2022-09-03 20:15

プロデューサー、トラックメイカーS.A.Lの音楽性のルーツを探る

――シーンが沸々としていて、盛り上がる直前の時期ですよね。その後のブームの恩恵は受けたんですか?

S.A.L. いや、それが自分はまだ若かったんですよね。A.K.I.と同い年で、あっちはバーンと行ったけど、俺はスケーターだぜって斜に構えてたから、高校卒業してアメリカに行ったんです。サンフランシスコに留学という形で。

――そうなんですか! 知らないことばかりです。

S.A.L. サンフランシスコはLAのシーンからは離れていて、何やるにも北すぎるって感じではあったけど、毎日スケボーして、週末はブラックミュージックのレコード買ってました。当時はパブリックエネミーとかの思想的なものが強くて、日本人とかアジア系がヒップホップを聴くのは変だろうという感じで。大学でチャックDが講演したりして興味があったけど、行く気にはなれなかったな。アジア人のスケーターというのも珍しがられました。今でこそ日本人はオリンピックで活躍してますけど、当時はクリスチャン・ホソイって日系人のブームがちょっとあったくらいで。

――当時のスケーターのビデオを見るとヒップホップもハードコアも流れていて、カルチャーとして一緒くたになっていて。

S.A.L. そうそう、だから自分のなかではスケートと音楽がイコールで結びついてました。LAにベニスビーチというところがあって、そこにスケーターが集まってたりするんだけど、昔は結構エグくて、ギャングチームがかなりいて。指がないチカーノが自転車でウロウロしてたりしてこわかったなぁ。そこに日系人のスケーターがいたので一緒に滑らせてもらってました。その人はドレッドでジャー・ラスタファーライなノリだったので、それでレゲエに入っていったり。

――それが巡り巡って30年後のFAREWELL,MY D.u.bに繋がるという。この話からどうやってO’CHAWANZになるのか想像もつかないです(笑)。

S.A.L. ホントですよね。サンフランシスコっていわゆるシリコンバレーがあるので、学校のコンピューターが全部Macだったんですよ。まだQuadraが最高クラスだった頃の。お前インターネット知ってるか、とか言われても、これがなんなのって感じだった。でも、それでコンピューターに興味を持って、日本に帰ってきたらマルチメディアだなんだと始まってきて、そういえばAppleってどうなんだろうと調べたらちょうど値段が下がってきた頃で。IIciの廉価版が出て、だんだんカラーになってきた時代で。それで、俺もマルチメディアの流れに加わってみようと思って、Macを1台入手して。スケボーの映像をいじりたいなって気持ちがあったんですよね。でもその頃のPCのパワーじゃ全然追っ付かなかったので、とりあえず音楽やってみるかと。

――それって92、3年のことですよね。パソコンで音楽を作るのもまったく主流ではなかったんじゃないですか?

S.A.L. もう全然。ハードディスクレコーディングなんてまだ夢のようなことだった。MIDIベースの時代で、AKAIとかSP-1200みたいなサンプラーを持ってる先輩の家に行って、ひたすらサンプリングしてループかけてDATに落とし込んだりしてました。それをやってたらちょこちょこ仕事が来るようになっていきました。映像に音をつける仕事が多かった。

――日本のヒップホップの黎明期に触れていたものの、いいタイミングで渡米して、帰ってきた後もそこにどっぷりと浸かることがなかったんですね。

S.A.L. そう、日本語のヒップホップは飛ばしちゃった。根本にミュージシャンみたいなマインドがないから全然違うバイトとかもしてたし、でもことあるごとに「あれやってみない?」みたいな話が来て、音楽のほうに引っ張られてきた感じですね。

――エンジニアの仕事も多かったんですよね。

S.A.L. 多いです。ハードディスクレコーディングができるようになってきたとき、これはもうサンプリングどころじゃないと思ったんですよね。

――インタビューの続きは発売中の「BUBKA10月号」で!

取材・文/南波一海

S.A.L.|ROMANTIC PRODUCTION主宰。O’CHAWANZ、MIKA☆RIKA のサウンドプロデュース他、さまざまなアーティストへの楽曲提供も行なっている。

「BUBKA10月号」コラムパック
「BUBKA10月号」コラムパック

Amazon Kindle

楽天Kobo

Apple Books

紀伊國屋Kinoppy

BOOK☆WALKER

honto

セブンネットショッピング

DMM

ebookjapan

ブックパス

Reader Store

COCORO BOOKS

コミックシーモア

ブックライブ

dブック

ヨドバシ.com

その他、電子書籍サイトにて配信!

Twitterでシェア

MAGAZINE&BOOKS

BUBKA2025年5月号

BUBKA 2025年5月号

BUBKA RANKING23:30更新

  1. 選抜の噛ませ犬じゃない!乃木坂46最新アンダーライブ極私的過剰考察「私、アンダーメンバーの味方です」
  2. 大注目のユニットTHE ORCHESTRA TOKYO(オケトー)、ワンマンソールドアウト「回数を重ねるごとにお客さんが増えていく手応え」
  3. 宮戸優光「前田さんとの関係が、第三者の焚きつけのようなかたちで壊されてしまったのは、悲しいことですよ」【UWF】
  4. 乃木坂46、3期生の絆「今が一番の思い出」過去から現在そして未来へ
  5. 日向坂46・四期生が誰よりも高く跳んだ日━━武道館3Daysで見せつけた実力と一体感、そしてハッピーオーラ!
  6. シンガーソングライター吉澤嘉代子「『日記』は、(小林)歌穂ちゃんに宛てた手紙をプレゼントしようと思って書いたんです」<私立恵比寿中学の音楽のすべて>
  7. 乃木坂46齋藤飛鳥&星野みなみ「断られると思うけど飛鳥と二人旅に行きたい!」
  8. RHYMESTER宇多丸のマブ論、これぞ世界に誇るべきメイドインジャパン 文坂なの!
  9. R-指定(Creepy Nuts)が語るスチャダラパーの時代
  10. プロ野球・俺たちが忘れられない助っ人外国人たち…伊賀大介×中溝康隆が語る
  1. 乃木坂46中西アルノ、情感豊かなグラビアショット!創刊10周年記念『BRODY10月号』表紙を飾る
  2. 「やっぱライブでしょ!」中西アルノのアイドル哲学むなしく赤字&倒産……乃木坂46の「血統と伝統」を背負うエース級プレイヤーもプロデュース業にはスイッチできず
  3. 乃木坂46川﨑桜&菅原咲月、筒井あやめプロデュースで“新しい輝き”を放つ
  4. 人気アイドルが猛暑も吹き飛ぶ清涼感ある浴衣姿を披露「カワイ過ぎ!」「日本の宝」「似合ってます」
  5. ラフ×ラフ吉村萌南、活動休止を報告「またみんなと活動できることを楽しみに頑張ってきます」
  6. 【櫻坂46・5th TOUR 2025 “Addiction”】 松田里奈「日本中のみんなが、知らない人がいないくらい大きなグループになりたいです」
  7. 乃木坂46 13th YEAR BIRTHDAY LIVE、中西アルノ「今のこの乃木坂が絶対最強!」
  8. 日向坂46五期生4人が美有姫先生からアザトカワイイ仕草を学ぶ
  9. 乃木坂46弓木奈於、遠藤さくらに対抗心?「『“通ってない”って言え!』って思ってた」
  10. 『Kohmi EXPO 2025』開催記念、広瀬香美×フィロソフィーのダンス・奥津マリリ&日向ハルインタビュー|“ロマンスの神様”のSNS投稿をきっかけに、共演するまでに至った二組による愛と尊敬の音楽トーク

関連記事