2025-10-25 11:00

「リップサービス的に言ったら大ごとになったんだよ」黒の総帥・蝶野正洋が語った、新日本 vs Uインター対抗戦の真実

(写真提供=平工幸雄)
(写真提供=平工幸雄)
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デビューから40年近く、プロレス界を駆け抜けてきた蝶野正洋。度重なるケガを乗り越え、60歳を超えたいま、自身の現役生活を振り返る著書『プロレス名勝負とあの事件の裏の裏』を刊行した。今回のインタビューでは、振り返り見えた過去の真実、そして「引退」という二文字への覚悟を聞き、プロレス人生の総決算に向けた等身大の言葉を収めた。

無意識なる主役

――蝶野さんはこの度、『蝶野正洋「プロレス名勝負とあの事件の裏の裏」』(ワニブックス)という本を出版されましたけど、このタイミングで現役生活を振り返るような本を出そうと思ったきっかけは、なんだったんですか?

蝶野正洋:俺は50代半ばから腰を痛めて脊柱管狭窄症に苦しめられてきたんだけど、2021年に思い切って手術をしてリハビリに取り組んできた結果、去年ぐらいからだいぶ回復に向かってきてるんですよ。それで60歳を超えて、この辺で引退セレモニーなのか引退試合なのか、ちょっとケジメをつけたいということが目標になっているということがひとつ。

――正式な引退に向けて、という思いがあったんですね。

蝶野:あとは、この歳になって自分の現役生活を振り返ると、当時は気づけなかったことに、いろいろ気づくようになったんですよ。たとえば、YouTubeの蝶野チャンネルというのをやってて、OB系の人と昔を振り返るような話をすると、同じものでも自分とはまったく違う角度で見ていたことに気付かされる。自分も今になって理解できるようになったあの頃の真実を残しておこう、と。

――闘魂三銃士は早くからメインクラスで使われてましたけど、それ故にブレイク当初の蝶野さんはじつは若手気分が抜けてなくて、当時の自分の立場をよくわかってなかったことが本にも書かれてましたよね。

蝶野:俺はその辺の意識が特に薄かったですね。この前、船木誠勝選手とYouTubeを収録したんだけど、船木選手は同期だけど5歳下の15歳でデビューしてたんで、最初から別格な見られ方をしてたみたいなんだよね。

――当時の史上最年少デビューということで、最初から注目されてましたもんね。

蝶野:猪木さんにも目をかけられて、骨法も猪木さんから「習え」と言われたらしい。そして海外遠征に行けば、前田(日明)さんからUWF移籍を口説かれ、UWF移籍を決めたらそれがプロレス雑誌の表紙になる。二十歳そこそこから、自分が何か動けばそれが記事になり表紙にもなるっていうことで、変にエリートだと勘違いしたって。

――船木さんはUWFに移籍して、もう二十歳で大スターでしたからね。

蝶野:俺なんか三銃士と言ってもピンで表紙になるのは、海外遠征から帰ってきてしばらく経ってからじゃないですか。だから、ちょっとそういう意識は薄かった。

――だから、第1回G1クライマックス決勝戦(91年8月11日、両国国技館)が蝶野さんと武藤さんになった時、ファンは「新時代だ!」って盛り上がっていたけれど、蝶野さん自身は「おいおい、このカードで大丈夫なのかよ⁉」みたいな意識だったんですよね?

蝶野:そう。あの時はデビュー6年目かな。ちょっと前まで前座でやってた意識があるから、両国国技館のメインイベント、しかも両国3連戦の大トリが俺らって、ありえないだろって(笑)。

――でもその前年、90年2・10東京ドームのメインイベントで、アントニオ猪木&坂口征二vs蝶野正洋&橋本真也という試合をやってましたけど、シングルで両国のメインは違ったわけですか。

蝶野:「時は来た!」の時の東京ドームは、あくまで猪木さん、坂口さんが主役で、俺らは人数合わせみたいなもんだと思ってたから。失敗しても猪木さんが最後締めてくれるだろうと思って、そこまでプレッシャーはなかったんですよ。それでG1も、長州さん、藤波さん、ベイダー、バンバン・ビガロとか、IWGPのタイトルマッチをやるようなメンバーの中に人数合わせで入れられたのかと思ったら、あれよあれよという間に決勝まで行っちゃった。

――試合内容もよくて堂々の決勝進出でしたけどね。

蝶野:あの決勝戦も、対戦相手がもし長州さんとか藤波さんだったら胸を借りればいんでそこまでプレッシャーは感じなかったと思うけど、実際の相手は同期の武藤さんだったからね。そんな数年前までヤングライオン杯でやってたカードが両国のメインって大丈夫か? っていう感覚だったんで。

(撮影=堀江ガンツ)
(撮影=堀江ガンツ)

蝶野正洋プロフィール

1963年、アメリカ・シアトルに生まれ、東京都で育つ。1984年新日本プロレスに入門(武藤敬司と同日)。1987年より海外参戦を経て、1989年秋に本格帰国。同期の橋本真也、武藤敬司とともに「闘魂三銃士」として世代交代を猛烈にアピールした戦いを繰り広げた。90年から本格的にメインイベンターとして活躍。91年、92年、94年と夏のG1 CLIMAXを制覇し「夏男」と呼ばれる。その後、nWo、TEAM2000結成などでヒールとして人気を集めた。2017年プロレス休業宣言を行い、現在はタレント活動など幅広く活躍している。

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