2024-10-01 18:00

立浪政権の3年間、なぜこれほどまでに勝ちが遠のいたのか? 青味噌のみそみそダイアリー #3

「バンテリンドーム ナゴヤ」(ナゴヤドーム)
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立浪政権を振り返ろう

2024年9月18日、中日ドラゴンズを3年間率いた立浪和義監督が今季限りでの退任を発表しました。

退任発表時点の中日ドラゴンズは借金18のリーグ最下位。現在そこから5勝1敗と盛り返してこそいるが、立浪政権3年間はここまで3年連続で最下位。今季も5位以下でのフィニッシュが確定しており、一度も結果を出すことができなかったと言えます。

この退任発表を受けての反応は人それぞれ。この3年間で起こったことを踏まえて喜ぶ人もいれば、ミスタードラゴンズの退任を悲しむ人も。私個人は、この退任には正直ポジティブな感情の方が大きいです。やはり、自分に合うかどうかで選手を判別し、不当に選手を冷遇するなどの動きを繰り返していたように見えてしまったところを含めて、あまり評価できるような監督ではなかったと感じているのが率直な気持ちです。

来季以降に向けて監督交代はやむを得ないし、むしろMLBなど海外スポーツの解任劇を見ると、優しい方だったのかもしれない、そんな3年間だったように感じています。とにかく勝てなかった3年間、良い面も悪い面も脚色なく振り返っていきましょう。

BUBKA2023年11月号では今季の願望を書きましたが、実現は遠かった……
BUBKA2023年11月号では今季の願望を書きましたが、実現は遠かった……

躍動する立浪チルドレン達

まず立浪政権の良い面はどのような部分があっただろうか。立浪チルドレンと言われる選手の活躍を挙げていきましょう。現役ドラフトで獲得して2年連続20本塁打以上を放ち、主砲として成長した細川成也はその一人。立浪監督が2年目から招聘した和田一浩打撃コーチとマンツーマンで練習し、移籍先の中日でオールスター野手になるまで開花。立浪政権としての象徴的存在と言えるでしょう。

また、宇佐見真吾や板山祐太郎ら他球団からトレードや戦力外で獲得した野手も次々と戦力になっていきました。立浪政権をあまり評価しないと冒頭で書きましたが、そのメカニクス指導と合う選手や、理論が合致する選手もいたことは確かです。立浪政権で飛躍を遂げた岡林勇希も彼の指導が合っていたうちの一人ではないかと思います。

また、田中幹也、村松開人、福永裕基ら2022年ドラフトで指名された内野手も2024年シーズンに活躍を見せました。村松、福永の2選手は後述の不可解な起用こそあり開幕スタメンを逃すも、自ら実力で巡ってきたチャンスを掴み取ってチームに不可欠なレギュラーとなりました。他にはドミニカウインターリーグを視察した際に獲得したカリステも本塁打と打点でチーム2位を獲得するなど、積極的な野手の獲得が功を奏した部分も間違いなく大きかったと思います。

実際に今季の後半戦以降のチーム打撃成績は目を見張るものがあり、就任前に立浪監督がコメントした「打つ方はなんとかします」の実現はそう遠くないのではないでしょうか。

立浪政権の問題点(長いです)

しかし、現実は厳しく「5位に終わるチームではない」と就任前に意気込んで中日ドラゴンズの監督に就任したものの、3年連続5位以下は確定しており、ここまで6位→6位→6位。何がそこまでまずかったのかについても振り返っていきましょう。

まずは自分の指導方法や理論に当てはまらない選手の冷遇や、露骨な特定選手への優先起用が挙げられます。京田陽太の打撃フォームを大幅に改造したのち、そのシーズン不調に終わった京田に「お前変わらんかったな」と心無い言葉を浴びせトレードで放出したのはドラゴンズファンにも衝撃が走りました。

また、長年チームの主砲として中日を支えたビシエドは就任初年度に40発計画を掲げるなど彼のフォームも改造。フライ率は立浪政権の3年間がキャリアハイですが、打率.280台でファーム降格を命じたり、3年目シーズンは二軍で活躍を見せても一軍では46打席止まりであったり、とにかく自身の理論に基づく好き嫌いが激しかったように思います。

開幕スタメンにも自身で一番チーム内で守備が上手いと評したロドリゲスをオープン戦で結果を出していない中スタメンに据え、オープン戦好調の村松がスタメン落ち。福永や石川昂弥ら後半戦にスタメンを掴んだ選手もファームで100打席以上を立つほどの期間を過ごすなど、起用によるマイナスは大きかったように思えます。

またその代わりに新規獲得した中田翔は200打席以上に立ち、オープン戦大不振でも主砲細川を差し置いて開幕4番。また、中島宏之は重要な局面での代打起用が続きましたが、1本のヒットを打つこともできませんでした。立浪政権3年間で見ても、後藤駿太や加藤翔平ら守備走塁面で期待される選手が代打の切り札を務めたり、就任1年目にも福留孝介が結果を出せないまま代打で使われたり、適材適所やその選手の状態を見た起用も苦手でした。板山に代打で中島を送ったり、鵜飼航丞に溝脇隼人を送ったり、左右打席を重視しすぎた面も挙げられます。

あとは代走一つ取ってもまだ経験が浅く盗塁を決められるスキルのない尾田がいきなり使われていたのは酷でした。このような役割こそ加藤翔平や後藤駿太らが務めていれば……という声も多かったように思います。

得点圏打率の謎

他にも得点圏で3年続けて異常に1球団だけ数値が落ちていたというデータもあります。細川成也らの主砲がノーステップをしたり、右打ちをしたり、とにかく得点圏になるとチーム単位で長打が激減し、3年連続で打撃指標の割に得点数も伸び悩みました。特に今シーズンその傾向が色濃く表れていたため、打撃指標こそ悪くないのですが、得点数はリーグ最下位に終わってしまっているのです。さらに村松開人や福永裕基など結果を出している選手へ、必要のない場面での犠打多用を命じたり、石川昂弥に関しては状態のいい期間でも中田翔に代わってファーム行きを命じられるなど、最終盤の形になるまで時間がかかってしまったのも事実。退任発表後もバント采配に関しては未だ改善は見られず……。

投手起用も1イニング4人継投や、消化試合での松山イニング跨ぎ、近藤廉に1イニング62球の「晒し投げ」をさせ、その試合を抑えた岡野も抹消を喰らうなど不可解な点は多かったです。特に先発が最終的な弱点となり、リリーフばかり厚くなってしまったのは来季以降も課題として残ってしまっています。采配や起用で作ってしまったマイナスは正直ものすごく多かったと思います。

だが、希望はある

この結果と内容を受けて今後の中日ドラゴンズをどう考えるか。3年連続最下位の現状、ファンとしては今までで最も辛い期間だったのが正直なところです。耐え難い瞬間を何度も経験し、応援しているチームの勝利を素直に願えなくなる期間もありました。

しかし、野手陣に希望が見え始めたのも間違いなく事実だと思います。先発には絶対的エースの髙橋宏斗もいますし、リリーフ陣は強力で球界でもトップクラス。未来に希望がないわけではないのです。

来季就任した監督に、チームに変化をもたらしてもらい、立浪監督の功績となる部分が少しでも増えることを願うばかり。とにかく希望を持って来シーズンを迎えたいのが今の一番の想いです。

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