2022-01-15 20:00

宮戸優光「前田さんとの関係が、第三者の焚きつけのようなかたちで壊されてしまったのは、悲しいことですよ」【UWF】

――そうですね。そして第二次UWFのブームがなければ、のちのPRIDEを中心とした総合格闘技ブームもなかったでしょうしね。

宮戸 もっと言えば、最初の(第一次)UWFにしても、もし佐山先生が加わらなかったら、はたしてあのスタイルができたのかなって思いますよ。やはり当初のUWFは、佐山先生のタイガーマスクとしての人気と、あれだけのキックの迫力とスピード、それが相まってのものでしたから。それなくして、関節技や新日本道場の流れを汲むレスリングだけで、一般のファンをつかむのはあまりにマニアックだったと思います。

――佐山さんの蹴りがあってこそ、それに相対する藤原さんの関節技も光ったわけですしね。

宮戸 そうでしょ? 藤原さんの関節技の素晴らしさはもちろんありますが、タイガーマスク、そして佐山先生のあの蹴りを制する技術として注目されたわけで、それなくして、関節技だけでプロレスのイメージを変えていくことができたのか、疑問が残りますからね。

――そう考えると、佐山さんというのは本当に歴史のキーパーソンでしたね。

宮戸 そう思いますね。このUWFの流れというのは、前田さん、髙田さんをはじめ、他の人が全員揃っていても、そういう意味で旧UWFに佐山先生がいなかったら難しかったと思う。だって、関節技がどんなものなのか、当時はファンがわかっていなかったんだから。その分かっていない中で、タイガーマスク佐山先生とのスタイルの対立的構造というのは、わかりやすかったと思う。だから、どうしてそういう存在だった佐山先生抜きでもやっていけると判断して、反・佐山っていうグループができたのか。僕はその理由がよく分からない。

――佐山さんは、当時のファンを思想的に牽引していく存在であり、興行の柱でもあったわけですからね。

宮戸 それで実際、佐山さんが抜けたことによって、旧UWFは興行的に成り立たなくなって、消滅してしまったわけだから。あのゴタゴタは不可解だったし、プロレス界の歴史を大きく変えてしまった。僕はそんなふうに思いますね。

取材・文=堀江ガンツ

宮戸優光=みやと・ゆうこう|1963年6月4日、神奈川県出身。佐山サトルの「スーパータイガージム」でインストラクターを経て、第一次UWFでプロレスデビュー。第二次UWFの旗揚げにも参加し、解散後はUWFインターナショナルの旗揚げに参加。「Uインターの頭脳」として団体を舵取りしていた。99年から「スネークピットジャパン」を設立。

The Legend of 2nd U.W.F. vol.5 1989.4.14後楽園&5.4大阪球場 [DVD]
▼Amazonで購入

【U.W.F. 最強の真実 (講談社+α文庫) Kindle版
▼Amazonで購入

前田日明が語るUWF全史
▼Amazonで購入

Twitterでシェア

関連記事

MAGAZINE&BOOKS

BUBKA2025年5月号

BUBKA 2025年5月号

BUBKA RANKING5:30更新

  1. 坂元誉梨の『初心者バイク女子の奮闘日記』#13「プロにおまかせしてきました」
  2. 乃木坂46星野みなみ「違う人生を選んでいたらどうなっていたんだろうって気にはなるけど、乃木坂46に入って良かった」
  3. 宮戸優光「前田さんとの関係が、第三者の焚きつけのようなかたちで壊されてしまったのは、悲しいことですよ」【UWF】
  4. 【吉田豪インタビュー】井上富雄、過去のものはそんなに引っ張らないでいきたい
  5. 坂元誉梨の『初心者バイク女子の奮闘日記』#23「足跡、はじめました」
  6. 吉田豪「what’s 豪ing on」Vol.4 澤部渡、「呪い」をどう楽しむかと思ってた
  7. 【吉田豪インタビュー】渡辺俊美、頑張らないこそ築けたキャリア
  8. イコラブファンに聞いてみた vol.1 ~誰もが一度は読んでいる、あのブログを書いてる方は…?~
  9. 「努力の天才」日向坂46松田好花、26歳の現在地━━今や年間テレビ出演回数100本超え、聴取率首位キープの“売れっ子”の8年間の軌跡
  10. ギャロップ林健“チャーハン林”が唸った絶品5皿【BUBKAアワード】
  1. 乃木坂46 6期生・瀬戸口心月、愛らしいルックスで表紙を飾る
  2. ≒JOY・江角怜音、強さと美しさを表現
  3. SKE48長谷川雅「みんなで精いっぱい頑張っていきます」若手メンバーによる新公演スタート
  4. 「乃木坂46の流儀」に日向坂46 松田好花が信じられないと驚嘆! 理想の先輩・久保史緒里の「グループアイドル論」
  5. 「誰かに慰めて貰うためにアイドルになりたかった訳じゃない」乃木坂46 岡本姫奈が選抜発表で芽生えた「悔しさ」の理由
  6. STU48信濃宙花&新井梨杏、映画『鬼ベラシ』舞台あいさつに登壇!次回演じたい役は?
  7. 「シャコタン鳥」が大バズり!「写真で一言」だけじゃない乃木坂46大越ひなのの文才と、バナナマン日村も絶賛のバラエティ力
  8. STU48中村舞ら大勢のファンに感謝!映画『鬼ベラシ』“舞台あいさつツアー”無事終了
  9. 櫻坂46新メンバー・四期生の初ステージ!「団結」「圧倒」「咲き続ける」を掲げ、グループの一員としての活躍を誓う
  10. 北川景子・山﨑賢人ら所属のスターダストプロモーションがオーディションを開催