2025-05-16 18:00

私立恵比寿中学インタビュー・安本彩花、病名がくれた勇気「マジで人生捨てたもんじゃねーぜって(笑)」

写真左から、安本彩花、柏木ひなた、小林歌穂、中山莉子、真山りか、星名美怜
写真提供=©STARDUST PROMOTION,INC.
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私立恵比寿中学・安本彩花にインタビューを実施。悪性リンパ腫との闘病と復活の日々、そして次のステージに進んでいくグループへの思いを語ってもらった。

傷だらけのモグラ

――この5年半を追ったドキュメンタリー本『DAYS 私立恵比寿中学 2019-2025story ハッピーエンドとこれから』でも赤裸々に語ってもらっていますが、まずは2019年秋から2021年の夏までの期間。2019年10月から心身の不調により休業し、翌年3月にいったん活動再開。しかし同年10月29日に悪性リンパ腫と発表され、治療のため再び休業。そして治療の結果、寛解(公式発表は2020年4月3日)、復帰という、大きな出来事がありました。

安本彩花(以下、安本):『MUSiC』(2019年3月13日リリースの5thアルバム)ぐらいから、ちょっと頑張りすぎちゃった気がする。すごい自分を追い込んじゃってた時期で、頑張りたい気持ちが先走りすぎて、なんか心と頭と体が追いついていかないみたいな。そういう状態が続いていた時期で、人と話すのも怖かったし、誰かと一緒にいることも息苦しい。そういう時期。

――そして、2019年10月から最初の休業に入り、約5ヶ月で復帰。ただ、復帰はしたものの、決して万全ではありませんでした。

安本:復帰を決めて戻ってきたはいいけど、別に良くなってるわけじゃない。ただ、「最後にみんなの前で歌わなきゃいけない」っていう気持ちだけで戻ってきましたね、このときは。

――「最後に」とまで覚悟していた……。

安本:最初の休業中は、朝5時ぐらいまでちっちゃーい音で暗い音楽を聴いて、眠くなったら寝てっていう、昼夜逆転の生活。そういう生活をしているうちに、「もう土に帰ってモグラになろっかな?」って思ったりして(笑)。

――それでも、「最後に」歌いたかった?

安本:心が健康じゃない状態でも、私の歌を聴いてもらいたい、自分を見てもらいたい、みんなに認めてもらいたい。そういう気持ちが強くなっていったんです。別にこのあと何があって、どうなってもいいけど、みんなに歌を聴いてもらっている状況、その記憶が最後でありたいくらいに思ったというか。歌と音楽に対する使命感もあったりして、その気持ちが急に自分を起き上がらせたんです。自分の使命を果たさないとって。

悪性リンパ腫の寛解後に撮影された安本の自撮り
写真提供=©STARDUST PROMOTION,INC.

病名がくれた勇気

――そこまでの思いで復帰したものの、悪性リンパ腫と診断され、2020年10月29日に病名を公表して再び休業することになります。

安本:体はしんどかったし、治療もつらい部分がもちろんあったけど、それまでわかってなかった病名が判明して、不調の原因が理解できたことで心は元気になっていきました。

悪性リンパ腫だって診断を受けてから、じわじわじわじわ。それまでは、何もかもに終止符を打ちまくろうとしていたのに、逆に生きなきゃ、やんなきゃって変わることができて。悪性リンパ腫だと診断されて、神様に「いつでも死んじゃいますよ」って言われた気がしたんですよね。私はガッて言われるとグッてなるタイプだから、「なぬ!」って(笑)。それで「くやしい! 絶対にそうはさせない! 思い通りにはさせないぞ、運命!」って気持ちになって、生きる意志が芽生えたんです。

ちょっと前の自分じゃ考えられないぐらい気持ちがしっかりしてて。うん、本当にすごい。自分でもびっくり。だから、何かに悩んでる人には、何がきっかけで変わるかわかんないから、マジで人生捨てたもんじゃねーぜって(笑)。

――悪性リンパ腫の治療中は、どんなことを考えながら日々を過ごしていたんでしょうか?

安本:本当にもう毎日ずっと、復帰したら何をするかを考えてた気がします。こんなファッションがしたいなとか、こんなカツラを被ったらかわいいかな、こんなメイクもオシャレだなって。えびちゅうの曲を聴いて、戻ってこれを歌えたら最高だよなって、戻ってからのえびちゅう人生をいっぱい考えてましたね。それが、すごく楽しかった。

――治療の結果、悪性リンパ腫は寛解。2021年4月5日にその事実が発表され、7月16日にYouTubeの人気コンテンツ『THE FIRST TAKE』で『なないろ』を披露する形で、まずはメディアでの復帰をします。

安本:自分の中ではどんなに月日が経っても……いや、わかんないですよ。もうこの歳になったら、(松野)莉奈は「モデルになる!」とか言ってえびちゅうをやめてるかもしれないけど、どんなに時間が経っても常に一緒に過ごしてきてるって思ってるから、『なないろ』を歌って莉奈の誕生日に公開したことで、みんなと一緒に「おかえり!」って自分を迎えてくれてるような気がして、すごくうれしかったですね。そうやって自分の大事なときに大切な人を思い出せること、同じ空間にいるんじゃないかって思えるということは、すごく幸せな復帰を迎えられたんだなと思います。

――そして、2021年8月29日の『@JAM EXPO 2020─2021』(神奈川・横浜アリーナ)で、ついにライブ復帰を果たします。

安本:ココユノノカ(桜木心菜、小久保柚乃、風見和香)のデビューライブでもあったけど、「楽しく歌わせてもらうわ!」って感じでしたね。でも、私の復帰だけでもココユノノカのデビューだけでもなく、両方一緒だったのは結果的に良かったなと思う。1つだけでもうれしいことなのに、2つ一緒になったからさらにうれしくて、より楽しくてハッピーなライブになったから。

取材・文/大久保和則

活動復帰後に開催の「私立恵比寿中学 大学芸会2021~Reboot~」での一幕
写真提供=©STARDUST PROMOTION,INC.

安本彩花プロフィール

安本彩花=やすもと・あやか|1998年6月27日生まれ、東京都出身。出席番号5番。心が刻むBPMがステージを揺らす、アイドル界随一のDTM女子・EBISUBEATS。大好きでやまないサウナで整った歌声でもえびちゅうの音楽を強く支えている。愛称は「彩ちゃん」「やっさん」。

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