう1回来たらやばいやばいって思ってたかもしれないけど、ちゃんと自分のアドリブで、ここで終わりですよっていうのを示してくれた。物足りなかったら、僕、もう1回行くんですよ。でもアルノさんは、ちゃんと順を追って、「はい、ここでおしまいです、黒沢さん」っていうのを歌声で伝えてくれるんです。2人で会話をしながら歌うことができた。本当にいい表現ができたと思ってます。
放送情報
<放送日時>
『Spicy Sessions with 松崎しげる』
2026年7月25日(土)午後11時30分~深夜0時30分
【乃木坂46中西アルノ表紙:BRODY 2025年10月号通常版】
⇒ Amazonで購入

【乃木坂46中西アルノ表紙:BRODY (ブロディ) 2025年 2月号】
⇒ Amazonで購入

【BUBKA (ブブカ) 2026年 1月号】
⇒ Amazonで購入











