2025-06-26 18:15

爆笑問題・太田光と岩井俊二監督が語る“高畑勲監督作品”の魅力

『高畑勲展-日本のアニメーションを作った男。』オープニングセレモニーに出席した太田光、岩井俊二監督
『高畑勲展-日本のアニメーションを作った男。』オープニングセレモニーに出席した太田光、岩井俊二監督
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爆笑問題の太田光と映画監督の岩井俊二氏が、東京・麻布台ヒルズギャラリーにて行われた『高畑勲展-日本のアニメーションを作った男。』オープニングセレモニーに出席。

岩井俊二監督作品『四月物語』(1998年)の“パンフレット”に太田が寄稿したことはあるというが、意外にも2人は直接対面するのは今回が初めてという。

実は高畑勲監督と“遠い親戚”だというそんな岩井監督は、大学時代に初めて高畑監督に会ったという。岩井監督は「親戚のつてを頼って、親類縁者の中で映像の仕事をされているのが高畑さんしかいらっしゃらなかったので、ちょっと“OB訪問”的な感覚でお会いできないかと言ったら、会ってくださるということで。割と軽い感じでお伺いしたんですけど、めちゃくちゃ怖い方で(笑)。『柳川堀割物語』(1987年)っていう16ミリのドキュメンタリー映画をちょうど制作されていて。横でフイルムを編集している方がいたりして。初めてお会いしたんですが、何から話したらいいんだろうって、こちらは緊張しているんです。

(高畑監督が)『映像の方に進みたいのか』『そうです』みたいな。大学時代、僕は自主映画をやっていたもんですから、『プロになって、自分の作りたいものを自分の作りたいように今まで通り作っていきたいんじゃないのか?』って言われて。ただ『そうですねぇ』みたいな…。そしたら『そんなことはできないよ、君。僕が聞きたいよ!』と言われて、そこからいかに好きなものを作るっていうことが、この世界で大変なのかという話を約2時間ぐらい、ほぼ叱られているような感じで…。僕が怒られていたわけじゃないんですよ、映画作りの大変さであるとか厳しさ、ただそれが僕にとっては唯一映像の先輩が語ってくださった言葉だったので、ずっと座右の銘じゃないですけど、言われた言葉を大事にしてここまできたって感じです」と、学生時代の貴重な思い出を披露した。

その後の作品作りの中で、高畑監督の影響もあるという岩井監督。「かなり意識してやったこと、自分の作品の中でだと『Love Letter』(1995年)という作品があって、最後のシーンがあるんですけど、そこはものすごく『おもひでぽろぽろ』(1991年)のエンディングのシーンなんで、それを頭にイメージしながら最後の絵コンテを書きました」と、創作の裏側も明かした。

トークセッションでは、2人の好きな作品・心に残っている作品についても語られた。太田は「『ホーホケキョ となりの山田くん』。いしいひさいちさん、『がんばれ!!タブチくん!!』を書いていた方、あの方の大ファンで。映画化されるって聞いてびっくりして。要するにイメージがちょっと違うんですよね。いしいさんの漫画がどうやってジブリの映画になるのかなと思って劇場に観に行ったら、素晴らしく。

何が素晴らしかったかっていうと、まず映像の色のきれいさ。それから全部を書き込まないっていうか。素人ながらにですけど、感じたのは、まるで水墨画というか、背景の細かいところが全部きっちりきっちり書き込んで、ギュッとするやつじゃなくて、すごく自然な、抜けのいいというんですかね、そういう絵が、見ててすごく色合いからなんか居心地がいいというか、そこにいることが。

それでいて、すごくヒューマンドラマになっていて、声優さんにミヤコ蝶々さんが出てきたりとか、結婚式のスピーチがもう本当に素晴らしかった。ミヤコ蝶々さんの感じと、そのキャラクターの動き、しゃべる動き・表情っていうのが、まさにこのセリフを言うときはこの表情だよねっていう、こんなことができるのかって。それはすごく感動したのを覚えています。

後に高畑さんと話した時に、あれは本当は、後の『かぐや姫の物語』でやりたかったことを『ホーホケキョ となりの山田くん』でやりたかったんだけど、興行的にはあんまりヒットしたとはいえない作品だと思うんですけど、あそこでやりたかったことをもう1回『かぐや姫の物語』で僕がやろうとしているっていうお話を聞いて、『あ~なるほどな』っていうのを覚えてます」と、熱弁を振るった。

一方、岩井監督の思い出の作品はというと「『ホーホケキョ となりの山田くん』で言えば、アニメーションがすごく美しい動きなんですけど、1カ所だけピタッと止まるシーンですね。お父さんが落ち込んで、表情が消えるシーンがあるんです。そこだけ、ただ止まっている画なんです。『ここは止めるんだ…』と思って。逆に、その止まったその瞬間があまりに面白すぎて、哀愁が漂って、そこら辺の緩急っていうんですかね、動きをここは止めた方が面白いっていうのも心得ていらっしゃると思いました。

個人的には『太陽の王子 ホルスの大冒険』(1968年)という高畑さんの初期の作品になりますけど、高校時代リアルタイムだと僕が幼稚園ぐらいにに全国公開されたものなんですけど、高校の時に好きな人たちが集まって同好会みたいな上映会があって、そこで初めて観たんですけど、その時の衝撃は『なんだこの完成度は!?』というか、すごすぎて、それから折を見て観続けている作品です。(岩井監督の)『花とアリス』では、10秒~15秒ぐらいですかね、主人公たちが観ている映画の映像として、映像を介して使わせていただいています」と、自身の作品にまつわるエピソードも明かしていた。

開催概要

・展覧会名:高畑勲展―日本のアニメーションを作った男。
・会期:2025年6月27日(金)~2025年9月15日(月祝)
・会場:麻布台ヒルズ ギャラリー
・主催:麻布台ヒルズ ギャラリー、NHK、NHKプロモーション
・企画協力:スタジオジブリ
・協力:(公財)徳間記念アニメーション文化財団、新潮社
・協賛:ア・ファクトリー
・後援:レッツエンジョイ東京、TOKYO MX、在日スイス大使館

■展覧会特設ウェブサイト
https://www.azabudai-hills.com/azabudaihillsgallery/sp/isaotakahata-ex/

『高畑勲展-日本のアニメーションを作った男。』オープニングセレモニーに出席した太田光、岩井俊二監督
『高畑勲展-日本のアニメーションを作った男。』オープニングセレモニーに出席した太田光、岩井俊二監督
『高畑勲展-日本のアニメーションを作った男。』オープニングセレモニーに出席した太田光、岩井俊二監督
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『高畑勲展-日本のアニメーションを作った男。』オープニングセレモニーに出席した岩井俊二監督
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『高畑勲展-日本のアニメーションを作った男。』オープニングセレモニーに出席した太田光
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『高畑勲展-日本のアニメーションを作った男。』オープニングセレモニーに出席した太田光
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