2023-12-31 12:00

スタイリスト伊賀大介、過去も好きだけれど“いま”を読む

BUBKA編集部

「BUBKA2月号『輝け！BUBKAアワード2023-2024』」に登場している伊賀大介

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12月28日に発売された「BUBKA2月号」で、編集部の独断と偏見で著名人にインタビューを行う年末恒例企画『輝け！BUBKAアワード2023-2024』を開催。今回、スタイリストの伊賀大介が登場している。

2023年彩る名著の数々

直前に駆け込んで来た本命

BUBKAアワードの季節がやってきて、毎年個人的にも楽しみにしているんですけれど、一年経つのが早いっすね(笑)。そんなわけで2023年も個人的に刺さった本を紹介していきます。

最近読み終わって、これはもう1位にしないといけないなというくらい圧倒的だったのが、春日太一さんの『鬼の筆戦後最大の脚本家・橋本忍の栄光と挫折』です。

橋本忍さんは、初期黒澤(明)監督の映画の脚本を書いていた人ですね。あとは、『日本のいちばん長い日』とか『八甲田山』とか。脚本家デビューがいきなり黒澤さんの『羅生門』なんです。次に『七人の侍』を黒澤との共同脚本でやって。やっぱり黒澤映画がめちゃくちゃ面白いのって、三船(敏郎)と橋本忍とやっていた時代で。この本の前段として、『複眼の映像』という橋本が黒澤と仕事をしていた時のことを書いた本があるんです。どう黒澤と本を書いていたかみたいな。それが、俺たちは大好きで、『羅生門』ってこうだったとか、『七人の侍』ができあがるまでの話で。

橋本忍って劇的なんですよね。いちいちセリフっぽくて面白いんですよ。絶対に盛っている、絶対に嘘でしょみたいな会話が多くて。そういう話がふんだんに『複眼の映像』にあります。橋本さん、素晴らしい脚本家なんですけど、すごく癖が強いんですよ、超ビックマウスというか。そんな橋本さんを春日さんが全部調べていくと、『複眼の映像』だと、「あのアイデアは自分から出した。そこに黒澤が乗っかてきて」みたいな話をするんですけど。「え？ちがくない」みたいな。

その時点で橋本忍大好きチームとしては最高！春日さんの取材力は尋常じゃないと思いますよ。これを書くのに8年がかりぐらいで。遺族の許可を得て資料とか全部見せてもらって、それで調べ上げて。480ページの超力作ですね。ちゃんと、挫折というか、自分と時代が合わなくなってくると、いかにすごい脚本家といえどもという、いい意味で忖度なく書いてあります。ノンフィクションはそうでなくっちゃと思います。

『複眼の映像』を先に読んでおいた方がいいです。『複眼の映像』はかなり、橋本忍アジテーション本なので。カッコイイこいつ、この人すげーと思うんで。でも、実はこういう感じですよ、という答え合わせを『鬼の筆』で。橋本忍がなぜこういうものを書くのかみたいな、そういう所にも触れていたりします。ちゃんとノンフィクションとして昇華させてます。一旦本人にググっと寄った後。冷静に見るという。春日さんはほんとすごいですね。これは永久資料というか歴史です。

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伊賀大介プロフィール

伊賀大介＝いがだいすけ｜1977年、東京都生まれ。22歳でスタイリストとしての活動を開始。映画『ジョゼと虎と魚たち』『モテキ』『バクマン。』『ハード・コア』『おおかみこどもの雨と雪』『宮本から君へ』などの作品をはじめ、演劇、広告、ミュージシャンなど幅広く活動中。また、音楽や映画、印刷物にも造詣が深いことでも知られる。WEB連載『文春野球コラムペナントレース2020』の巨人担当としてコラムの執筆も行っていた。

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