「アンダーライブを好きでいてください」乃木坂46卒業の矢久保美緒が、アイドル人生を捧げたアンダラのステージで伝えた言葉の重み

撮影/鈴木健太(KENTA Inc.)
12月19日~21日の3日間、乃木坂46が日本武道館で「40thSGアンダーライブ」を開催した。2025年の乃木坂46のライブ納めとなるステージには、5期生・五百城茉央を中心とした14名のアンダーメンバーが立った。そんな「40thSGアンダーライブ」の初日と2日目には、4期生・松尾美佑と矢久保美緒の「卒業セレモニー」が行われた。本稿では「矢久保美緒 卒業セレモニー」について振り返っていく。
20日のライブ本編終了後、愛称の「みっちゃん」コールが響く会場に、矢久保は大好きなピンク色のドレス姿で登場。「素敵なドレスを作っていただいた」と話していた。彼女にとって日本武道館は特別な場所だった。乃木坂46のメンバーとして初めてステージに立った「4期生お見立て会」は、日本武道館で開催された。さらに、彼女が初めて乃木坂46のライブを観たのは、2015年に開催された「アンダーライブ at 日本武道館」だった。「心が震えて、アンダーライブに魅せられた」と語る彼女は約10年後、乃木坂46のメンバーとして、かつて憧れた場所で、魅了されたアンダーライブのステージで卒業を迎えていた。

撮影/鈴木健太(KENTA Inc.)
矢久保は自身の乃木坂46人生を、「私らしく全力で走り切りました」「不格好だったかもしれません」「好きな気持ちだけが原動力でした」「好きだけではどうにもならないことがあるのも分かりました」と振り返った。彼女は選抜メンバーで活動する機会がなく、アンダーで多くの時間を過ごした。アンダーメンバーとして活動する中で、なかなかスポットライトが当たらず、悩んだ日々もあった。「好き」という思いで入ったからこそ、厳しさに心が折れ、目標を見失いそうになったこともあったかもしれない。そんな矢久保に向けて、日本武道館に集まったファンは「みっちゃん」コールを届けた。ステージに1人で立つ彼女を、スポットライトと会場中に広がったピンク×黄色のペンライトが照らした。スピーチの最後で矢久保は、「あなたのアイドルになれて幸せでした」という言葉を残していた。アンダーライブのセンターに立った彼女は、迷いのない晴れやかな表情だった。
矢久保が卒業セレモニーに選んだ曲も、彼女の「笑顔で終わりたい」という思いが込められていた。憧れの先輩と公言し続けた1期生・松村沙友理のソロ曲『さ~ゆ~ready?』をアレンジした、『み~お~ready?』を歌った矢久保。「笑顔が一番 私らしいかな」「泣きそうになるけど 涙は見せない」「笑顔でバイバイ ずっと楽しかった」「やり残したことなんかない」という歌詞を笑顔で歌う矢久保は、今まで一番輝いていた。

撮影/鈴木健太(KENTA Inc.)
『み~お~ready?』に続いて、矢久保は親友である同期の林瑠奈と『友情ピアス』を歌った。お揃いの耳飾りを着けて登場した2人。サビの「もう知り合ってから 何年になるんだろう/どんな時も一番そばにいてくれた/あなたなしじゃ生きていけない/永遠に close friend」という歌詞は、まさに矢久保と林の関係性を示しているように思えた。林は矢久保について「自分が守りたいものや、大切にしたいことに一切の妥協がなくて、自分にすごく厳しい人。グループやライブをより良いものにするために、自分だけじゃなくて周りにも厳しくいられる人でした。それは矢久保の強さだと思うけど、同時に人一倍繊細で、常に説得力のある人であろうと努力を重ねている姿を何度も見ていました」とスピーチで語っていた。乃木坂46で自分なりの輝き方を見つけ、使命を果たそうとする矢久保を、林はそばで見守っていた。矢久保が林に「もう無理だよ」と弱音を漏らしたこともあったという。そんな時は林が支え、林が休養した時には、矢久保が林の帰りを待っていた。林と矢久保には他のメンバーとは異なる特別な関係が存在する。そんな2人が歌う『友情ピアス』を会場に集まったファンは静かに聞き入っていた。
憧れの人の曲と親友との曲を披露した矢久保が、最後に選んだ曲は『きっかけ』だった。ライブだと全員で歌うことが多い同曲は、1人ずつワンフレーズを担当し、ラスサビを全員で歌う構成が多い。卒業セレモニーで矢久保はフルコーラスを歌った。メンバー一人ひとりと向かい合い、目を合わせながら思いを込めて歌っていた。「歌があまり得意ではない」と口にしていた矢久保。『きっかけ』の歌声には彼女の成長が感じられた。
矢久保が最後の挨拶を終えると、ファンが作成した「みっちゃん ありがとう」と書かれたフライヤーが武道館一面に広がった。この光景に矢久保は「先輩たちの卒業されるライブを観てきて、これをやってもらえるのが夢だったの、ありがとう!」と感謝を伝えていた。卒業セレモニーでドレスを着用し、そして会場いっぱいの卒業を祝うフライヤーを掲げてもらう。選抜メンバーとして活動する機会に恵まれなかった矢久保だったが、憧れの先輩たちと同じように花道を飾ることができた。ステージから去る矢久保に送られたファンからの「ありがとう」という歓声が、彼女が乃木坂46にとって、そしてアンダーライブにとって、なくてはならない存在だったことを証明していた。

撮影/鈴木健太(KENTA Inc.)
2日間続けて「卒業セレモニー」が行われ、迎えた3日目。矢久保はアンダーライブに3日間とも参加しており、この日が最後のアンダーライブ、そして乃木坂46としてファンの前に立つ最後のステージだった。そこで矢久保は「私が先輩から繋いできた、魂をぶつけてきたアンダーライブをみなさんに託します。どうかこれからも、アンダーライブを好きでいてください」と目に涙を浮かべながら語っていた。前日の卒業セレモニーを笑顔で締めくくった矢久保が、この時は感極まっていたのが印象的だった。
アンダーライブを愛し、乃木坂46人生を捧げた矢久保が残した「みなさんに託します」という言葉。彼女の言葉から筆者は、アンダーライブはメンバーとファンが一緒になって作り上げるものだ、ということを改めて伝えようとしているように思えた。アンダーライブに心を揺さぶられ、憧れを抱き、その伝統を背負った彼女の言葉をどうか忘れないでほしい。変化し続けてきた「アンダーライブ」は、これからもその形や空気感を変え、時にはその意義を問い直すことがあるかもしれない。そんな時は矢久保が残した言葉を思い出してほしい。様々な思いを持ったメンバーが立つステージに向けて、ファンの「アンダーライブが好きだ」という魂のコールを届け、メンバーの背中を押すことが、アンダーライブの魅力ではないだろうか。
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