「アイドルに向いていると思ったことはありません」乃木坂46卒業の松尾美佑、五百城茉央に贈った言葉がきっかけでアンダーの心が一つに

撮影/鈴木健太(KENTA Inc.)
12月19日~21日の3日間、乃木坂46が日本武道館で「40thSGアンダーライブ」を開催した。2025年の乃木坂46のライブ納めとなるステージには、5期生・五百城茉央を中心とした14名のアンダーメンバーが立った。そんな「40thSGアンダーライブ」の初日と2日目には、4期生・松尾美佑と矢久保美緒の「卒業セレモニー」が行われた。本稿では「松尾美佑 卒業セレモニー」について振り返っていく。
19日のライブ本編終了後、会場に響くアンコールはいつもの「乃木坂46」から、この日は「まつおさん」に変わっていた。「真夏の全国ツアー2025」にて、メンバー全員が参加する楽曲『真夏日よ』ではメンバー名をコールする演出があり、「まおちゃん(五百城茉央)」「まゆたん(田村真佑)」「くろみん(黒見明香)」などメンバー自らが考案した愛称の中で、ひときわ異彩を放っていたのが「まつおさん(松尾美佑)」だった。
独特のコールに誘われるように、松尾はステージに登場。淡い水色のドレス姿に身を包んだ彼女は、ペンライトカラーであるターコイズ×白に染まった会場を目の前にして笑顔を浮かべ、準備していた手紙を読みながらファンに思いを伝えた。

撮影/鈴木健太(KENTA Inc.)
乃木坂46に加入する前、松尾はアイドルについて詳しくなかったようで、アイドルのイメージは「ステージに立つ、キラキラした存在だった」と語っていた。しかし、オーディションに合格し、坂道研修生を経て乃木坂46に加入した彼女を待っていたのは、「思っていたよりもすごく難しくて。正解がないのにずっと正解を探している」と振り返る日々だった。彼女は新型コロナウイルスが流行していた2020年2月に加入。彼女がアイドルとして経験する初めてのことがリモートや無観客で行われた。
「正解がない」と感じた乃木坂46の活動において、松尾が「唯一、私が私を頑張ったぶんだけ褒めてあげられる場所」と振り返ったのがライブだった。33rdシングルのアンダー楽曲『踏んでしまった』でセンターを務め、アンダーライブとしては最大規模となる横浜アリーナ3days公演の座長を務めた。先輩からセンターポジションを受け継いだ曲も多く、特に2期生・山崎怜奈がセンターの27thシングル『錆びたコンパス』は山崎の卒業後、松尾がセンターで披露し、彼女の代名詞的な曲となった。松尾は卒業セレモニーでそんな『錆びたコンパス』の他に、『君は僕と会わない方がよかったのかな』と『人は夢を二度見る』を披露した。
松尾が「歌いたかった曲」として選んだのは『君は僕と会わない方がよかったのかな』。彼女は同曲を「好きな曲」としてブログやラジオ、インタビューなどで挙げていた。「初めて乃木坂46のライブ映像を見て、この曲を聞いた時に自分の好きな音がすべて詰まっていると感じて忘れられなかったです」と、一番はじめに印象に残った曲であり、思い入れが強い曲だった。『人は夢を二度見る』は、松尾が初めて選抜入りした時の曲で、同じく初選抜だった同期の佐藤璃果とWセンターで披露。2人とも坂道研修生を経て、乃木坂46に加入しており、お互いに支え合ってきた。松尾に向けて手紙を読んだ佐藤は溢れる感情をこらえきれず、読み始める前から手が震え、何度も言葉を詰まらせていた。そんな佐藤が一生懸命につむごうとする言葉を、松尾は笑顔で待ち、肩をさする瞬間もあった。

撮影/鈴木健太(KENTA Inc.)
彼女は自分の性格を「アイドルに向いていると思ったことはありません」「天邪鬼で気難しい人間を乃木坂46のメンバーとして受け入れてくださった」と語っていた。メンバーから「攻略が難しい」と言われるほど、過度なコミュニケーションを取りたがらない彼女だったが、「自分がやるべきことをやっていれば、見てくれる人は見てくれる」と、メンバーを見守る優しさを持っていた。そんな松尾の優しさをファンは気づいており、親しみと敬意をこめて「まつおさん」と呼んでいた。「松尾美佑を応援した時間が、少しでも価値のあるものになっていたら嬉しい。幸せとニコニコの笑顔を心から願っています」と話していた松尾。乃木坂46卒業と同時に芸能界も引退する彼女は、最後の晴れ舞台を笑顔で締めくくった。

撮影/鈴木健太(KENTA Inc.)
松尾は3日間とも「40thSGアンダーライブ」に出演。最終日、コメントを求められた松尾はアンダーライブへの感想を語ると共に、「頑張ったね」と五百城に労いの言葉を送っていた。この言葉にそれまで我慢していた五百城の目から涙がこぼれ、堪え切れずにファンに背を向ける。すると、そんな五百城のもとに松尾が駆け寄り、続いて矢久保、そしてメンバー全員がステージの中心に集まって抱き合い、ひとつになっていた。日本武道館3days公演という重圧をアンダーメンバーの中で一番感じていたのは、初めてのアンダー活動で座長を務めることになった五百城だったに違いない。そんな彼女の頑張りを松尾はちゃんと気づいていた。松尾美佑が五百城を見守る優しい眼差しは、彼女が感じていたプレッシャーからそっと解放させているように見えた。「40thSGアンダーライブ」日本武道館3daysの最後は、そんな松尾の優しさに包まれていた。

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