2022-10-02 18:30

【新連載】田村潔司がUWFを解析…レスラーたちは何を見せていたのか

田村潔司がUWFの正体を探る新企画
田村潔司がUWFの正体を探る新企画
写真提供=平工幸雄

プロレスでも格闘技でもなく、プロレスであり格闘技でもある、一世を風靡したUWFの正体を探る。

かつて前田日明、髙田延彦、藤原喜明、船木誠勝、鈴木みのるら錚々たるメンバーが所属。「従来のプロレスとは違う格闘プロレス」として、80年代末から90年代初頭にかけて社会現象と呼ばれるブームを巻き起こした伝説の団体UWF。そのプロレスから格闘技へと移行していくムーブメントは、現在の総合格闘技(MMA)が確立されるきっかけともなった。

そんなUWFは、ここ数年関連書籍が多数出版され好調な売れ行きを示すなど、また再びファンの興味、関心を呼んでいる。それはプロレスと格闘技が完全に棲み分けされ、“謎”や“グレーゾーン”がなくなったマット界において、プロレスと格闘技の間に存在するUWFだけがまだ解明されていない謎を残しているからだろう。

UWFはなぜプロレスでありながら格闘技の緊張感を持ち、ロープに飛ばない地味な技術の攻防であれだけ観客を熱狂させることができたのか。プロレスや格闘技とは何が違い、UWFのレスラーたちは何を見せていたのか。

新生UWF生え抜き第1号選手であり、デビュー以来30年以上にわたりUWFにこだわり続けてきた田村潔司が、UWFを解析する。

「UWFって何ですか?」
「プロレスですか、格闘技ですか?」

最近、メディアのインタビュー取材をはじめ、いろんな人からそんなふうに聞かれることが多い。

ボクは1988年に新生(第二次)UWFに入門し、その後、髙田延彦さんのUWFインターナショナル、前田日明さんのリングスという“U系”と呼ばれる格闘技色の強い団体に所属。2002年からフリーになった後も、PRIDEなど総合格闘技のリングに上がりながらU-STYLEという大会を開いたり、ずっと「UWF」の三文字にこだわり続けてきた。そして2020年からはプロレスの新団体「GLEAT」のエグゼクティブディレクターとして、あらたにUWFスタイルの選手育成に関わりはじめたことで、再び「UWFとはなんぞや?」ということが問われる機会が増えたのだと思う。

UWFの歴史を紐解くと、もともとは1984年にアントニオ猪木さんの新日本プロレスから分派独立するような形で誕生した団体。そこから前田日明さん、佐山サトル(スーパー・タイガー)さん、藤原喜明さん、髙田延彦さん、山崎一夫さん、木戸修さんらによって、従来のプロレスとは違う格闘技色の強い、まったく新しい「格闘プロレス」を展開し、「UWF信者」と呼ばれる熱狂的なファンを生み出すもテレビのレギュラー放送がなかったことなどもあり、わずか1年半ほどで活動停止。

その後、新日本との業務提携期間を経て、1988年に新生(第二次)UWFとして活動を再開すると、さまざまなメディアに取り上げられたこともあり社会現象と呼ばれるほどのブームを巻き起こす。しかし、選手と経営者側や選手間の対立もあり1990年末に解散。リングス、UWFインターナショナル、プロフェッショナルレスリング藤原組の3派に分裂したことは、プロレスファンならご存知のことだと思う。

1996年末にUインターが解散して、「UWF」と名の付く団体がなくなってから早26年。その間、プロレスと総合格闘技が明確に棲み分けされたことで、「格闘プロレス」であるUWFを知らない、わからない、理解できない人が増えたことは想像に難くない。中には「プロレスも総合格闘技も確立した今、その中間、過渡期であったUWFは必要ない」という人もいるかもしれない。

でも、ボクはそこに反論する。通常のプロレスとも総合格闘技とも違うUWFは、ある意味で最も難しく、だからこそ最も面白いと信じているからだ。

プロレスや格闘技は“誰にでもできる”もの

こういうことを言うと誤解を招くかもしれないけれど、ボクはいわゆる通常のプロレスや格闘技は“誰にでもできる”ものだと思っている。

基本的にプロレスラーも格闘家も一目置いている前提で話すと、例えばプロレス界にはメジャー団体、インディーズ団体あるいは学生プロレスも存在する。それらは平たく表現すると同じ「プロレス」である。明確な違いは、体力面や身体、技術の違いである。

そして格闘技に関しても、ルールがあるかないかで、格闘技とケンカに明確な違いはない。ケンカ自慢であろうが素人であろうが、格闘技イベントに出場し闘うことはできる。実際、格闘技イベントや配信番組がいろいろあると聞いている。

だからプロレスや格闘技は、素人の学生レスラーやケンカ自慢が出ても理論上成り立つ(試合のクオリティに雲泥の差があるにしても)。しかしUWFは格闘技の技術を駆使して、観客を熱狂させ、楽しませ、欲を言えば明日への活力を生ませるものでなくてはならないもの。強さや格闘技の技術は必要不可欠で、その上で魅せる要素や表現力が求められる。それは学生レスラーやケンカ自慢には絶対にできないし、プロレスラーでも格闘技のトレーニングを積んでいなければ難しい。そしてプロの総合格闘家であってもすぐにできるものではないと思っている。UWFはただ強いだけでもいけない。ただ勝ちゃいいって問題でもないからだ。

新生UWFが旗揚げされる時、前田さんは自分たちUWFのレスラーのことを「選ばれし者」と表現したけれど、従来のプロレスラーにも格闘家にもできないこことをやっていると言う意味で、ボクもそこに共感する。

だからUWFとは何かと問われて、「プロレスです」というのは間違いではないけれど、そこをボクはあえて「プロフェッショナルレスリング」と呼びたい。大きな意味でUWFはプロレスだけれど、ほかのプロレスとは全く違う。そこはしっかりと区別したい。

UWFと他のプロレスの何がいちばん違うかと言うと、それはまず練習内容。UWFの道場では、本当に格闘技の練習しかしていない。だからボクはプロレスラーになってからすでに30年以上になるけれど、ロープに走る練習とか、プロレス特有の組んで投げる・投げられるといった練習は一切やったことがない。ケガをしないために受け身の練習をしたことはあるけれど、それ以外は強くなるための格闘技の練習しかしてこなかった。

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取材・文=堀江ガンツ

田村潔司=たむら・きよし|1969年12月17日生まれ、岡山県出身。1988年に第2次UWFに入団。翌年の鈴木実(現・みのる)戦でデビュー。その後UWFインターナショナルに移籍し。95年にはK-1のリングに上がり、パトリック・スミスと対戦。96年にはリングスに移籍し、02年にはPRIDEに参戦するなど、総合格闘技で活躍した「孤高の天才」。現在は新団体GLEATのエクゼクティブディレクターを務めている。

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