『Spicy Sessions』MC黒沢薫&中西アルノ、今年最初の収録で語った2026年の抱負

ゴスペラーズの黒沢 薫と乃木坂46の中西アルノがMCを務める音楽番組『Spicy Sessions(スパイシーセッションズ)』(TBSチャンネル1 最新ドラマ・音楽・映画)。2026年2月28日(土)に放送される『Spicy Sessions with 武田と哲也』の収録を、ゴスペラーズをデビュー当時からよく知り、数々のアーティストのオフィシャルライターを務める音楽ライターの伊藤亜希氏が取材。そのオフィシャルリポートが到着した。
放送開始から3年目

放送開始から3年目に入った『Spicy Sessions』。MCを務めるのは、ゴスペラーズの黒沢 薫と、乃木坂46の中西アルノ。原曲を尊重しながら、曲に新たな息吹を宿すことができる2人が顔をそろえるこの番組は、初回から一貫して“音楽ファースト”“ゲストファースト”を貫いてきた。昨年10月には念願だった番組初のライブイベント「Spicy Sessions -THE LIVE-」を開催。積み重ねてきた“音楽への愛”が結実した夜となった。
しかし、このイベントは単なる結果ではない。音楽が生まれる「過程」を大切にしてきたからこそたどり着いた、一つの到達点である。そしてこの到達点は、収録のたびに更新されていく。
黒沢と中西、Spicy Sessionsバンド、ゲストたちがその場で組み上げていく音像は、瞬時に観客を惹きつける。“音”そのもので会話をしながら、セッションを心から楽しんでいるステージ上の熱が、客席へと伝わっていくからだ。目の前で産声を上げるセッションという音楽が、観る者の心を震わせる。それは視聴者も同じだろう。収録も放送も、観た後に幸福感が残る。
いい音楽は人を幸せにする――このシンプルな真実を、毎回改めて思い出させてくれる。『Spicy Sessions』は、そんな音楽番組だ。
2026年最初の収録
MCの2人は、冒頭で今年の抱負を語った。「もう1回ライブをやりたい」と中西。黒沢は「(Spicy Sessionsの)テーマソングを作りたい。それでライブに臨みたい」と。観客から大きな拍手が起こる。「3年目に入り番組もちょっとリニューアルしました」と黒沢。ステージ両端には、天井からラインストーンのような装飾が吊るされ、光のカーテンのように煌めいていた。中西が「ちょっと派手になりましたね」と反応すると、黒沢が「予算が増えた感が」と、笑顔を見せた。
リニューアルがもう一つ。今回からセッションする曲を事前の打ち合わせで決めることになったとのこと。事前に決まっていれば、個々のイメージトレーニングが長くできる分、本番での表現の選択肢が増える。黒沢も中西も、もちろんゲストも、相手の出方を見ながら次の一手を加えていくのは、これまでと変わらない。いや、むしろ、選択肢が多くなった分、予想を超えてくることが多くなるのではなかろうか。
この日のゲストは、Skoop On SomebodyのTAKE(武田雅治)とゴスペラーズの村上てつや(村上哲也)による“ジャパニーズ・セクシー・ソウル・デュオ”武田と哲也。白のスーツに白のスニーカー。そして昨年12月26日に先行配信された最新シングル「LOVE SHOT (deuce)」にちなんで(?)テニスラケットを持って2人が登場。
「スパイシィ~セッショーン~」

村上が「テーマソング作るの?」と聞き、即興で「スパイシィ~セッショーン~」と歌い出す。奔放な連続ショットに、黒沢が「歌ってください」と苦笑しながら促す。ラケットを持ちながら歌う「LOVE SHOT (deuce)」のパフォーマンスは、ぜひとも放送でご確認を。歌唱後、黒沢が「いい歌だし、カッコいいと思うけど、ラケットが気になっちゃって」と、またも苦笑交じりのコメントをしていたが、そんな中で「ゴスペラーズのメンバーを(番組に)出したいとずっと思っていたから、夢がかなった」と語ったのが印象的だった。
村上が中西とのセッション曲に選んだのは、鈴木雅之と菊池桃子のデュエット曲「渋谷で5時」。村上が中西とバンドメンバーに「台詞はイントロの中で」「2番の頭をブレイクして、二声で」とリクエスト。さらに、「1番終わり、EPOさんの『DOWN TOWN』にしません?」と提案する。
天井からミラーボール
Spicy Sessionsバンドには、ゴスペラーズバンド、武田と哲也バンドのメンバーが複数いる。村上の“リハーサル大好き”スイッチが入るのも当然か。「ここまで観られると、お客さん楽しいよね」とTAKE。村上の「ディスコ調に」というリクエストに、天井からミラーボールが降りてくる。どよめく会場。バンドだけではなく、番組の制作スタッフも、どんどんセッションに加わるようになっているのが分かる。
「さっきから歌のこと全然やってないけど大丈夫?」と、黒沢がツッコむ。歌合わせに入る村上と中西。見事にハーモニーを決めると会場から拍手が起こった。ミラーボールが光の輪舞(ロンド)を描く中で披露された「渋谷で5時」。歌い終えた後「セッションってすごいなって。楽しかった」と中西。満足げな村上にTAKEが「バンドにジャンプまでさせておいて(バンドを)1回も見なかったでしょ」と、シルキーで柔らかい口調でツッコんでいた。

崎谷健次郎の「もう一度夜を止めて」
続いてTAKEと黒沢のセッション。TAKEが選んだ曲は、黒沢と「ガチで歌いたい」と話した、崎谷健次郎の「もう一度夜を止めて」。セッティング中、この曲の作詞が、中西が所属する乃木坂46の総合プロデューサー・秋元康氏であることが話題に。
セットチェンジの際などに時折出てくる黒沢のトリビアは、楽曲への解像度を一段階上げる。同時に、いかに黒沢が、これまで毎日、さまざまな音楽を自分の中に取り込んできたのかが分かる。音楽的ルーツから、アーティストのバックボーンまで、細かく落とし込んで咀嚼している。黒沢は音楽に対しても相当な食いしん坊だ。そうでなければ、これまでのゲスト陣の多様なジャンルに対応できていなかったと思う。
TAKEと黒沢が歌割りを確認している。TAKEは、この曲の2番のサビを黒沢 薫の声で聴きたいと言った後「後半は黒沢 薫 節(ぶし)で、ニャーニャー、ニャーっていって……」「ハモったらハモってもいいけど」「出たとこ勝負で」「バンドの皆さんも楽しんじゃってください。こっちも楽しむ」と、歌のエキスパートならではの言葉がどんどん飛び出す。
黒沢も“楽しもう”という表情。お互いの引き出しの中身まで熟知しているからこそ成立する信頼感が、観客を“聴く”モードに集中させていく。TAKEと黒沢、2人で歌った「もう一度夜を止めて」は、声と声のラリーが続く、名試合だったと思う。
歌い終わった後、がっちり握手。観客は喝采でレスポンスした。「イメージしていた以上のパフォーマンスで返してくれた」と黒沢を称賛するTAKE。村上は「TAKEがこの曲をブラックミュージックのテイストで解釈していたことが、腑に落ちた。バンドの解釈もぴったり合っていて素晴らしかった」と絶賛していた。

久保田利伸 with ナオミ・キャンベルの「LA・LA・LA LOVE SONG」
武田と哲也がMCの2人とセッションしたいと挙げたのは、久保田利伸 with ナオミ・キャンベルの「LA・LA・LA LOVE SONG」。そのタイトルに、観客が沸く。名曲に新たな魅力を見出せるのも『Spicy Sessions』の旨味だ。洋邦問わず、これまで何度も聴いた曲でも、『Spicy Sessions』によって奏でられると、必ず新発見がある。
「真っすぐに盛り上がれる曲」と村上。黒沢が「アルノ・キャンベルね」と笑うと「頑張ります」と中西。村上と中西のサビ前のフックになるようなコーラス、TAKEのソウルフルなアプローチからのファルセット、黒沢の張り上げないクリアなトーン、エンディングでは、“アルノ・キャンベル”のオリジナル解釈も飛び出した。
引き出しの多い歌い手が4人そろい、スキルやアドリブが交差し続けた中でも、スキル合戦という印象がまったく残らなかったのは、歌っている4人が心の底からセッションを楽しんでいたからにほかならない。「3人がすごく引っ張ってくださって、自分なりに、今までにないグルーヴが出せました」と中西。黒沢は「“楽しい、いい回だな”と思って歌うことができた」と感想を述べた。
Saucy Dogの「シンデレラボーイ」
最後のソロ歌唱コーナーも、この回からコンセプトをプチリニューアル。MCの2人が歌いたい曲、お互いに歌ってほしい曲を歌うことに。ソロで歌唱する時もあれば、2人で歌うこともあるという。今回は、黒沢のリクエストでSaucy Dogの「シンデレラボーイ」を、中西がソロで歌唱。
黒沢は選曲の理由を「あなた、エモいじゃないですか。Saucy Dogもエモい。エモとエモを掛け合わせてもっとエモくしたい」と表現。黒沢が、中西の中に見出したエモさの正体、放送で確かめてほしい。切実さ、尊さ、透明感、感情表現、そして歌う喜び。そんな中西のエモーショナルな要素が凝縮されたような歌声だった。
なお、この密着レポートもリニューアル。これまでは収録ごとにまとめて1本だったが、今回から毎月、放送に合わせて1本ずつお届けしていく。
取材・文/伊藤亜希
放送情報
『Spicy Sessions with 武田と哲也』
2026年2月28日(土)午後11時30分~深夜0時30分
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