『Kohmi EXPO 2025』開催記念、広瀬香美×フィロソフィーのダンス・奥津マリリ&日向ハルインタビュー|“ロマンスの神様”のSNS投稿をきっかけに、共演するまでに至った二組による愛と尊敬の音楽トーク
女王を味方に
――そして、おふたりは広瀬さんの突然のポストを見ることになり(ツアーの東京公演がソールドアウトしたお知らせを引用する形で「行きたかった。#フィロソフィーのダンス」とポスト)。
日向:わけがわからないけど、なんで知ってくださってるんだろうって思いました。しかも、知ってからSNSにポストするまでのハードルって高いじゃないですか。公式のアカウントでわざわざ呟いてくださるというのは相当なことだから、見た瞬間に目が覚めました。
広瀬:その一年前くらいからずっとハートマーク押してましたから。裏アカで。
奥津:そのアカウント探したい(笑)。あの呟きを見た時は、なりすましじゃないか、ちゃんと検索しましたもん。過去のポストも遡って、どうやら本人っぽいなと。最初はやっぱり半信半疑で信じられなかったです。
広瀬:私は年の半分はアメリカにいるんですね。アメリカにいる時に行きたいライブの情報を目にすることが多いので、日本に帰ってくるとすごく行きたくなるんですよ。もしかしたら今回は行けるかもしれない……でもやっぱり行けない! という感じだったので、もう悔しいから呟いちゃいました。
奥津:音源や動画を調べるだけじゃなくて実際にライブに行くこともあるんですね。
広瀬:もちろんです。裏アカの人として、招待で入れてもらうとかではなく普通にチケットを取ってスタッフと一緒に行ったりします。
――広瀬さんはいつも新しい才能と出会うことに積極的ですよね。
広瀬:もうね……食べちゃいたい。
奥津:あはははは! 食べられちゃいたいです(笑)。
広瀬:吸収したい。きっと悔しいんだと思います。自分のデータにないパフォーマンスだったり、自分のなかで新しいと思うものが出てきて想定外のことやられちゃうと「なんですかこの人たちは! 何何何?」ってなるんです。だから吸収して自分の中で腹落ちさせたいんですよね。悔しいし、大好きなのでそう思うんですよ。
日向:「食べちゃいたい」は初めて言われました(笑)。
奥津:その食欲があること、そのエネルギーがすごいです。やっぱり調べたり見たりしても、実際に自分のなかに取り込もうというところまではなかなかいかないと思うので、そういうエネルギーが広瀬さんを作っているんだなと思います。
広瀬:デビューの頃とかはもっともっと若かったから、先輩たちの食べちゃいたいと思うような素晴らしいコード進行とかパフォーマンスであっても、やっぱり相手にされなかったところもあって。今はちょっとした大御所になってきたから(笑)、この名前を活かして、「ロマンスの神様」でございますけどって言ったら、みんなが教えてくれちゃったりするじゃないですか。そうやって“レバレッジ”を効かせて色々と人に聞いてます(笑)。
――下の世代に対してオープンな姿勢でいるのが素晴らしいと思います。
日向:しかもこういうインタビューの場で堂々と裏アカで見ていると言っちゃうのがすごい。素性を隠すためのものなのに!
広瀬:裏アカは男の子としてやってます(笑)。たまにフォローされて、アーティストのファンの方にライブに誘われますよ。一緒に行きませんかって。でも、単独行動する孤高の存在なので、そういうときはフォローされても外してます(笑)。
奥津:おもしろすぎます。
――ちなみに広瀬さんが惹かれたのは歌でしょうか、曲でしょうか、ダンスなどを含めたライブパフォーマンスでしょうか。
広瀬:リズムと、動きと、この可愛さです。歌もしっかりしているじゃないですか。普通はどっちかに振るのに。なんだけど、リズムはかっこいいし、ファンクだしソウルだし、踊る。そしてなにより歌が上手い。シンガーとしても素晴らしいですから。(日向を見て)ハスキーな歌声でドスが効いてますよね。
日向:ありがとうございます(笑)。
広瀬:歌い分けもよく考えられてますよね。みなさんが苦労なさりながら、楽しみながら考えているんだろうなと感じます。だから、どうしてこうなっているんだろうとプロ心をくすぐる存在なんですよね。私には加茂さんの置いたエサが見えたんです。食いつくか? っていう。私はそれを見て4秒くらいでビビッときてパクッといっちゃった(笑)。私のなかで全部のバランスがよかったんですよね。玄人受けじゃないですか? 分析したくなりますもの。
――それは仰る通りで、玄人層にめっぽう強いんですよね。それが広がりという意味では悩みだったこともあって。
広瀬:そうなんですか?
日向:アイドルイベントに出るとアイドルオタクはコールを打つのが主流というか、それがごく普通の乗り方だから、私たちのライブの時にどう過ごしていいかわからなそうなこともあって。アイドルグループとしてやっていくのにこういう楽曲でいいんだろうかって悩んだ時期もあったので、こうやって見つけていただいて、アイドルグループとしてどれも捨てずに全部を頑張ってきてよかったですし、楽曲を育てていけてよかったなって思いました。
広瀬:たしかにアイドルさんにはいろんな形の売りがあって。そういう人たちがたまたまバーンって行っちゃったりすると、そこに寄って行きたくなるような気持ちも、ある時期はあるよね。でも、もっと尖ったらいいよね。
奥津:えー! もう相談したいです。次はどういう曲を作るかっていう企画会議とかに参加してほしいです。
広瀬:だったら、私にサビを作らせていただくのは? サビだけちょっと私に。
奥津:え〜嬉しいです!
日向:贅沢すぎます。
広瀬:このまま絶対にブレちゃいけないと思う。さらに尖っていったほうがいいよ。
奥津:広瀬さんにそう言っていただけるのは自信になります。音楽を愛する人がここまで太鼓判を押してくれるというか、背中を押していただいて、すごく良いお土産をいただけた気がします。
広瀬:いやいや、本当に自信持っていったほうがいいと思います。自信もおありでしょうけど、歌も上手いし、可愛いし、踊れるし、サウンドもかっこいいから。これは今のレコード会社や事務所さんがどれだけ投資してもなかなか作れないよ。奇跡的なものだから、なにかを壊しちゃったり、1個ずつ外しちゃったりするともう戻ってこないものだから。フィロソフィーのダンスみたいなコンセプトって後追いではできないんですよ。やっても「フィロソフィーのダンスじゃん」って言われちゃうから。そこにはもうコマを置けない。皆さんはそういう場所を陣取っているし、10年間という素晴らしい経歴がありますよね。私はたまたま9年間出会えなかったんだけど、今はそこを綿飴みたいに巻き取っているところだと思うから、こういう音楽が好きな人は必ず出会うことになるんですよ。だから、さらに尖らせていって、バーンといくタイミングでこれまでの10年間が全部くっついてくるような気がします。絶対に滲ませないほうがいい。さらにファンクだよ!
奥津:さらにファンク!
――長く活動をするなかで、多少迷うことやブレることもあったと思うんですよ。でも、広瀬さんのこういう言葉を聞くと外野の私が泣きそうです(笑)。
奥津:本当に。
日向:感動しましたよ……。
広瀬:フィロソフィーのダンスはチームとしてこれから何が目標ですか? 何に向かっていらっしゃるんですか?
奥津:場所で言ったらもっと大きなところ、例えば日本武道館に立ってみたいなという気持ちはありますし、あとはアイドルというものはこういうのもいるんだよ、みたいな面白いコンテンツになったらいいなと思ってます。
広瀬:後者はもう今のまま突き進んだらよくて、武道館ね。でも、このまま行ってたらできるんじゃない? これまでのことを巻き取るタイミングでバンってやれれば。
日向:タイミングが大事ですよね。
――まだまだ続くインタビューは、『BUBKA』(2025年9月号)をチェック!

撮影/市川秀明
広瀬香美プロフィール
1966年4月12日生まれ、福岡県出身。『ロマンスの神様』『ゲレンデが溶けるほど恋したい』『promise』など数多の代表曲を生んできたシンガーソングライター。TUBEとのコラボで話題を呼んだ最新作『ロマンス・イン・ザ・サン』も現在発売中。
フィロソフィーのダンス・奥津マリリプロフィール
7月11日生まれ、神奈川県出身。フィロソフィーのダンスのリーダー。メロウな歌声でリードボーカルも務める。そのスタイルを活かしてグラビアシーンでも活躍中。
フィロソフィーのダンス・日向ハルプロフィール
1月16日生まれ、東京都出身。フィロソフィーのダンスが誇るパワフルシンガー。「関ジャム」の“令和のアイドル界スゴいボーカリスト10人に選ばれるなど、ソウルフルでハスキーな歌声を響かせる。

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