2022-06-04 11:15

『砂まみれの名将 野村克也の1140日』著者・加藤弘士氏「勝手な使命感が」

「BUBKA7月号」に登場する加藤弘士氏
「BUBKA7月号」に登場する加藤弘士氏

ブブカがゲキ推しする“読んでほしい本”、その著者にインタビューする当企画。第43回は、『砂まみれの名将 野村克也の1140日』の著者である加藤弘士氏が登場。沙知代夫人の脱税スキャンダルにより阪神タイガース監督を辞任。そして、翌年、社会人野球「シダックス」のGM兼監督に就任した名将・野村克也。砂まみれの時代があったからこそ、野村克也は再生した――。埋もれかけていた3年間を掘り起こした、その真意を聞いた。

「砂まみれ」の意味

――「スポーツ報知」のアマチュア野球担当記者として、シダックス時代の三年間を追い続けた加藤さんにしか書けない名著でした。人間・野村克也の姿が、浮かび上がってきます。

加藤弘士 野村さんのWikipediaを見ると、シダックス時代って一瞬で終わっちゃうくらい短い記述しかない。当時、3年間番記者を担当したのが自分だけだったこともあって、自分が書き残さないと、歴史の闇に埋もれてしまうのではないか……、俺が書かずに誰が書くんだ! という勝手な使命感がありました(笑)。ただ、プロ野球や高校野球と比べると、社会人野球はあまり陽の当たる存在ではないので、書いたとしてもどれくらい世間に受け入れられるのかという心配もあったんですよね。ですから、今、たくさんの方に読んでいただいて、ご感想をいただいてるのはすごく嬉しいです。野村監督自身、シダックス時代を振り返るときって、一言二言で終わっちゃうんですよ。「あのときは、(シダックス会長である)志太勤さんにお世話になった。その感謝を俺は一生忘れない」とか。それだけで終わらせちゃっていいのかなと感じていました。今回、本を書き下ろすにあたって、当時の関係者20人以上にお話を聞き、その証言をまとめたんですけど、皆さんの中で、まだ野村克也は生きているんですよね。野村さんはもう亡くなってしまったけど、証言が生きているからこそ、あの3年間が立体的に浮かんできたところがあると思います。

――この世を去っているなど、すでに当事者のいないノンフィクションって、本人の後年の証言がないだけに、ややもすると物足りない読み物になることも珍しくない。ですが、本作は、それがまったく気にならないです。むしろ、「人を遺(のこ)す」ことをモットーにしていた野村さんの哲学や生き様が、遺された関係者によって語られるからこそ重みがあるというか。

加藤弘士 傍証をまとめていくうちに、できることなら改めて野村監督に取材したいという思いもあったのですが、そう言っていただけるのはうれしいです。少年野球でも使われるような砂埃が舞う「関東村」と呼ばれるグラウンドで、僕も番記者として一緒に砂まみれになってGATSBYで顔を拭いていました(笑)。自分にしか書けないものを書くことができたという意味では、野村監督も喜んでくれているのではないかと思いたいです。

「BUBKA7月号」コラムパック
「BUBKA7月号」コラムパック

Amazon Kindle

楽天Kobo

Apple Books(Mac または iOS デバイスのみ)

Google Play

紀伊國屋Kinoppy

BOOK☆WALKER

honto

セブンネットショッピング

DMM

ebookjapan

ブックパス

Reader Store

COCORO BOOKS

コミックシーモア

ブックライブ

dブック

ヨドバシ.com

その他、電子書籍サイトにて配信!

Twitterでシェア

関連記事

MAGAZINE&BOOKS

BUBKA2025年5月号

BUBKA 2025年5月号

BUBKA RANKING23:30更新

  1. 坂元誉梨の『初心者バイク女子の奮闘日記』#30「真夏の海、山ツー①」
  2. 宮戸優光「前田さんとの関係が、第三者の焚きつけのようなかたちで壊されてしまったのは、悲しいことですよ」【UWF】
  3. イコラブファンに聞いてみた vol.1 ~誰もが一度は読んでいる、あのブログを書いてる方は…?~
  4. 日向坂46・四期生が誰よりも高く跳んだ日━━武道館3Daysで見せつけた実力と一体感、そしてハッピーオーラ!
  5. 吉田豪「what’s 豪ing on」Vol.4 澤部渡、「呪い」をどう楽しむかと思ってた
  6. 「努力の天才」日向坂46松田好花、26歳の現在地━━今や年間テレビ出演回数100本超え、聴取率首位キープの“売れっ子”の8年間の軌跡
  7. 船木誠勝「ガチンコでやれば八百長って言われなくなる 単純にそう思ってましたね」【UWF】
  8. 坂元誉梨の『初心者バイク女子の奮闘日記』#29「CL250っていいバイクなんですよ」
  9. プロレスラー秋山準、デビューから丸30年…伝説の四天王プロレスを振り返る
  10. 選抜の噛ませ犬じゃない!乃木坂46最新アンダーライブ極私的過剰考察「私、アンダーメンバーの味方です」
  1. 日向坂46藤嶌果歩、無邪気な笑顔の新カット解禁…裏表紙には宮地すみれも登場
  2. 祝『放送作家松田好花 リターンズ』放送決定!番組ディレクター・町田拓哉が語る、唯一無二のタレント性
  3. 乃木坂46岡本姫奈、ノースリーブで“さわやか”のハンバーグを食べる姿に「いっぱい食べる君が好き」「一緒に食べた気分になれる」の声
  4. 今度は55分間に何度泣く!? 敏腕テレビマンに「この番組を作れるのは松田さんしかいない」とまで言わせた『放送作家松田好花』を改めて観返してみた
  5. 『芸能人は歯が命』から30年…東幹久「あれですごく僕は認知された」
  6. 乃木坂46井上和が先輩・久保史緒里におねだり…新潟~佐渡島の旅
  7. 日向坂46五期生・坂井新奈、人生初ソロ表紙を飾る「感謝の気持ちでいっぱいです」
  8. SKE48中野愛理「写真集は自分とは無縁」驚きのオファーに「自分でいいのかな」
  9. 乃木坂46佐藤璃果、かき氷&ノースリーブの涼しげショットに「一緒に食べて暑さを忘れたい」「彼女といるみたい」の声
  10. 「帰ってきた放送作家」松田好花の無茶振りも効果なし! 日向坂46 二期生の自由すぎるノリを引き締める「ボケ収拾者」小坂菜緒の実績