乃木坂46“魂”のアンダーライブ特集インタビュー|TBSテレビプロデューサー・竹中優介「乃木坂46って選抜が一軍、アンダーが二軍なんじゃないです。一軍が2つあるんです」
ドキュメンタリーを創る意味

──39枚目は金川さんがセンターでした。
竹中:金川さんとはお仕事をする機会が多かったんですけど、ドキュメンタリーでは彼女が秘めているものを扱いました。今はそういった部分を映像で伝える手段が他にありませんから。番組(11月に放送済み)では彼女の本質を描けたと思います。
金川さんはパフォーマンス力も高いし、タレント力もあると思います。センター映えもしますよね。ただ、自信がまだ持てていないのと、意外と人を立てがちなんです。「私が前に出たい」ではなく、「横の子を支えなきゃ」っていう。人がいいんですね。
あとは次のアンダーセンター、五百城茉央さんもいろんなことを思っているでしょうね。今の乃木坂46って実力のあるメンバーでも、プラスワンがないと選抜に居続けられないと思うんです。しかも、5期生って多士済々ですから。五百城さんなりのプラスワンを探しているんだろうなと。アンダラってその壁をぶち破る、確変を起こすための場所でもありますよね。彼女のセンター起用にはそんな意味があると思います。
──39枚目に密着していて感じたことは?
竹中:田村真佑さんのすごさを感じましたね。彼女はかわいい声と所作で人気ですけど、真面目で熱い人だと思います。アンダーに来たことでその姿を描けました。彼女はアンダー初参加だから、ほぼ全曲新規振り入れなんです。だから、リハの前に一人だけ個人練をやっているんです。で、みんなと合流してフォーメーションを確認して、リハの後も個人練。その流れをずっと繰り返すんですよね。すごい努力の量ですけど、辛そうに見せないのが彼女のプロフェッショナルたる所以です。そういう普段のイメージとは違うよさが出るのもアンダーライブのいい側面だなと感じました。
──演出面はいかがでしたか?
竹中:今回、僕が密着してから初めて『日常』をやらなかったんです。それはフロント3人(金川、田村、林瑠奈)の適性を考えてそうしたんでしょうけど、そういったところからも演出陣の愛の深さも感じています。ここまで回数を重ねたらネタが尽きそうですけど、その度にメンバーをちゃんと光らせるんです。そして、ファンの人を飽きさせない。いいスタッフがいるんだなって思います。ちゃんとメンバーのことを考えて作っているし、その愛によって生まれるメンバーへの効果も計り知れないと思います。そういう環境にいると、メンバーのモチベーションも落ちませんよね。アイドルって「自分を見てもらえているか」を気にしているものですから。たとえば、矢久保美緒さんは特に乃木坂46愛が強いメンバーだと思うんです。アンダラ愛も強いですよね。そこに愛情深い制作陣がついているから、アンダラは続いているんだと思います。もっと言うと、乃木坂46が大きなスケールを保ち続けていられるのもアンダラがあるからだと思っているんです。
──どういうことですか?
竹中:乃木坂46には選抜がいて、アンダーがいますけど、どのメンバーも手を抜かずに自分を磨き続けているのはこの制度があるからでしょうね。アンダラはグループとしての足腰を鍛える場所ですよね。アンダーで自分を磨いているメンバーがたくさんいたら、選抜メンバーへの刺激になります。選抜の子はアンダラをよく観に来ていますし、アンダーだけでアリーナを埋められるんですから。僕は、アンダーが乃木坂46の神髄だと思っています。乃木坂46って選抜が一軍、アンダーが二軍なんじゃないんです。一軍が2つあるんです。だから、長い間、クオリティを保ち続けているのではないでしょうか。ただでさえ盤石の布陣なのに、今後さらに起爆剤となるメンバーが出てきたら……と想像すると、もっとおそろしいグループになりますよ。
──起爆剤といいますと?
竹中:違う個性を持つメンバーです。アンダーに限らずですけど、今の乃木坂46に、これまで以上のハングリー精神や大きな野心を持ったメンバーが出てきたら化学反応が起きるんじゃないかと期待しているんです。僕はアルノさんがそんな存在になるのかなと思っていて。
──竹中さんは『Spicy Sessions』で彼女を抜擢しましたよね。
竹中:僕だけじゃなく、ゴスペラーズの黒沢薫さんとも意見が一致していました。音楽番組をやるならこの人しかいないって。音楽の話をしていても、いろんなジャンルにめちゃくちゃ詳しいんです。さらにあの歌唱力ですから。『Spicy Sessions』で違う空気を吸ってリフレッシュされて、乃木坂46に帰っていっているみたいです。
──他に番組を始めたくなるメンバーはいますか?
竹中:それこそ39thのフロント3人は特に思いますね。それぞれが違う色を持っています。金川さんだったら、彼女のビジュアルと内面を両方引き出す番組をやりたい。林さんは彼女を最強エンターテイナーに育てるプロジェクト番組。田村さんは純粋に「アイドルっていいよね」と幸せになる番組ですね(笑)。
──実現したら、それぞれのいいモチベーションになると思います。
竹中:僕はいろいろなアイドルと仕事をしてきましたけど、それはアイドル人生を充実させるための別ルートを作ってあげたいからなんです。そうすれば、夢を達成できるかもしれないですから。それがドキュメンタリーを作り続けている最大のモチベーションです。
──今後もそういった番組制作を期待しています。
竹中:はい。いくつかすでに野望は持っています。これが実現したら日本のアイドル界は……いや、このくらいでやめておきましょう(笑)。もちろん、アンダーのことはこれからも追い続けますよ。
取材・文/犬飼華
竹中優介プロフィール
たけなか・ゆうすけ=1977年6月18日生まれ、東京都出身。TBSテレビプロデューサー。これまで『輝く!日本レコード大賞』『アッコにおまかせ!』に携わるほか、SKE48、日向坂46のドキュメンタリー映画を監督。現在は『SASUKE』やCS放送『乃木坂お試し中』『Spicy Sessions』に加えて「エガフェス」などのライブ演出も手掛ける。
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