2024-03-07 12:00

吉本実憂、強烈な“悪女”役で新たな一面を発見「自分の中にあった“あざとさ”に気付けた(笑)」

吉本実憂にインタビューを実施
吉本実憂にインタビューを実施
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志田彩良が主演を務める金曜ドラマDEEP「消せない『私』-復讐の連鎖-」(毎週金曜深夜0:30-0:59ほか、日本テレビほか)が放送中。高校時代にいじめに遭い、人生を台無しにされた主人公・灰原硝子(志田)の復讐(ふくしゅう)劇もいよいよクライマックスを迎える。今回は、硝子を地獄に突き落とした“悪女”海崎藍里を演じている吉本実憂にインタビューを実施。役との向き合い方や芝居で心掛けていること、最終回に向けての見どころなどを語ってもらった。タイトルにちなんだ質問では、消したくなるくらい恥ずかしいエピソードを披露。

――壮絶な復讐劇が展開されるドラマですね。SNSでも話題になっています。

吉本実憂:私は復讐系の作品を結構見ていて、韓国ドラマの「マイネーム: 偽りと復讐」が好きなんです。今回は、私自身も復讐ものに携わることができて役者としてうれしいですし、楽しく撮影をしています。

――藍里というキャラクターについては、どんな印象を抱いていますか?

吉本実憂:藍里を追い掛けながら台本を読んでいて、どうやって役を作って行こうかなというワクワク感がありました。作品において一番の悪役みたいな感じなのでプレッシャーはありましたけど、楽しみのほうが大きかったです。

これまでもいろいろなタイプの悪女をやらせていただきましたけど、どんなに皆さんから嫌われたとしても自分だけは好きでいてあげようという気持ちがありました。悪い人でもその人なりに好きになれる部分があったりするんです。でも、藍里は初めて好きになれないキャラクターでした(笑)。本当にどうしようもない人だなと思ってしまう部分が多過ぎるんです。

――その思いはずっと変わらないものなんですか?

吉本実憂:好きになれないまま演じていたんですけど、ドラマを見た時に意外と素直な部分があるんだなと思って。大人になった時代の硝子から「親友だから」って言われた時に照れくさくなって自分の口紅を渡したりするところはちょっとかわいらしいというか、真っすぐな性格なんだなと感じて、やっと藍里のことが好きになりました。

――高校時代と大人になってからの藍里を演じる上で意識した点はありますか?

吉本実憂:学生時代は、とにかく若くということを意識しました。もう27歳ですから(笑)。リハーサルの時に監督から「ちょっと落ち着き過ぎている」と言われたことがあって。自分でも確かにそうかもしれないと思ったので学生時代のことを思い出しながら、もっとシンプルに演じてもいいのかなと。

大人になると何か行動する時もいろんな選択肢がありますけど、学生の頃は行く場所も限られていましたから。シンプルな感情で言葉を発していいのかなと思いながらお芝居をしたら何となく学生という役柄がしっくりくるようになりました。

大人になってからは、学生時代になかったあざとさを存分に出すことを意識しました。男性に媚びたり、とにかく甘えたり。時には利用するぐらいの気持ちで演じました。

――そんな藍里も婚活は必死でしたよね。

吉本実憂:そういう意味では、やっぱり真っすぐな女性なんだなと。たぶん婚活しているシーンを見た方だと思うんですけど「藍里は、こんなに強かったら1人で生きていける」というコメントをSNSで見つけたんです。確かにそうなんですよね。でも、藍里は玉の輿に乗って専業主婦になるというのが理想。だから、必死に婚活をしていたんだろうなと思います。

――その背景には、母・淑恵(中島ひろ子)との関係も大きな影響を与えているのでしょうか?

吉本実憂:お母さんからの愛をあまり感じたことがない。常に孤独感があったから周りの人たちを攻撃したり、自分が一番じゃなきゃいけないという思いが強かったのかもしれません。

――中島さんの“毒親”っぷりもさすが!

吉本実憂:中島さんとは、過去に2回共演させていただいて。ドラマ「表参道高校合唱部!」(TBS系)は同級生役の志尊(淳)くんのお母さん、映画「瞽女 GOZE」では私が成年期を演じた主人公の幼少期の時のお母さんという感じで、同じ作品に出演していてもちゃんとセリフを交わすような関係ではなかったんです。

今回は親子とは思えないバトルもありましたけど(笑)、しっかりと向き合ってお芝居することができました。ひろ子さんは本当にいい方で、とても楽しかったです。

――ヒール役である藍里を演じていて“痛快だな”と感じた瞬間はありましたか?

吉本実憂:藍里として考えると、1話で動画をアップロードしたシーンや大人になって狙っていた男性から「結婚しよう」と言ってもらえた時は「よしっ!」っていう感覚がありました(笑)。

台本には「うちの母親が」と書かれていたセリフを段取りの時に「うちのクソババァが」という感じに変えたら監督がすごく喜んでくれて。カットがかかった瞬間に周りから「怖いね」という言葉が聞こえてくると、役者としても「よしっ!」と手応えを感じました。

――復讐する側とされる側がはっきりしている作品の撮影現場はどんな雰囲気なんですか?

吉本実憂:昔は役のままの距離感を大切にしようと思って、カメラが回っていない時でも劇中の関係性を大事にしながら接するようなところがありました。今回とても明るい現場でスタッフさんも面白い方たちばかり。監督が3人いるんですけど、藍里がメインの時の監督は面白いチョイスをするんです。

――どういうところに、その“チョイス”が発揮されるんですか?

吉本実憂:撮影場所に選んだお店のメニューが変わっていて、カクテルの上にタコが刺さっていたり、カクテルの周りを綿菓子が覆っていて、ストローを刺して綿菓子を食べながら飲むとか。どれも本当にあるメニューらしいんですけど、そういうユーモアがあったりするんです。

復讐劇を撮っているんですけど、元気過ぎるくらい明るくて楽しい現場。それぞれのキャラクターの心情に合わせた照明の使い方も独特なので、繰り返し見てみると意外な発見があるかもしれません。

――気になるのは、藍里の今後。最終回に向けてどんな動きを見せるんですか?

吉本実憂:硝子に復讐されたけど、とりあえずまだ生きていますからね(笑)。自分を陥れた人物が硝子だと気付いた藍里が何を思うのか。たぶん反省はしないと思うんです。藍里は今まで一度も反省をしたことがないですから。

藍里が復讐をするのか、しないのか。彼女の行動に注目してほしいですし、硝子の復讐が全部終わった先には何があるのか。最終回に向けて、それぞれのキャラクターの物語を楽しんでいただけたらと思います。

――タイトルの「消せない」にちなんで、これまでの人生で消してしまいたいくらい恥ずかしい思いをしたエピソードを教えてください!

吉本実憂:あぁ…、ものすごく恥ずかしいものを思い出しちゃいました(笑)。10代の頃だったと思うんですけど「行列のできる相談所」(日本テレビ系)に出演した時に、当時ハマっていたFUJIWARA・原西(孝幸)さんの「背骨を引っこ抜いたら立ってられへん」を結構全力で披露したらそんなにウケなくて。あれは本当に消したい過去です(笑)。

――微妙な空気が流れてしまったんですか?

吉本実憂:きっと、どこかに恥ずかしさがあったんでしょうね。そういう雰囲気が伝わると、どんなに面白いギャグも笑えなくなると思うんです。笑いを起こすってすごく難しい。あらためて芸人さんってすごいなと思いました。

――ドラマは復讐劇ということで、これは“リベンジしたい”“やり直したい”と思うものはありますか?

吉本実憂:小学生の時に合気道を習っていたんです。一緒にやっていた姉は「組手」で優勝するくらいの実力があったんですけど、私は怖くて「型」ばかりやっていたんです。映画やドラマを見ていても強い女性はカッコいいので、あの頃の自分に全然怖くないから頑張ってと声を掛けて「組手」に挑戦させたいです。

――先日「北九州市民文化奨励賞」を受賞しましたが、あらためて思いをお聞かせください。

吉本実憂:生まれ育った地元で賞を頂けるなんてとても光栄なこと。しかも「奨励賞」は今後に期待してくださっているということなので、これからも北九州のためにもっともっと頑張りたいと改めて思うきっかけになりました。

それと役者は感情を扱うお仕事。喜怒哀楽をはじめ、いろんな感情を北九州で経験できたことは自分にとって宝物ですし、役者人生に生かされています。本当にありがたいなと思っています。

――そろそろ新年度(2024年度)も始まりますが、どんな1年にしたいですか?

吉本実憂:願望としては、とにかくたくさんの作品に携わりたい。お芝居のことを考えていたり、現場にいる時間がとても幸せ。常に演じていたいです。今回の作品で自分の中にあった“あざとさ”に気付けたし(笑)、アクションの練習もしているので、どんな役でも説得力のあるお芝居ができるように日々勉強しながらいろんな役に挑戦したいです。

◆取材・文=小池貴之/撮影=月島勝利

【プロフィール】
よしもと・みゆ/1996年12月28日生まれ、福岡県出身。全日本国民的美少女コンテスト グランプリ受賞し芸能界デビュー。「獣医さん、事件ですよ」(2014年、日本テレビ系)でテレビドラマ初出演、同年12月には映画初出演で初主演作品となる映画「ゆめはるか」が公開される。その後ドラマ、映画を中心に活躍。映画「透子のセカイ」でフランス・ニース国際映画祭 最優秀外国映画主演女優賞を受賞し、映画「瞽女GOZE」では第30回日本映画批評家大賞 新人女優賞を受賞。待機作品として、映画「室町無頼」(2025年1月17日公開予定)がある。

金曜ドラマDEEP「消せない『私』-復讐の連鎖-」より
金曜ドラマDEEP「消せない『私』-復讐の連鎖-」より
©日本テレビ
吉本実憂
吉本実憂
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金曜ドラマDEEP「消せない『私』-復讐の連鎖-」より
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金曜ドラマDEEP「消せない『私』-復讐の連鎖-」より
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©日本テレビ
吉本実憂
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