祝『放送作家松田好花 リターンズ』放送決定!番組ディレクター・町田拓哉が語る、唯一無二のタレント性

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作家vsディレクター
──町田さんが「盛ラジオの直後、もっと活躍してほしいと思いすぐ企画書を書きました」とXに投稿していましたが、その企画書が『放送作家松田好花』につながります。
町田:『盛ラジオ』は複雑な内容でしたが、松田さんのガイドコメントが素晴らしくて、一般の方も楽しめる番組になったんです。そこで、「この人はもっと売れるべき人だな」と思って、松田さんをメインにした番組を企画しようと思いました。ただ、この段階では優等生キャラというイメージを持っていたのですが、ラジオを聞いてみたら意外にそうでもないのかなと思い、どんな人なのか気になって調べていたら『日向坂で会いましょう』で「放送作家」という切り口でイジられていたので、「これならいけるかも」と、まずは企画の軸を「放送作家」にしました。
──企画はすぐ通ったんですか?
町田:2年近く通らなかったんですけど、提出し続けていたら、その間にいろんな番組で活躍されて、松田さんの認知が広まったタイミングで企画が通りました。松田さんのおかげです。
──番組内のコメンテーターはオードリーのお二人でしたが、最初からキャスティング案に入れていたんですか?
町田:何かしらの形でオードリーさんをキャスティングできたらベストだなと思ってました。無理を承知でお願いしたら奇跡的にOKをいただけました。
──番組の前半では、松田さんがテレビ東京スタッフに企画を3本プレゼンしています。
町田:本当にガチで1から企画を考えてもらいました。一番最初に企画案をいくつか出してもらったとき、発破をかける意味でも「1、2年目のテレビマンが全員出してくる企画ですね」というフィードバックをしたんですけど、いま思えばそれってすごいですよね。だって、1、2年目のテレビのプロと、オファーを受けて1、2週間で考えた松田さんを比較してるわけじゃないですか(笑)。しかも松田さんはアイドル活動もしながら考えてるという。
──多忙な中で考えた企画がすでに一定のレベルにあったと。そこからブラッシュアップしていったんですね。
町田:会議をするたびに企画案がどんどん面白くなっていくので驚きました。ただ、かなりしんどかったみたいで、「もう二度とやりたくない」と言われました(笑)。
──大変な作業をグループ活動と並行しながらですもんね。
町田:そうですね。ただ、松田さんがちゃんと覚悟を持って臨んでくれていることはわかっていたので、最初の段階から、本人には「アイドルではなく、放送作家として扱いますね」と伝えていました。
──こっちも本気でいきますよと。
町田:あるとき、企画について話していて意見の応酬が続いて少しピリッとした空気になったんです。それで僕が「めっちゃ言ってくるじゃないですか」と言ったら、「そうですよ。私、作家なんで!」と返してきて。その時に、やっぱりこの人ガチだなと思いましたね。
──結果として選ばれた「ラジオで収録した嘘のトークを本当にする」というコンセプトは、松田さんだからこそ面白くなる企画だと思いました。
町田:本当に松田さんしかできない企画だと思います。
──嘘のシナリオはランジャタイの国崎さんから提供されますが、これはどういった意図だったんでしょうか?
町田:最初はオードリーの若林さんや春日さんにお願いしようと考えたんですけど、松田さんのことを知っているとある程度想像できる内容になってしまって、殻を破れないのかなと考えて、思い切って一番ぶっ飛んでる国崎さんにお願いしました。
──本編では嘘のトークを本当にするVTRが3本ありました。1本目は、カフェでシェフを呼んだ松田さんが奇想天外な行動に出る内容で、どこまでドキュメンタリーなのか、どこからバラエティなのか境界線がわからない映像でした。
町田:お店のオーナーさんは企画を知っていたんですけど、当のシェフは「撮影がある」としか聞いていないので、いきなり中島みゆきさんの『ファイト!』を歌い出したり、習字をし始めたり、本気で「ヤバい人だ」と思ったと思います(笑)。自分の中ではガチのドキュメントでした。
──そこでの松田さんはいかがでしたか?
町田:最初はめちゃくちゃ不安がってましたけど、途中から覚悟を決めた表情になって、見たことない松田さんが出ていたんじゃないかと思います。放送にものってましたけど、「〇ぬど」って連呼するくらい追いつめられてましたし(笑)。
──2本目は、街ロケで松田さんが大暴れして富田鈴花さんが翻弄されます。
町田:松田さんがランジャタイさんの「ウッチャンナンチャン」のネタをやり出したり、明らかに様子がおかしいのに、意外と富田さんがすんなり受け入れてツッコんでいて。富田さんの対応力の高さに驚きつつ、松田さんって普段から変な人なのかなと思いました(笑)。
──3本目は、ナダルさんにケンカを仕掛けるはずが、悪者になりきれず結局全部ネタバラしをしてしまい、最後は申し訳なさから泣いてしまいます。
町田:実はロケが押してしまっていたこともあって、時間がない中撮れ高をなんとか作らないといけない状況だったんです。そういう事情もある中で、松田さんなりに限界まで頑張ったけどどうしても無理だと思ったがゆえの行動だと思います。でもドッキリ番組で観たことがない展開すぎて面白いし、現場でも興奮しましたね。ただ、松田さんは号泣しながら「これで大丈夫ですか?」と何度も聞いてきました(笑)。
──町田さんは『放送作家松田好花』に取り組んでいる松田さんをどう見ていましたか?
町田:僕が一番驚いたのはやっぱり仕事に臨む姿勢ですね。企画を考えているところは画変わりしない関係であまり映してないですけど、その時間も含めて、松田さんは最大限向き合ってくれました。日向坂46の活動と両立しながらなので、何度も投げ出したくなったと思うんですが、最後まで手を抜かずにやってくださりました。よく泣き虫キャラと言われていて、番組の中でも泣いてましたけど、あれはただ涙もろいだけじゃなくて、何事でも真剣に向き合ってるから感情が出やすいのかなと思います。