2023-12-30 20:00

武藤敬司、プロレスの神様に愛されて

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「BUBKA2月号『輝け！BUBKAアワード2023-2024』」に登場している武藤敬司
写真提供／プロレスリング・ノア

年の瀬はBUBKAアワードのゴングを鳴らそう！ 2023年2月、歴史的試合となった東京ドームでの試合を最後に現役生活の幕を閉じた武藤敬司。グレート・ムタとしてWWEの殿堂入りも果たし、激動の一年だったと語る2023年を振り返っていただきました。

1分が全て

――なんだかんだ言って、2023年のプロレス界は「武藤敬司の年」だった気がするんですよ。

武藤敬司　そんな、こっちは2月に引退してるんだからさ。でも、なんか激動の1年だったね。本当に60歳にもなると1年がびっくりするほど早いよ。このまま、あっという間に人生の終わりがくるんじゃないかと恐ろしくなるくらいだよ(笑)。

――でも、今年はそれだけいろんなことがあって充実してたってことじゃないですか。とくに1月、2月は、元日に日本武道館で中邑真輔戦があって、1・22横浜アリーナではアメリカのメジャー団体WCWでのライバルだった超大物スティングを招聘してグレート・ムタのラストマッチ。そして2・21東京ドームでの引退試合と怒涛のビッグマッチラッシュで。

武藤敬司　まあ、真輔戦はいい作品が残せたと思うけど、ムタのラストはふとももの肉離れを起こしたり大変だったよ。プロレスの神様は、最後に試練を与えてくるなと思ったりしてね。最後の東京ドームは、あれだけたくさんのお客が入ってくれたのも久しぶりだったし。38年間やってきた総決算でみんなが協力してくれてできた空間だったよね。光栄だったよ。

――プロレス業界をあげて武藤さんを送り出すオールスター戦みたいな感じでしたもんね。

武藤敬司　うん。新日本も全日本も登場してくれてね。内藤(哲也)と引退試合をやったあと、最後の最後は同日デビューの蝶野(正洋)がリングに上がってくれるサプライズもあって。ファンへの恩返しができたかなと思ってる。時間はたった1分くらいで短かったけど、腰が悪くて普段は杖をついてる蝶野が、あれだけしっかり動けたのも驚きだったしね。

――蝶野さんがサングラスを取った瞬間、「プロレスラーの目」をしていたのにはゾクゾクしましたよ。

武藤敬司　プロレスってね、何を伝えるかが重要なことで。絶対に時間の長さじゃねぇんだよ。今はビッグマッチのメインイベントになったら30分以上試合するのがお決まりになってるけど、その定義自体がプロレスを窮屈なものにしている。俺と蝶野の試合は、あの1分に全部詰まってるからさ。

――物足りなさはまったくありませんでしたからね。では、最後の試合で今後のプロレス界へのメッセージも残した感じですか。

武藤敬司　いや、後出しで言ってるんだけどね(笑)。

取材・文／堀江ガンツ

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武藤敬司プロフィール

武藤敬司＝むとうけいじ｜1962年12月23日、山梨県生まれ。1984年に新日本プロレスに入門、同期の蝶野正洋、橋本真也と並び“闘魂三銃士”と称され、トップレスラーとして君臨し、グレート・ムタとしてアメリカでも絶大な人気を博した。2002年2月に全日本プロレスに移籍後、代表取締役社長に就任し団体をけん引、2013年には新団体「WRESTLE-1」を旗揚げ。2023年の2月の現役引退後、WWE殿堂入りを果たした。

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