私立恵比寿中学・小久保柚乃、地に足ついた自由人「自分の卒業コンサートも個人的にはなしがいいです(笑)」
私立恵比寿中学・小久保柚乃にインタビューを実施。飄々と振る舞う一面の中に垣間見える、ブレない心の奥底に迫った。
トイレ事件の真実
――以前、仲村悠菜さんにインタビューしたのですが、2022年12月17日のエマユナ(桜井えま、仲村)デビュー&現10人体制初ライブ(千葉・幕張メッセイベントホールで開催された『私立恵比寿中学 New Style 大学芸会~run in our ebichu family~』)の本番直前、仲村さんに異変を感じた小久保さんがトイレまで追いかけて泣いている仲村さんを励ましたという、感動的なエピソードが語られました。
小久保柚乃(以下、小久保):あー。でも、たまたまですよ。
――え! たまたまなんですか?
小久保:はい。偶然トイレに行ったら、悠菜がいたってだけです。
――仲村さんは、「柚乃ちゃんはあんまり他人に興味がなさそうに見えて、人に対してプイッとしてそうだけど、本当は誰かにちょっとでも異変を感じたらすぐに来てくれるタイプだと思う……だから来てくれたのかなって」と話していたんですが。
小久保:柚乃は何も気づいてないです(笑)。本当にたまたまトイレに行っただけで。
――「出るの、怖いよね。でも、ココユノノカ(桜木心菜、小久保、風見和香)ができたから、(当時のココユノノカより)もっとできるエマユナなら大丈夫だよ!」と言ったのは?
小久保:それは言った記憶があります。たぶん、ですけど(笑)。
――それにしても、加入当時から感動的なエピソードとは距離を置こうとしますよね(笑)。
小久保:ふふっ。そうですね(笑)。ちっちゃい頃からそういうのが苦手で、感動系と恋愛系のドラマや映画もあまり見ないです。まだまだ先の話だと思いますけど、自分の卒業コンサートも個人的にはなしがいいと思ってます(笑)。
――アイドル人生の中で最も感動的な瞬間のひとつになるはずの卒コンを開催しない(笑)。
小久保:急にいなくなるのはファンの方に申し訳ないので、ここで最後というお知らせはすると思うんですけど。手紙を読まれたりとか、絶対に嫌です(笑)。そのぐらい、感動的なのがどうしても苦手で(笑)。ココユノノカのお披露目ライブ(2021年8月29日の神奈川・横浜アリーナ『@JAM EXPO 2020―2021』)のときも、心菜と和香は泣いてたけど、柚乃は泣かなかったです。エマユナは、感動しても泣くし、怒られても泣きますね。あの人たちは、常に泣いてる(笑)。
――でも、自分は泣かない(笑)。
小久保:泣いたことは、そりゃありますよ。でも、基本的には泣かないです。
――基本的には泣かない小久保さんが泣くのは、どんなときなんですか?
小久保:そんなの言わないですよ(笑)。
――怒られても泣かない?
小久保:泣かないというか、あまり凹まないです。だから、先輩たちからしたら怒っても響いた感覚がない、嫌な後輩だと思います(笑)。それでも、ココユノノカの3人の中では柚乃が一番怒られてると思うんですけど。いっぱい怒られすぎて、どうして怒られたか今はあんまり覚えてないです。
――あまり凹まないのはもともとの性格?
小久保:怒られてもあんまり頭に入らないというか、昔から都合の悪いことは全部聞き流してしまう性格だったので(笑)。
――過酷な面も多々あるアイドル人生を送る上では、得な性格かもしれないです(笑)。
小久保:お姉さんメンバーからは、「柚乃は怒られてもあんまり引きずらないし、根に持たないタイプだね」って言われます。

写真提供=©STARDUST PROMOTION,INC.
コンビニ秘密会議
――ココユノノカのお披露目ライブの前日リハで、姉メンから「私たちのえびちゅうを壊さないで!」と泣きながら怒られたことは覚えていますか?
小久保:さすがに覚えてますよ! それを忘れちゃってたら、本気でブチギレられる(笑)。あのときはリハの内容だけじゃなくて、それまでのことについてもすごく怒られました。そのときに、心菜が「柚乃がゲームに誘ってくるから、あまり練習ができなかった」って言い訳したんですよ! 「こいつ!」って思いましたね(笑)。2回ぐらいしか誘ってないのに!
――2回は誘ってるんですね(笑)。そんな出来事があった翌年、再び新メンバーオーディションが開催されることが発表されました。
小久保:新メンバーオーディションを開催するって藤井(ユーイチ/えびちゅう最初期からチーフマネージャー=“2代目校長”を務めた。昨夏をもって退任し、現在はシガロン氏が“3代目校長”に着任)さんから説明されたあと、ココユノノカの3人で反対だって言いに行きました。まだ(当時の)9人の基盤も固まってない状態だったし、自分たち3人も未完成なのに、また未完成な新メンバーが入ってくるのはどうなんだって思ったので。事務所の近くにあるコンビニに3人で行って、店内を歩きながら言いたいことを考えて、それから藤井さんに言いに行きました。「何も意見を聞かずにごめん」とは言われましたけど。
――結果的には、予定通りに新メンバーオーディションが開催されます。
小久保:オーディションを見ていて、自分たちのオーディションのときよりレベルが高い子が揃っているなと思っていました。未完成でも、それぞれみんなすごく頑張っていたし。
――オーディションの結果、桜井さんと仲村さんが新メンバーとして加入しました。
小久保:2人とも、パフォーマンスレベルが高いなと感じました。
――そこで焦りや不安を感じたりも?
小久保:柚乃は自分のパフォーマンスがすごくいいとは思ってないけど、それでも自分は自分というか。だから焦りも不安もなかったです。
――新メンバーに反対したココユノノカと新メンバーとして加入したエマユナですが、昨年2月から4月にかけてその5人だけで行った「武者修行フリーライブツアー」は、5人の関係性に大きな影響を与えたと思います。
小久保:5人だけのフリーライブがあって、そのあとの春ツアー(『私立恵比寿中学 spring tour 2023~100%ebism~』)があって、エマユナともよく話すようになりました。時間が経てばそうなったと思うけど、もしフリーライブがなかったら、そうなるのにもうちょっと時間がかかっていたかもしれないです。
――そのツアーのファイナルは、2017年2月8日に急逝したメンバー・松野莉奈さんの誕生日の7月16日で、会場は松野さんのお別れ会が開催された神奈川・パシフィコ横浜大ホールでした。この日のライブで、10人では初めての『なないろ』を歌います。
小久保:莉奈ちゃんが亡くなったことは、小学生のときにお母さんが運転する車のラジオから流れたニュースで知りました。そのときに、えびちゅうのことを初めて知った気がします。それもあって、『なないろ』を歌うときはいつも緊張するし、どういう気持ちで歌ったらいいんだろうって考えます。莉奈ちゃんのための曲ではあるし、もちろん莉奈ちゃんのことを考えるのも大事なんだけど、なるべく明るく曲の魅力を伝えて、ちゃんと遠くまで届くような歌い方ができたらいいのかなと今は思っています。
取材・文=大久保和則

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