2025-05-13 12:00

プー・ルイ×古正寺恵巳、元BiSから今のアイドルシーンへ。「60歳の私と本当にチェキ撮ってくれるのか!?って思いますけど」

プー・ルイ(左)×古正寺恵巳(右)
ⒸByakuya Shobo Co.,Ltd 2025

2010年代のアイドル戦国時代を経て、2020年代半ばの今、大きく変容するアイドルシーンに迫る特別対談を実施。BiSとしてかつての時代を過激に駆け抜けたプー・ルイと古正寺恵巳の二人にインタビューを行い、今なお続いているアイドル人生のあれこれを語り尽くしてもらった。

いつ辞めるのか問題

――遡るとプー・ルイさんがBiSを始めてから15年経ち、古正寺さんがBiSに加入したのも12年前のことになるわけですが、おふたりがなぜアイドル活動を続けてこられたのかが今回のテーマになります。

プー・ルイ(以下、プー):それはやっぱりかわいいからじゃないですか?

古正寺恵巳(以下、古正寺):はっはっは!

プー:15年のなかでやっぱいまが一番かわいいから。KAWAII LAB .も流行ってますし。

古正寺:だね。

――だね、じゃないんですよ(笑)。KAWAII LAB .のやっていることの対極にいたような人たちだったわけで。

プー:失礼な(笑)。でも、仕事で人に会うとめっちゃ言われますね。BiS=ブスのイメージが強かったのか「意外とかわいいんだね」って。

古正寺:それはほんとに失礼じゃん。

プー:当時から存在は知ってたけど会ったことはないような人たちはそう思ってたみたい。

――パブリックイメージがそう思わせていたというか。

古正寺:それもあるし、写真もワザとちょっとブサイクにしてたのかな? そういう運営方針だと思ってました。実際会ったときに「実物のほうがかわいいな」となるように。

プー:それ聞いたことある。ブスな写真を選んだつもりはないけど、会ったときにかわいいと思ってもらったほうがよくね? って。あと、私たちって会うと普通なんだよね。当時狂ってたのは大人なので。私たちは頭おかしいというより、ファニーなほうの可笑しさだったはずなので。

――よく言おうとしてますよね(笑)。端的に狂ってましたよ。それが、去年の歌舞伎町での再結成ライブでは、ある意味で美化された存在になった感もありました。

プー:なぜか人気者感があったよね。

古正寺:外タレかと思った。

プー:でも、あの日だけです。以降は元通り(笑)。ウイぽん(ファーストサマーウイカ)だけは変わらず人気者ですけど。

――再結成ができたのもみなさんが表で活動しているからですよね。そのモチベーションを聞いてみたいんです。同時期に走ってきたアイドルたちは大勢いたけれど、そのほとんどがいなくなっているわけで。

プー:売れた人以外はそうですね。

古正寺:でんぱ組.incが今年、エンディングを迎えたじゃないですか。BiSとでんぱって二本柱みたいな時期があったと思うんです。

プー:サブカルアイドル的なね。

古正寺:そうそう。ラストライブを見に行ったら、最後のエンドロールにBiSの名前を入れてくれてて。そこでめっちゃいろいろ感じましたし、もうかなりの時間が経ったんだなって。ただ、私もプー・ルイも何個もグループをやってきたので、そのたびにリセットされる感覚があるんですよ。

プー:わかる。プー・ルイは15年続いてるけど、3年おきくらいでリセットされてる感じがある。

古正寺:生まれ変わってる感覚があるのでまだ4年目みたいな気持ちもある。いまのMAPAのメンバーと同じ感覚でいるのかもしれない。

プー:それでも寂しさはありますよ。同期がいないなって。グループをやっていても、本当の意味での仲間となるとここ(古正寺)になっちゃう。その感覚もずっとある。

――古正寺さんがここまで長く続けているなんて想像もつかなかったです。

プー:たしかに。やる気なかったもんね(笑)。

古正寺:そんなことないって。

プー:今日の取材も時間通りに来てるし。

古正寺:それは電車のタイミングがよくて巻きに巻いただけだから(笑)。

――BiSに入った頃の古正寺さんは言葉を選ばすに言うとからっぽで、それが当時の熾烈な活動で疲弊していたメンバーの癒しになっていた感もありました。

プー:そうでした。逆にいまは背負っちゃう立場になって。

古正寺:そんなでもないけどなぁ。なんでもメンバーにやってもらってますけどね。BiSのときは本当になにも考えてなかったので、全部を吸収したんですね。その経験がなかったらいまはなかったなって思います。リハーサルにしても、プー・ルイがマイクチェックで「よろしくお願いします。○番です」みたいにしっかりやっていたのを参考にしていまでも同じようにやってますもん。BiSとして横アリに立てたという財産もあるので、それを糧にしている部分もあるかもしれないですし。

――第一期のメンバーがいまも活動しているのはそれも大きいのかなと思うんです。

プー:ステージからの景色を知っちゃってますからね。知らなかったらもっと簡単に諦めてるかもしれない。

古正寺:でも、どちらかと言うと、じゃあどう終わるんだろうという疑問もある。終わりかたがわからない(笑)。

プー:終わるタイミングはいくらでもあったと思うんですけど、なぜか止まらなかったよね。

――そのなぜかを知りたいんですよね。

プー:アイドル以外でやりたいことがないのかも。(カミヤ)サキちゃんだったらアイドルをやるなかでダンスが好きかも、振付のほうが楽しいかも、と思ったときがあって振付師になったわけですよね。私にはそれにあたるものがいまだにないんです。YouTuberくらい?(笑)

――目指した時期がありましたね。

プー:でもYouTubeはアイドル活動の一環としてやることで、やっぱりアイドルが一番好きだし、一番楽しいというのは変わらないですね。

――そう思っていても、ここまで続けられた人はごく稀で、ひと握りしかいないわけで。しかも、BiSはシーンのアウトサイドから騒ぎを起こしていたわけですよ。そんな人たちが誰よりもシーンにいるというのはすごくおもしろいなと思うんです。

プー:ここまでくるとおもろくなってきましたよね(笑)。最近の悩みはいつ辞めんのか、それとも永遠にやるのかです。赤ちゃん背負ってやってほしいとか、60歳になってもアイドルやっててほしいとか言われるんです。それを言われると嬉しい反面、60歳の私と本当にチェキ撮ってくれるのか!?って思いますけど、それはそれでおもしろいのかなって。

アイドル枠の外を見る

――しかし、よくここまで生き残ってこられたよね、みたいな話にならないのがふたりらしいなと思います。

プー:きっとバカなんだと思います。大変だったなぁ、とはならない。当時は大変だったと口では言うことがあっても、本心では思ってないんです。楽しかったねって思ってる(笑)。ふつうに会社員として働いたりするほうが大変だと思いますよ。じっと座ることができないですし。

古正寺:それは思う。私はブクガを経て少し空いた時期があったんです。ガスとかケータイも止まって、さすがに働かないと生きていけなくなって、1カ月くらい派遣で働いたんです。

――そうだったんですね。

古正寺:それがマジで無理でした。8時から夕方の18時とかで働いたのかな。そうするともうヘトヘトになって、明日も早いしと思ってすぐ寝ちゃうんです。それしかできなくて、予定を入れられない。ライブが好きならふつうに働いてライブを見に行く人になってもいいと思ったんですけど、私には無理だとなりました。ファンの人は仕事に行ってからライブに来るので、本当にすごいとわかりました。

プー:だから、マジでこれ以外にできない。かっこ悪いもんですよ。

古正寺:信念を持ってやってますって言いたいんですけどね。

――そんな謙遜しなくても(笑)。2010年前半のアイドルシーンは上げ相場だったじゃないですか。

プー:もうバブルでしたね。

――ある意味、誰がやっても勝ち馬に乗れる状態でしたけど、そうではなくなった今でもやっている。

プー:やってるんですよ、不思議と(笑)。さすがにいまはアイドル文化が盛んではないなと感じてはいますけど、でも、かわいい系が盛り上がってるじゃないですか。その少し前はアイドルシーン自体が盛り上がってなかったので。

――コロナ直後あたりはブーム終焉にとどめを刺された感じでしたよね。

プー:だから、ありがたいんですよね。うちらはかわいいので一矢報いることもできるし(笑)。真面目な話、そこのファンが増えるということは、単純にアイドルに興味がある人も増えるということじゃないですか。流行らないよりはいいと思うから頑張ってほしいなと思います。可愛いのでおこぼれ待ちです。

古正寺:そのときを待とう(笑)。

プー:その間に色々考えて行動するのも好きなんです。じゃあ別のところからどうやってお客さんをとってくるかって。私はファンの人からよく迷走してるって言われるんですけど、自分的には別に迷走してないし、いろいろ試すことが楽しいんです。そこは2010年代と変わらないですよ。全裸のMVだってアイドルファンを狙いにいってなかったじゃないですか。それの2020年版を、まだうまくはいってないけど探してるという感じなんです。いまはバイク女子になろうとして教習所に通ってますし(笑)。

――バイク女子にチャンスがあるかどうかなんて誰もわからないですしね。突然キャンプにハマったりしてましたし。アイドルファンが増えるという話で言うと、KAWAII LAB .もTOKYO PINKもいまは女性ファンが圧倒的な割合で。

プー:PIGGSは割合で言うとおじさまが多いけど、MAPAは女の子多いよね。真面目に話すと歌ってる内容的にもファン層的にもおこぼれのワンチャンがあるのはMAPAな気がする。

古正寺:女の子に支えられて生きてます(笑)。先日、恋愛曲をたくさんやったライブがあったんです。かわいい曲ばかりにしちゃったなと思ったんですけど、たまたまその日は元ブクガの井上唯と元クマリデパートからリサコが見に来てくれたんですよ。それで感想を聞いたら「かわいかった? かっこよかったけどな」って反応で。MAPAのかわいい曲はKAWAII LAB .とは違うんだと思ったんですよね。

プー:それはそうだろ(笑)。

古正寺:ちょっと違う層のかわいいだった(笑)。PIGGSは女性ファンの多いメンバーはいるの?

プー:いるにはいるけど、その子の列でも8割女性みたいなことではないね。

――今回は一応カルチャーのページで、演者としての2010年代と2020年代のシーンの違いみたいなところも聞けるといいのかなと思ってはいたのですが、おふたりは俯瞰して分析するタイプでもなさそうだと気づきました(笑)。

プー:人選ミスですね(笑)。でも、ゼロから始めた自分と、ある程度売れてから入ってきたコショというそもそもの違いがあるので、なんでいまも続けているのかの理由もちょっと変わってくる気がします。

――プー・ルイさんはまたゼロから作ればいいやと思える人ですよね。そこは強いなと思います。

プー:そうそう、ゼロばかり経験してるので(笑)。だからいまも大変なことを大変と思わないのかも。そもそもアイドルに詳しくてアイドルを始めたわけではないし、いろいろなことをやってアイドル好きじゃない人を増やしていった経験が私のなかの正解になっちゃってるんですよね。もしアイドルファンがいなくても、ほかからとってくればいいじゃんという感覚なのかもしれない。

――PIGGSも共同生活をひとつの売りにしていたけど、それをあっさりとやめたのもプー・ルイさんらしい思い切りのよさだと思いました。

プー:振り回されるほうは大変でしょうけどね(笑)。

古正寺:その影響は受けてるかも。誰もいなかったらすごく不安だと思うけど、プー・ルイがいるので。なんで続けているのかをまだ考えてるんですけど、時間やお金を使ってファンの人が来てくれるじゃないですか。それに対する感謝がすごくあって、もし私が辞めたら筋が通らないなと思ったんです。あげて、もらって、というのをお互いで繰り返すなかで、もし活動を辞めてしまったら、自分もこの人たちもどこに行くんだろうとなるし、その想像がつかないんですよね。

プー:ファン思いだね。優しい。

古正寺:私はBiSが好きで入ったから、BiSがなくなったらもういいやって思ってたんです。ほかだったらやる意味がないって。でも、すごく寂しいなと思っちゃったし、メンバーのみんなが活動を続けるなら、私も続けてたらまた6人でステージに立てるかなと思って次の活動を始めたところがあるので、それを考えると終わりが考えられないんですよね。

取材・文=南波一海

プー・ルイ、プロフィール

2010年よりBiSとして活動。2018年にBiSを脱退後、BILLIE IDLE®として2019年まで活動。2020年からは株式会社プープーランド代表取締役を務め、PIGGSのプロデューサー兼メンバーとして活躍中。

古正寺恵巳、プロフィール

2013年にBiS第1期最後の新メンバーとして加入。2014年の解散ライブ後はMaisonbook girlのメンバーとして活動。2021年より大森靖子プロデュースのグループMAPAの結成メンバーとして現在に至るまで活躍中。

BiSとは

2010年に結成されたアイドルグループ。今年2025年に第3期が解散
し、活動に幕を下ろした。プー・ルイ、古正寺が共に在籍したのは第1
期BiSで、過激なプロモーションや研究員(ファンの総称)を巻き込んだ数々の仕掛けで人気を博した。

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