2025-02-02 22:00

「副キャプテンの重圧を下ろして」乃木坂46 菅原咲月が最新アンダーライブで見つけた「落とし物」

乃木坂46「37thSGアンダーライブ」より
乃木坂46「37thSGアンダーライブ」より
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1月28日(火)~30日(木)の3日間、乃木坂46「37thSGアンダーライブ」が幕張メッセにて開催された。3日目の公演はライブ配信され、2月2日(日)19時からリピート配信が行われた。

37thシングル『歩道橋』収録のアンダー楽曲『それまでの猶予』の歌唱メンバーが参加し、同曲のセンターを務める5期生・冨里奈央が座長を担当。筆者は「アンダーライブは座長によって色が変わる」と考えており、34thシングルの中西アルノ、36thシングルの奥田いろはに続く、5期生から3人目の座長となった冨里を中心に、どのようなステージを作り上げるのか注目して観ていた。

今回のライブを観て一番初めに感じたのは「演出の変化」だった。前回のアンダーライブは全国5都市を巡るツアー形式で、各会場の収容人数は約2000人前後と乃木坂46のライブ会場としては小規模だった。そのため、シンプルな演出を中心に、小さい会場だからこそ、ファンとメンバーの一体感が強調された。一方、今回の幕張イベントホールは約9000人収容と、昨年12月には「乃木坂46 大感謝祭」も開催された会場である。

そんな会場で特に目を引いたのは、アリーナ席に食い込むように設けられた三角形のステージだ。センターが先頭部分に立ち、他のメンバーが辺に沿って並ぶことで、V字フォーメーションがより際立って見えた。また、『それまでの猶予』の歌詞に登場する「クラブミュージック」や「巨大なスピーカー」に合わせて、ステージ上にはミラーボールが設置された。さらに「コンピューターが操る照明」を象徴するレーザー演出も行われた。特に、ライブ4曲目の『制服のマネキン』ではイントロ前に無数の緑色のレーザーが放たれ、曲が始まるとMVと同様の青色のレーザーが会場を彩った。

乃木坂46「37thSGアンダーライブ」より
乃木坂46「37thSGアンダーライブ」より

ここからはライブで気になった曲を中心に振り返っていく。

ライブ序盤は1曲目の『それまでの猶予』から始まり、『Hard to say』・『Wilderness world』・『制服のマネキン』が披露された。中でも『Hard to say』では、センターを務めた菅原咲月の存在感が光った。「35thSGアンダーライブ」では冨里とのWセンターで披露されていたが、今回は菅原単独センター。彼女のソロダンスから始まり、リズミカルな同曲を軽やかに踊る姿から「華がある」と感じた。

乃木坂46「37thSGアンダーライブ」より
乃木坂46「37thSGアンダーライブ」より

その後、期別楽曲コーナーを経て、今回のアンダーライブのメイン企画「ソロ歌唱」コーナーへ。各公演4人ずつ、3日間で全12人が歌う形式で、前回のアンダーライブでもソロ歌唱パートがあったが、今回はダンスとアレンジが封印され、メンバーの純粋な歌唱力が試された。また、メンバー自身が選曲しており、歌唱前にはその理由が語られることで、楽曲に込めた思いやテーマがファンと共有された。

3日目には、3期生・吉田綾乃クリスティーが『孤独な青空』、4期生・佐藤璃果が『ないものねだり』、3期生・中村麗乃が『歳月の轍』、そして最後に冨里が『今、話したい誰かがいる』を披露。特に中村のステージは圧巻だった。前回のアンダーライブでは体調不良で一部参加かつダンスのみとなった彼女。『歳月の轍』はミュージカルなどで活躍した1期生・生田絵梨花の卒業ソロ曲のため、どうしても比較してしまうが、彼女が8年半で磨き上げた歌唱力は引けを取らない。彼女の表現力が歌い終わりの息遣いにまで宿っており、アウトロが鳴り終わる前から会場中で拍手が湧き起こっていた。

また、吉田も普段のほんわかとした空気感とは異なり、『孤独な青空』が持つ“力強さ”を歌声にのせていた。笑顔で歌う彼女からはこれまでの経験に裏付けされた自信が見られたが、ふとした瞬間に手が震えている様子が確認でき、歌一本で勝負する難しさや緊張感が伝わってきた。

MCコーナーを挟んでライブは再び全員参加の楽曲へ。『狼に口笛よ』では、センターの伊藤理々杏がマイク代わりに拡声器を使う演出が取り入れられ、2ndシングルに収録され、長年アンダーライブを支えてきた同曲に新しい解釈をもたらした。続く『13日の金曜日』や『バンドエイド剥がすような別れ方』では、メンバーがトロッコに乗って会場内を移動しファンの近くへ。乃木坂46の全体ライブでは定番となっている演出がアンダーライブでも再現された。その後、『思い出が止まらなくなる』でメインステージに集合したメンバーは、曲の途中で一列になると、客席を背にした。サイリウムを背景に踊り、配信カメラは一人ひとりの表情にフォーカスを当て、最後に冨里がカメラのレンズに「だいすき」と書くなど、今後のライブに活かせる演出が目白押しだった。

乃木坂46「37thSGアンダーライブ」より
乃木坂46「37thSGアンダーライブ」より
乃木坂46「37thSGアンダーライブ」より
乃木坂46「37thSGアンダーライブ」より

ライブ終盤は途中でダンスコーナーを挟みながら、7曲連続披露で本編最後まで駆け抜けた。その中でも、前作のアンダー楽曲『落とし物』に注目したい。センターを務めた菅原は本来、同曲のオリジナルメンバーではないが、彼女の佇まいからは「この曲は元から彼女のものなのでは?」と錯覚させるオーラを感じた。オリジナルセンターの奥田いろはと異なり、菅原らしい力強い歌声で楽曲を自分のものにしていた。

新たなアンダー定番曲となった『悪い成分』・『踏んでしまった』・『日常』も忘れてはいけない。特に、「ソロ歌唱」企画で存在感を発揮していた中村のセンター曲『悪い成分』は、前回のアンダーライブで満足いくパフォーマンスができなかった悔しさを晴らすような、鬼気迫る表情と大人の艶やかさの両方が感じられた。『踏んでしまった』や『日常』も今回のライブを象徴する照明やレーザー演出によって、これまでとは違った一面を見せている。

乃木坂46「37thSGアンダーライブ」より
乃木坂46「37thSGアンダーライブ」より

本編ラストを迎え、筆者は最後に披露される曲を注目して観ていた。というのも、直近4回のアンダーライブでは、その時の最新アンダー楽曲で本編を締めくくることが続いていたが、今作の『それまでの猶予』はライブの一番初めに披露済だったからだ。「30thSGアンダーライブ」では『Under’s Love』(当時の最新アンダー楽曲)が最初と最後に2回披露されたこともあったが、今回選ばれたのは冨里の初センター楽曲である5期生曲『考えないようにする』。期別楽曲で終わる展開には驚いたが、最初に「アンダーライブは座長によって色が変わる」と書いた通り、今回のアンダーライブは冨里を中心に構成されていた。原点回帰が色濃く感じられた「36thSGアンダーライブ」とは異なり、新演出や普段は披露されない曲が最後を飾るのも、新しいアンダーライブの形と言えるだろう。

乃木坂46「37thSGアンダーライブ」より
乃木坂46「37thSGアンダーライブ」より

また、アンコールでは吉田から菅原に、「副キャプテンという重圧をここではちょっとは下ろせるのかなって思って。咲月本来の良さがアンダーライブでは出せたのかな」というメッセージが送られていた。これからグループの責任ある立場を担っていく菅原も、冨里と同様に今回のアンダーライブの主人公だった。乃木坂46の伝統と歴史、そしてアンダーライブの新しい形が示されたステージは、冨里や菅原、そしてメンバーそれぞれにとって大きな経験となったに違いない。

乃木坂46「37thSGアンダーライブ」より
乃木坂46「37thSGアンダーライブ」より

乃木坂46「37thSGアンダーライブ」より
乃木坂46「37thSGアンダーライブ」より

乃木坂46「37thSGアンダーライブ」セットリスト

1月28日
0.OVERTURE
1.それまでの猶予
2.Hard to say
3.Wilderness world
4.制服のマネキン
5.Out of the blue
6.自分じゃない感じ
7.心にもないこと
8.明日がある理由
9.光合成希望
10.~Do my best~じゃ意味はない
11.何もできずにそばにいる
12.狼に口笛を
13.13日の金曜日
14.バンドエイド剥がすような別れ方
15.思い出が止まらなくなる
16.シンクロニシティ
17.あの日 僕は咄嗟に嘘をついた
18.落とし物
19.悪い成分
20.踏んでしまった
21.日常
22.考えないようにする
EN1.太陽ノック
EN2.風船は生きている
EN3.帰り道は遠回りしたくなる
EN4.乃木坂の詩

1月29日
0.OVERTURE
1.それまでの猶予
2.Hard to say
3.Wilderness world
4.制服のマネキン
5.Out of the blue
6.自分じゃない感じ
7.心にもないこと
8.錆びたコンパス
9.夜明けまで強がらなくてもいい
10.やさしさとは
11.心のモノローグ
12.狼に口笛を
13.13日の金曜日
14.バンドエイド剥がすような別れ方
15.思い出が止まらなくなる
16.シンクロニシティ
17.あの日 僕は咄嗟に嘘をついた
18.落とし物
19.悪い成分
20.踏んでしまった
21.日常
22.考えないようにする
EN1.太陽ノック
EN2.風船は生きている
EN3.帰り道は遠回りしたくなる
EN4.乃木坂の詩

1月30日
0.OVERTURE
1.それまでの猶予
2.Hard to say
3.Wilderness world
4.制服のマネキン
5.Out of the blue
6.自分じゃない感じ
7.心にもないこと
8.孤独な青空
9.ないものねだり
10.歳月の轍
11.今、話したい 誰かがいる
12.狼に口笛を
13.13日の金曜日
14.バンドエイド剥がすような別れ方
15.思い出が止まらなくなる
16.シンクロニシティ
17.あの日 僕は咄嗟に嘘をついた
18.落とし物
19.悪い成分
20.踏んでしまった
21.日常
22.考えないようにする
EN1.太陽ノック
EN2.風船は生きている
EN3.帰り道は遠回りしたくなる
EN4.乃木坂の詩

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