“昆虫博士”牧田習、3歳での出合いから博士課程まで 昆虫愛あふれる人生

2025年、東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程修了、“昆虫ハンター”としてテレビでも活躍している昆虫博士・牧田習氏が、8月1日~9日にかけて行った海外調査と国際学会での研究発表取材会に出席。報道陣のインタビューに応じた。
――そもそも、牧田さんが昆虫に興味を持ったきっかけは?
牧田習:幼稚園に入る前、3歳くらいの頃から昆虫が好きでした。祖父が立派なミヤマクワガタを持ってきてくれたのが最初の出合いです。動く姿や形のかっこよさに引かれて、「なぜこんな形なんだろう」「自分でも捕まえてみたい」と好奇心が膨らみました。昆虫は100万種以上が知られていますが、まだ名前も付いていない種も膨大にある。飽きることなく追い続けられた理由は、尽きないワクワクがあるからだと思います。

――今の研究テーマである「迷チョウ」について教えてください。
牧田習:13歳のとき、沖縄で偶然捕まえた蝶がきっかけです。周囲から「昔はいなかった種類だよ」と聞き、蝶の分布が変わっていることを知りました。気候変動や台風・偏西風などの大気現象によって、本来いない地域に飛来する蝶を「迷チョウ」と呼びます。「長いスパンで見たらどう変わるのか」「将来どうなるのか」という興味が芽生え、現在の研究につながりました。
――ニュースや研究として発信する際、何を一番伝えたいですか?
牧田習:日本で暮らす私たちの生活は、遠く離れた地域の環境とつながっています。例えば、花を出荷するために、それを育てるジャングルや森が切り崩されることもある。昆虫が“ペット”として売られている裏側でも同じようなことが起きています。昆虫を通じて環境問題を知ることができるので「地球はつながっている」という視点を持つきっかけになればと思います。
――昆虫を軸にしたエコツーリズムは海外でも行われているのでしょうか?
牧田習:昆虫を対象にした大規模なエコツーリズムの成功例は、正直あまりありません。日本では虫取り教室のようなものはありますが、「採集して外国に売ることが禁止されている国」で、観光と教育を両立させるモデルはまだ少ないと思います。
――温暖化で昆虫が減っているという話がありましたが、身近でも変化を感じますか?
牧田習:例えば私の好きなゲンゴロウは、農薬や外来種の影響で絶滅危惧種になっています。その代表的な例だと思います。一方で、ツマグロヒョウモンというオレンジ色の蝶は、温暖化と、人が植えるパンジーとかスミレを食べる蝶なんですけど育ちやすくなった。その2つの影響で分布が拡大している。減る昆虫もいれば、増える昆虫もいる。昆虫の変化は、環境の変化を教えてくれる“指標”だと思います。

――牧田さんは、おうちでも昆虫を飼っていますか?
牧田習:国内で採集したカミキリムシの幼虫やゲンゴロウなどを飼っています。海外調査で家を空けることも多いので、数はそこまで多くありません。
――ちなみに苦手な虫はいますか?
牧田習:昆虫(足が6本)は大丈夫ですが、ダンゴムシとかムカデとか足が多い仲間は苦手です(笑)。
――逆に好きなタイプの虫もいるのでしょうか?
牧田習:“ギャップ”に引かれます。日本の大きなセミを見慣れていたのに、ニュージーランドで小さなセミを見たときはすごくテンションが上がりました。自分が見てきた虫とは違う姿に出合うとテンションが上がります(笑)。
――“昆虫ハンター”という肩書もお持ちですが、昆虫ハンターとして生きていこうと思ったのはいつ頃ですか?
牧田習:小学生の頃から「虫で食べていきたい」と思っていました。大学で調査を重ねる中で、昆虫の楽しさを伝える仕事をしたいと強く思うようになりました。
――当時でも今でも、目標にした存在はいますか?
牧田習:大学生の頃は、さかなクンさんのようになりたいと思った時期があります。ただ、私は“好きなことをまずやってみて、そこから広げていく”タイプ。興味のあることに挑戦し続けることで今につながっています。
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