2025-05-18 09:00

「ラジオ屋さんごっこ」インタビュー|「ラジご」がひらく雑談とインフルエンス

写真左から、リー子、valknee、つかさ
写真左から、リー子、valknee、つかさ

普遍性と不変性

――「嫌い」だけではなくて、「好き」でも炎上することがありすぎて、誰もが発信すること自体が億劫になって、それがカルチャーの停
滞を招いてる部分はあると思います。

リー子:カルチャーにちょっとでも貢献したいって気持ちは3人ともあって。消費者の立場からも、作り手側の立場からも、音楽やお笑いみたいなカルチャーについてラフに話して、それをアーカイブしていくことに、もっと意味が出てきて欲しいなと思ってますね。

つかさ:その気持ちは途中からめちゃくちゃ芽生えてきたよね。ある程度の母数が聴いてると自覚してからは、メッセージをこちらから与えられるんだと気づいたし、じゃあもっと広げていく作業が出来ればなって。

――それをポッドキャストという「会話」形式で発信する理由は?

valknee:1人で喋るのは意外とキャッチーじゃないというのがありますよね。一人喋りはスキルがいるし、聴くのも構えちゃうけど、会話だったらもっとフランクに発信できるなって。私としては、ソロラッパーとして1人で活動してるからこそ、ケミが欲しかったというのはめっちゃあったと思います。この2人から引き出される自分を提供して、それを面白がって貰えるんじゃないかな、みたいな。

リー子:あと悪〞な意見があっても、2人がそれを成敗してくれる。かなり色んなことを包み隠さず言ってるので、結構危険な意見や言葉も出てしまうことがあるけど、それを冷静にその場ですぐに諭してくれたりとか、バッサリ切ってくれるのが大事だなって。「その発言はやばいよ」「その考えはキツい」って注意されてるのを、そのまま流した方がリアルだと思うし、安全対策としても3人は必要だと私は思いますね。

――ひとりじゃないからこそ、そこに社会ができるし、そこに倫理も生まれるというか。そして放送されたエピソードに加え、宇多丸さんや竹中夏海さんなどゲストとのトークを文字として再構成した『読むラジオ屋さんごっこ』が発売されます。

valknee:ポッドキャストを聞いてくれた編集者(平井莉生さん)が声をかけてくれて、記念になるからいいね、ぐらいの感じでオーケーしたら……こんなに本を出すのって作業がたくさんあるの!?と(笑)。

つかさ:Rachelさんをゲストに迎えた「女性像のバリエーション少なくね?」とか、「支持政党を晒そうぜ」みたいな、社会に関わる回を軸に編集者が興味を持ってくれて、共感してくれたし、「これはもっと聞かれるべき! 読まれるべき!」と。熱意も含めて「この人は本当にうちらの存在価値を信じてくれてるんだ」と思ったし、この人と一緒に単行本を作りたいと思って。

valknee:「世の中に良い影響を与えたいな」みたいなことをより強く思い始めてた時期だったので、タイミング的にもフィットしたよね。

――今回のチョイスこそが「ラジご」を象徴する部分になると思いますが、その意識はありましたか?

valknee:残すことで良いエフェクトを与えたいという内容はもちろん、ラジオ屋さんごっこしかしない、他にない目線の意見とか内容を単行本に入れようと。例えば、「仕事ができない人との関係性」って、タイトルだけ見るとかなり嫌な感じじゃないですか。

――自分が「仕事ができる」という前提に立ってるわけですから

valknee:でも実際は「メンバーの中に仕事ができない人がいる」っていう内容なので、全然上から目線でもなんでもないんですよ。

つかさ:しかも、最終的に仕事ができない人をめっちゃ肯定する内容になってるし、その視点は「ラジご」ならではなのかなって。入れるエピソードの候補は、結構みんな違ったよね。やっぱり3人とも視点が違うし、それが逆にめっちゃ助かるなって。

valknee:「女性像のバリエーション少なくね?」は全会一致だったよね。

つかさ:もうマスト。「幸せってなに?」「30歳からの美容」「金持ちとしての自覚」みたいな、パーソナルな事柄を入れたのは、「それについ
て自分たちが2025年にどう思ってたか」を入れたかったからでもある。

まだまだ続くインタビューは「BUBKA5月号」コラムパックにて!

取材・文=高木“JET”晋一郎

what is ラジオ屋さんごっこ?

ラッパーのvalknee、デザイナーのリー子、見習い建築士のつかさの3人が「言語化」を目的に、カルチャーから政治まで多様なトピックで語りを展開するラジオ番組(通称ラジご)。2018年の開始以後徐々に注目を集め、今年4月には書籍化&イベントを開催。現在は隔週月曜20:00更新で、YouTubeやSpotifyなど各種音声アプリで配信中。

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『読むラジオ屋さんごっこ』(ソウ・スウィート・パブリッシング)
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