2021-08-27 17:00

【BUBKA9月号】なんてったってキヨハラ第12回「ホームランと欲望の日々」

文/中溝康隆(プロ野球死亡遊戯)

80万円の宮廷料理、500万円のコート、3000万円の毛布は座蒲団がわり、公募1億円のゴルフ場、走る億円カーズラリ

これは『週刊現代』89年新年号の巻頭カラー特集「金持ちニッポン究極の衣食住遊」で紹介された「世界に冠たるニッポンの金余り現象」である。

本橋信宏氏が書いた村西とおる伝『全裸監督』でも「ダイヤモンド映像グループの頂点は、一九八九年暮れ、日本列島がバブル熱で浮かされていたそのときであろう。日経平均株価は近い将来、十万円まで跳ね上がるだろうと、経済評論家たちはしたり顔で言い切っていた」という記述がある。

ヤングジャイアンツのオフは結婚ラッシュで、槙原寛己が全日空ホテルで開いた豪華披露宴では200万円のウエディングドレスや2000万円の打掛が話題に。皆、とんでもなく浮かれていたのだ。

あの桑田真澄でさえ、元号が「昭和」から「平成」へと変わった直後に発売された『週刊明星』89年1月26日号で、ハワイ出身の美人セクシータレントに会うため、彼女の実家があるオアフ島をたずねた“熱愛ストレート”を報じられている。平成元年、バブルのうだるような狂熱はまさにピークを迎えつつあった。

『週刊宝石』でAV女優の沙也加と対談して、「しかし、見れば見るほど大きいですねェ。いったいどんなオチンチンしてるんでしょうね」「ハッハハハハ、困ったもんだ」なんつってハシャぐ能天気な元横綱・双羽黒こと北尾光司を誰も責めることなどできやしないだろう。

そんな浮ついたニッポンの空気にスポイルされない男として、『週刊ベースボール』は「アイドル化とサラリーマン化に引き裂かれたプロ野球 だからこそ“たった一人の怪物”清原和博にラブコールを!!」と背番号3に新時代を託す。

西武の坂井保之球団代表は、「キヨはビーストですよ、ビースト。つまり、野獣。単なる野球選手を超えちゃってるんです。ボクは、彼を見ていると怖くなるよ」なんてその底知れぬ潜在能力を恐れた。

令和の時代に大リーグでホームランキング争いを独走する、エンゼルスの大谷翔平が放った特大アーチを見た現地の実況アナが、「彼はビーストだ!」と絶叫したのは記憶に新しい。

世界に誇る二刀流より30年以上前の平成元年にも、日本球界にリアルビーストはいたのだ。今の野球少年がオオタニに憧れるように、あの頃のガキたちはキヨハラの背中に21世紀の光を見た。

――インタビューの続きは絶賛発売中のBUBKA9月号にて!

なかみぞ・やすたか(プロ野球死亡遊戯)
1979年埼玉県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒。ライター兼デザイナー。2010年10月より開設したブログ『プロ野球死亡遊戯』は現役選手の間でも話題に。『文春野球コラムペナントレース2017』では巨人担当として初代日本一に輝いた。主な著書に『プロ野球死亡遊戯』(文春文庫)、『ボス、俺を使ってくれないか?』(白泉社)、『原辰徳に憧れて-ビッグベイビーズのタツノリ30年愛-』(白夜書房)、『令和の巨人軍』『現役引退―プロ野球名選手「最後の1年」』(新潮新書)などがある。

Twitterでシェア

MAGAZINE&BOOKS

BUBKA2025年5月号

BUBKA 2025年5月号

BUBKA RANKING17:30更新

  1. 「努力の天才」日向坂46松田好花、26歳の現在地━━今や年間テレビ出演回数100本超え、聴取率首位キープの“売れっ子”の8年間の軌跡
  2. 宮戸優光「前田さんとの関係が、第三者の焚きつけのようなかたちで壊されてしまったのは、悲しいことですよ」【UWF】
  3. 乃木坂46ドームツアー考察”2年連続座長”のエース・井上和の涙から感じた「乃木坂46らしさ」とは?
  4. 「ひなた坂46」が横アリ2日間で起こした奇跡!山口陽世の「ひらがな、ぶちかませ!」でこじ開けられたグループの新たな扉
  5. 吉田豪「What’s 豪ing on」Vol.6 堂島孝平、いい曲を書くことが自分を励ます唯一の方法
  6. 日向坂46・四期生が誰よりも高く跳んだ日━━武道館3Daysで見せつけた実力と一体感、そしてハッピーオーラ!
  7. 【コラム】2025年大躍進の=LOVE、紅白歌合戦へ出場はあるのか
  8. いとうせいこう×R-指定、超令和の日本語ラップ大革命
  9. 乃木坂46早川聖来「自信はないけど自分を信じようと鼓舞しているだけ」
  10. 大注目のユニットTHE ORCHESTRA TOKYO(オケトー)、ワンマンソールドアウト「回数を重ねるごとにお客さんが増えていく手応え」
  1. 乃木坂46矢田萌華、紫色のノースリーブニットのグラビアショット
  2. AKB48“次期センター”伊藤百花、大きめサイズの赤いストライプシャツをラフに着こなす「いつもの私とは全然違う大人っぽい私です!」
  3. 日向坂46『クリフハンガー』センター・大野愛実の恍惚と不安「今、目の前に壁がある」と語った生粋の“おひさま”メンバーに託す未来
  4. 乃木坂46梅澤美波2nd写真集のタイトルが『透明な覚悟』に決定!4種のカバーカットも解禁
  5. 日向坂46清水理央「私、こんなの初めてですよ」春日俊彰の大人げない集中攻撃に怒り
  6. 乃木坂46 菅原咲月「矢久保さんの存在って大きいんですよ」溢れる乃木坂愛を示し続けた矢久保美緒が後輩に語った本音
  7. 世界で一番 幸せな収録…最強おやつ決定戦!乃木坂46伊藤理々杏の実質的“負けコメント”に日村勇紀が鼓舞「代表なんだから」
  8. 櫻坂46小田倉麗奈「“レンジ線”っていうのが通っていて…」オチのついたうそに一同大笑い
  9. 乃木坂46、7年ぶりオリジナルアルバム『My respect』ジャケットアートワーク解禁!ビジュアルコンセプトは「A Feast of Melodies」
  10. 乃木坂46梅澤美波「まるで少女のような花柄ワンピと麦わら帽子」2nd写真集より新カット公開

関連記事