乃木坂46中西アルノが見つけた“スパイスの入れどころ” 黒沢薫との掛け合いが生んだ表現の進化

CS放送「TBSチャンネル1最新ドラマ・音楽・映画」にて毎月放送中、ゴスペラーズの黒沢 薫と乃木坂46の中西アルノがMCを務める音楽番組『Spicy Sessions(スパイシーセッションズ)』。8月22日(土)夜11時30分からは『Spicy Sessions with KAZ(GENERATIONS/数原龍友)』が放送される。今回、ゴスペラーズをデビュー当時からよく知り、数々のアーティストのオフィシャルライターを務める音楽ライターの伊藤亜希氏によるオフィシャルインタビューが到着した。
オフィシャルインタビュー

──KAZさんは番組をよく知っていて、過去回まで掘り下げた上でリスペクトを言葉にしてくれていましたね。MCのお二人にとってもうれしかったのでは?
黒沢 薫:長く続けてきたことで、「面白い音楽番組をやっている」と、音楽をやっている人たちに少しずつ浸透してきた感覚はあります。KAZくんも「出たい」と言って出演してくれた。これはうれしい傾向ですね。僕なら「ゴスペラーズだから」とか、アルノさんなら「乃木坂のメンバーだよね」と、先入観で知った気になって、歌を聴かれないこともある。でも『Spicy Sessions』を続けてきたことで、「実際どんな歌を歌うんだろう」と耳をそばだててもらえるようになってきた。それがここ数回、実を結び始めている気がします。
中西アルノ:私も、アイドルだからと聴く前から判断されるような先入観を、どうにか壊していきたいと思っていました。今日もKAZさんが「すてきな歌声の人がいると思っていた」と言ってくださって。そのきっかけがこの番組だったことが、何よりうれしいです。
黒沢 薫:KAZくんは本当にね、「そこまで見てるんだ」というところまで知ってくれていて、本当にうれしかったです。

──「What’s Going On」は、バンドで聴くととても華やかでした。
黒沢 薫:今回はMarvin Gayeの原曲と、Donny Hathawayのライブ版をミックスしています。Donny Hathawayのライブアルバムでは1曲目が「What’s Going On」。僕がよく行っていたセッションイベントでは、そのバージョンをやることが多いんですよ。「You’ve Got a Friend」と「What’s Going On」は、セッション界隈ではスタンダードなんです。今回はMarvin Gayeが歌っているフレーズとDonny Hathawayが歌っているフレーズを両方混ぜて、さらに自分たちのオリジナルも入れたんですよね。サビでアルノさんにも入ってもらって、最後はみんな自由にやる。そういうある種の混沌まで許容できる番組になってきている。

──最近は黒沢さんが楽曲について解説して、そこに中西さんが加わることで、視聴者にも音楽の面白さがより伝わるようになっていますよね。
黒沢 薫:ただ「かっこいい曲をやっています」「この人たち、歌えてすごいですね」で終わるのではなく、音楽そのものを伝えたいんです。僕らが歌うことによって、「ポップミュージックって素晴らしい」ということを伝えたいと思うようになってるんですよね。
──「What’s Going On」の後半はかなり自由でしたね。中西さんもメロディーを崩して歌ってましたし。どこからがアドリブなのか、途中で分からなくなってきました(一同笑)。
中西アルノ:私もどこまでアドリブなのか全然分からないです(笑)。でも「自由にやっていいよ」と言っていただいたので、自分もちょっと違う感じで歌ってみたんです。以前だったら、自分が何かをするとカオスになってしまう感覚があった。でも今は、ちゃんと一員として味付けできている……スパイスを入れられているなって、少しは思えるようになりました。
黒沢 薫:入るべきスポットが見えるようになってきたんですよ。「ここの間に入ればいいんだ」っていうのが、少しずつ見えてきている。これはもうセッションシンガーの目線なので、この番組はとんでもない人を育ててしまっているなと思います(笑)。

──「誰より好きなのに」では、KAZさんが言葉を置くように歌っていたのが印象的でした。
中西アルノ:本当に。一つ一つを自分事として思い出しながら歌っているように感じました。歌っているというより、本当に言葉を置いているような感じ。それが隣にいる私にも伝わってきたので、頭で「どうアプローチしよう」と考えるより、KAZさんが見ている景色に乗っていった感覚です。私は、かなわなかった恋に未練タラタラな女の子を想像して歌っていました。思う気持ちはあるけど結ばれない、報われない恋ですね。
──「最後の雨」は、中西さんが“黒沢印、KAZ印”と表現していました。
黒沢 薫:僕は1992年に原曲を聴いて「すごくいい曲だ」と思って、カラオケでも歌っていた世代なので、あまり崩したくない。一方、KAZくんは自然に「自分の歌としてどうアプローチするか」を考えられる世代だと思うんです。だから僕は、中西保志さんの完コピでもなく、KAZくんほど自由でもない、その真ん中に黒沢 薫を置こうとしました。

──実際に2人で歌うことで、お互いの歌が変化していくのが、ゆったりとしたメロディーだからこそ、すごく分かりやすかったです。
黒沢 薫:そうなんです。歌で合わせると、リズムや歌い方がお互いにグッと寄っていく。それぞれ違うアプローチだったものが混ざり合って、『Spicy Sessions』オリジナルの歌い回しになっていく。こういうところにも、この番組のすごさを感じます。ハーフ&ハーフだったはずのものが、混ざり合うことでまた違う味になるんですよね。「誰より好きなのに」も、そういう感覚がありました。バンドも本当に素晴らしかったです。

──そして中西さんが歌った「SWEET MEMORIES」。松田聖子さんの原曲とは全く違う景色が見えました。
中西アルノ:リハの時、バンドの皆さんに「音数を減らしたい」「クリックなしでやりたい」と相談しました。昔のことをぽつぽつと思い出しているような雰囲気で歌いたかったのと、松田聖子さんとは違う「SWEET MEMORIES」を表現したかったんです。ラストサビはかなり盛り上がるアレンジにしていただいていたんですけど、自分のやりたいと思う雰囲気に寄せていただき、ありがたかったです。
黒沢 薫:アルノさんは、バンドに煽られて歌を熱くするのではなく、自分が設定した歌の温度を保つために、「音数を減らしてほしい」とバンドへ要求するようになったんですよね。これは大きいですよ。以前さユりさんの「ミカヅキ」を歌った時にも思いましたけど、もう「ただ歌がうまい」をやりたいわけではない。歌手として自分の世界観を作りたいと思うようになっているから。
中西アルノ:それは本当に『Spicy Sessions』で培ったものだと思います。カバーする意味を持たせたいと思うようになりましたし、「歌える自分を見て」ということよりも、もっと先に見せたい世界があると思っているんです。
黒沢 薫:KAZくん自身がすごくセッションを楽しんでくれていて。それもすごくうれしかった。グループでは普段、決められたものをきっちりやることが多い。まぁ、僕もグループをやっているからよくわかるんだけど。で、そこから自由になる時間って、やっぱり楽しいんですよ。もちろん怖くもある。曲の中で歌を自由にしても、すぐ戻る場所があるわけではないですから。でも、その自由さ、その楽しさを3人で分かち合えたのが、とても良かったと思います。
■『Spicy Sessions with KAZ(GENERATIONS/数原龍友)』
8月22日(土)夜11時30分~深夜0時30分

【乃木坂46中西アルノ表紙:BRODY 2025年10月号通常版】
⇒ Amazonで購入

【乃木坂46中西アルノ表紙:BRODY (ブロディ) 2025年 2月号】
⇒ Amazonで購入

【乃木坂46・金川紗耶1st写真集『好きのグラデーション』】
⇒ Amazonで購入

【BUBKA (ブブカ) 2026年 1月号】
⇒ Amazonで購入











