【工藤めぐみインタビュー】長与に憧れ、ジャガーに習い、ダンプ松本に叱られて――辛く厳しかった時代の追憶

(写真提供=平工幸雄)
昨年11月に発売した『玉袋筋太郎の全女極悪列伝』のロングヒットを記念して、“くどめ”こと工藤めぐみにインタビューを実施。FMWでは「邪道姫」の通称で活躍した彼女だったが、その裏には全女での過酷な日々があった。今回は全女時代、そして『極悪女王』ダンプ松本との思い出を振り返り語っていただいた。
掟破りの懲罰
──昨年、Netflixの『極悪女王』が話題になりましたけど、工藤さんも80年代後半の全日本女子プロレスに所属されてたんですよね。
工藤めぐみ(以下、工藤) ちょこっと(笑)。
──『極悪女王』ってご覧になられました?
工藤 はい。ドラマが進むにつれて「この時はファンとして観てたな」「この時はもう選手として中にいたな」という感じで、自分の経験と重ねながら観てましたね。
──工藤さんもやっぱりクラッシュ・ギャルズのファンだったんですか?
工藤 もともと男子プロレスから見始めたんですけど、中学の時にクラッシュ・ギャルズがブームになったのでお二人に憧れましたね。それで全女のオーディションは15歳から受けられると知った時、私もちょうど中3で15歳だったので、「今しかない!」と思って受けたんですよ。でも1回目は落ちて、翌年、2回目で受かって入れたんです。
――工藤さんはアジャコングさんらと同期の(昭和)61年組ですけど1年目で受かってたら北斗晶さんらと同期だったんですね。
工藤 そう考えると恐ろしいですね。でも、先輩より同期になってた方がよかったかな(笑)。
──やっぱりあの世代はすごいですか?(笑)
工藤 すごいですね。怖いとか厳しいとかの前に、やっぱり皆さん本当に身体能力が高くてすごい素質を持った先輩方ばかりだったんですよ。たぶんあの代に入ってたら、私なんかさらに埋もれてたんじゃないかな。
──でも、工藤さんの代のオーディション応募者もすごい数だったんじゃないですか?
工藤 そうですね。書類を経て会場に来たのは800人で、応募自体は2000ぐらいあったって聞きました。
──2000人! それで合格するには10人とかだから倍率200倍ですよ。でも、憧れの狭き門を突破したあとが大変なわけですよね?
工藤 大変でしたね。憧れの世界に入れたことにまったく浸っていられず、「ファンの気持ちは一切捨てなさい」って断ち切られるんですね。とにかくその日の仕事をこなして練習して基礎体力つけてという感じで。でも、どうしても好きな先輩がいるから、そういう気持ちをそっと隠して見えないようにしながら毎日を送って。
――工藤さんは誰に一番憧れてたんですか?
工藤 最初はやっぱり長与さんですね。
──当時はほとんどみんなそうですよね。
工藤 でも、プロになったら自分の体格やスタイルを考えて目標とする先輩を変えなきゃいけないと言われていて。私はジャガー横田さんにコーチとして教えていただく間にジャガーさんの凄さも知って、体格的にもジャガーさんを目標するように変わりましたね。
──工藤さんが得意としたヒップアタックもジャガーさん直伝なんですか?
工藤 はい。ジャガーさんに教えていただいて。それはジャガーさんからのプレゼントっていうことで。
――全女の“掟”として、使う技も先輩から公認で譲り受けないといけないんですよね?
工藤 そうなんです。
──そりゃジャガーさんの技を勝手に使うわけにはいかないですよね。
工藤 怖い(笑)。ジャガーさんご本人よりも、周りから袋叩きになっちゃいます(笑)。
――「あいつ、ジャガーさんの技を勝手に使ってる!」って(笑)。
工藤 ホントそういう感じです。技とかに関してはとくに厳しかったですね。新人が身の丈に合わないような技を使ったりしてもダメだし、「思いっきり来い」って言われて思い切りいかないと怒られるけど、当たりどころを間違えるとその何十倍返しで返ってきたり。同期のコンバット豊田が先輩とのエルボー合戦のときにけっこうガチガチに行ったら、顔がボコボコになって戻ってきたことがありました(笑)。

(撮影=堀江ガンツ)
工藤めぐみプロフィール
1969年9月20日生まれ。86年、全日本女子プロレスに入門、デビューを果たすも、2年後に退団。その後90年に大仁田厚率いるFMWに参戦し、アイドルレスラーとしてプロレス以外にも写真集やイメージビデオなどの芸能活動も行う一方、FMW女子の看板として凄惨なデスマッチにも果敢に挑戦し、「邪道姫」の異名を取った。現在はプロレス番組の解説や、女子格闘家のプロデュース及びタレントとしての活動を行っている
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