2022-04-03 20:30

渡辺正行「テレビに出る前の原石を、たくさん見ることができたのは幸せですよね」

―― 運だけでこのキャリアは無理ですよ!(笑)

渡辺正行 スタートダッシュが早いのは、コント赤信号がお芝居からスタートしているところも大きいと思う。僕らの出自は、お笑いじゃなくて演劇。大学生で演劇の世界に足を踏み入れ、テアトルエコーの劇団員として活動している最中に、劇団東京乾電池や劇団東京ヴォードヴィルショーが登場して、笑いをテーマにした演劇が広がっていった。コントチックな演劇を見て、僕らもお芝居の勉強の一環としてコントを始めてみたんです。最初はコントなんてイロモノだと思っていたけど、やってみると楽しかった。しかも、学園祭でめちゃくちゃウケた……他の学園祭ではダダすべりなんだけど、名もない自分たちが30分間ウケまくった感覚が忘れられなくて。(ラサール)石井君は早稲田で、僕と小宮(孝泰)君は明治だったから、自分たちを冷静に分析することも嫌いじゃなかった。このまま演劇を続けていても10年は厳しい。だったら、手応えのあったコントの方が向いているんじゃないのかなって。

――当時は、コントを主体とするお笑いグループって、ブルーオーシャンだったんですか?

渡辺正行 全然いなかった。コント太平洋さんなど、まったくいないわけではなかったけど、漫才に比べればはるかにチャンスがあった。コント太平洋のツッコミ・市川(太平)さんから、道玄坂にある「渋谷道頓堀劇場」(道劇)というストリップ劇場、「その幕間にコントをする若手がいなくなったから、本気でやるならどうだ」と誘われたんですよ。それで道劇の一員になることを決めたんです。僕は、毎日舞台に立てるし、ウケなくても何かしらお客さんとコミュニケーションが発生するから、バイトをしてコントの腕を磨くより、道劇の方が力が付くと判断した。でも、小宮君はテアトルエコーの劇団員として声優の仕事をしていたから、「休団したい」と伝えていた。休団なんてできないから結局退団するんだけど、道劇の一員になったのは、僕、そして石井君、最後に小宮君という具合にタイムラグがあった。全員が正式に道劇の一員になったことで、コント赤信号は正式にデビューしたんだけど、それまではテアトルエコーの劇団員仲間だったけど、芸人ではなかったんですよ。でも、道劇は1日2500円、1日4回ステージで12時間拘束、365日で休みなし……安すぎる!(笑) 正月の元日だってやるんだよ。誰が元日からストリップなんて見るんだろうと思っていたら満席。初詣の後にストリップに来るんだろうなぁ。

――御来光からの御開帳(笑)。

渡辺正行 最初は一生懸命頑張ろうと思うんだけど、やっぱりストリップ劇場生活に染まっていくわけですよ。スタッフにしても、お金を稼ぐために働いているだけですから上昇志向があるわけでもない。気がつくと、僕らも道劇の師匠である杉兵助先生と麻雀ばかりやっていた。そもそも、ぜんぜんウケないんだから! 学園祭のときにものすごくウケたコントをやってもシーンとなるだけ。ただ、まったく笑わない板の上に毎日4ステージ立たなきゃいけない……この経験は振り返ると、とても大きかったなぁ。とは言え、当時はそんなことを思わないから、次第に僕らも下ネタを交えたストリップのお客さんが好きそうなネタをやるようになっていって。乾電池や東京ヴォードヴィルショーに感化された笑いはどこにいったんだと(笑)。

Twitterでシェア

関連記事

MAGAZINE&BOOKS

BUBKA2025年5月号

BUBKA 2025年5月号

BUBKA RANKING5:30更新

  1. 坂元誉梨の『初心者バイク女子の奮闘日記』#13「プロにおまかせしてきました」
  2. 「ZOZOマリン、まとめてかかってこい!」櫻坂46 山下瞳月の魂の叫び!5年目の勝利にBuddiesたちは態度で示せるか!?
  3. 宮戸優光「前田さんとの関係が、第三者の焚きつけのようなかたちで壊されてしまったのは、悲しいことですよ」【UWF】
  4. 乃木坂46ドームツアー考察”2年連続座長”のエース・井上和の涙から感じた「乃木坂46らしさ」とは?
  5. 日向坂46・四期生が誰よりも高く跳んだ日━━武道館3Daysで見せつけた実力と一体感、そしてハッピーオーラ!
  6. Uインターの生き字引 鈴木健が語る 髙田延彦vs北尾光司戦の真実
  7. 選抜の噛ませ犬じゃない!乃木坂46最新アンダーライブ極私的過剰考察「私、アンダーメンバーの味方です」
  8. 【吉田豪インタビュー】渡辺俊美、頑張らないこそ築けたキャリア
  9. 坂元誉梨の『初心者バイク女子の奮闘日記』#16「西日本編」
  10. 【吉田豪インタビュー】井上富雄、過去のものはそんなに引っ張らないでいきたい
  1. 乃木坂46賀喜遥香&筒井あやめダブル主演ドラマ、トレーラー映像&第1話場面カット解禁!オープニングテーマも決定
  2. 乃木坂46 矢田萌華インタビュー|高校の文化祭で『ガールズルール』を踊っていた少女が、オーディションに合格し、憧れのステージに立つまで
  3. 私立恵比寿中学・真山りか×AMEFURASSHI・愛来 対談インタビュー|独自の音楽性を追求してきた2グループが、今お互いに伝え合いたいこと
  4. 櫻坂46あるある!? 「藤吉夏鈴が退出しました」にキャプテン・松田里奈が注意するも、本人は「記憶にございません」
  5. 「誰かに慰めて貰うためにアイドルになりたかった訳じゃない」乃木坂46 岡本姫奈が選抜発表で芽生えた「悔しさ」の理由
  6. 乃木坂46 賀喜遥香、39thシングル『Same numbers』のセンターに決定「全員に感謝を届けられる作品に」
  7. 乃木坂46一ノ瀬美空の猛攻に“全日本代表のサバサバ女”松尾美佑もたじたじ
  8. 日向坂46、後輩たちへ受け継がれる野球愛…意外なバッティングセンスにも注目
  9. 櫻坂46向井純葉、山﨑天“天くん”のイケメンぶりにパニック「こっち来ないでください!」
  10. 日向坂46森本茉莉、ライブのMCでスベり過ぎて「親が『恥ずかしくて友達とか呼べない』って…」